大阪ロータリークラブ

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2025年6月27日(金)第4,968回 例会

一年間を顧みて

渡 辺  岳 夫 君(家具製造)

会 長 渡 辺  岳 夫  (家具製造)

1958生まれ。’82年慶應義塾大学経済学部卒業。’88年ペンシルバニア大学ウォートン校修士課程修了。日本鋼管(株)(現JFEスチール)を経て,’94年タカラスタンダード(株)入社。2003年5月同社代表取締役社長に就任。’24年4月代表取締役会長に就任。’05年7月当クラブ入会。’11年理事青少年奉仕委員長,’17年理事ロータリー財団委員長。

ホッとした気持ちと一抹の寂しさと

 今日が私の会長として最後の日となりました。ついにこの日がやってきたという心境ですが,この言葉には相反する気持ちが交じっています。一つはホッとした気持ち。3年前に会長就任の話をいただいた時は青天の霹靂(へきれき)でした。伝統と格式のある大阪RCの会長にふさわしいのか,葛藤と重圧が最後まで続きました。ただ一抹の寂しさもあります。例会に臨む緊張感,交遊が広がる楽しさ,会長ならではの活動。これらから離れる名残惜しさでしょうか。
 あなたにも会長就任の依頼が来るかもしれません。私のアドバイスは「やってみなはれ」です。案ずるよりも産むが易し。仕事との両立は大変ですが得難い貴重な経験でした。
 この1年,周りのサポートで会長職を務められました。岡橋幹事にはロータリーの仕組みや会員のことで助けられ,常に誠実に取り組んでいただきました。信頼できるパートナーに恵まれたことが,私の最大の幸運でした。事務局の皆さんも献身的に支えてくれました。

ロータリーライフは楽しく充実したか

 私はクラブ運営スローガンを,「ロータリーライフをもっと楽しく充実させよう」にしました。皆さんは1年間,楽しんだでしょうか,充実したでしょうか。
 例会の食事や会場は錢高S.A.A.,森下・清水副S.A.A.のお陰でふさわしい格式のある運営になりました。節約メニューは回数を増やしましたが,普段食べない各国の料理は新鮮でした。またニコニコ箱も予算額を達成しました。卓話は塩野プログラム委員長と委員の方々の尽力により充実していました。私が一番印象に残ったのは妙心寺の副住職の「『しあわせ』とは何か」でした。耳の痛い,けれども腑に落ちる話でした。
 創立102周年記念の秋の家族会は総勢178人。晩餐(ばんさん)会は新居会員による女性会員初の乾杯でスタートし,大盛況でした。春の家族旅行は悪天候で佐渡島に渡れず,新潟市内観光に切り替わったハプニングも楽しい思い出です。黒田友好委員長と委員の皆様に深く感謝申し上げます。
 岡島職業奉仕委員長による職場見学は2回。昨年10月に大林会員と村田会員のお世話で建設中の万博開催地を見学し,木造のリングの予想を超える大きさに圧倒されたそうです。1月には澤会員により中之島クロスを見学し,未来の医療を創造する国際的な拠点の説明を聞きました。髙橋ロータリー情報委員長には入会候補者の職場訪問や入会式,クラブフォーラムの開催など手間のかかる仕事をしていただきました。小川国際奉仕委員長のフォーラムではウクライナの高校生の話で戦争の悲惨さを痛感しました。松岡社会奉仕委員長のフォーラムでは精神疾患の親を持つ子供・若者をサポートするNPOの理事長と継続的に取り組める社会奉仕について議論しました。
 職業奉仕活動では出前授業を昨年12月に大阪国際高等学校で行いました。魅力的な講演に学生たちは感銘を受けたことでしょう。11人の講師の皆様にお礼を申し上げます。100周年記念事業で始まった奉仕活動は今年も実施しました。大阪公立大学の「みをつくし奨学金」は黒田委員長の尽力により文学部1年生の田中薫子さんが3期生に決定しました。大阪中之島美術館の支援事業は子ども向け対話型の鑑賞プログラムに協賛しました。大阪RACとの協働事業,体験型子ども支援は一般社団法人「こもれび」の子どもたちを対象に実施しました。ロータリー財団への寄付はポリオプラスは残念ながら未達でしたが,年次基金と恒久基金は目標を達成できました。米山奨学生はベトナムからの留学生Le NgocQuynh NHUさんを受け入れ,小浦米山奨学会委員長にカウンセラーになっていただきました。彼女が将来,日本とベトナムとの懸け橋となって活躍すると思うと,米山奨学金の存在意義を強く感じました。

ロータリー精神を一人ひとりが実践

 今年度は大阪RCがスポンサーである神戸RCが創立100周年,門司・今治・金沢・徳島RCが90周年を迎えました。設立当時は急速に戦時色が濃くなった頃で,平和を希求するクラブ設立の機運が高まったのでしょう。また5年間中断したソウルのRACとの青少年交換プログラムを再開できました。湯木ローターアクト委員長が単身でソウルRCと交渉した結果,元気な女子大生4人が来日し,大阪RACと交流しました。将来を担う若者の交流が続くことを願います。
 今年はクラブ運営改善委員会を立ち上げ,井戸委員長のもとで運営の効率化をスタートしました。昨年11月より会報は会場での手渡しにして,雑誌「ロータリーの友」も来月から原則,例会場での持ち帰りと電子版に切り替えます。長年の慣行を変えられた委員会の勇気に敬意を表します。
 今年度もロータリーが一人ひとりの献身的な行動で成り立っていることを,改めて痛感しました。1年前の就任スピーチで私が紹介した言葉です。「ロータリー精神は他人の立場で考えて他人の役に立つ行動をすること。『情けは人のためならず』が結局,自分も幸せになる道であり,奉仕はそこから生まれる」―皆さんがこの精神を深く理解し,実践されたからこそ,1年でこれだけのことが成し遂げられたと思います。しかし世界はこの精神と逆方向に進んでいるように見えます。今後,ロータリーが社会や世界に貢献して価値観を守ることは難しくなるのではないでしょうか。
 来週から佐野会長,江藤副会長,笠谷幹事というベストメンバーで新年度を迎えます。佐野会長はロータリーの経験が大変豊富で,しっかりしたポリシーをお持ちです。佐野色を鮮明に,大阪RCを牽引されるでしょう。最後に皆様には心よりお礼を申し上げます。1年間,ありがとうございました。

感謝の言葉

直前会長 田 所 伸 浩  (給食事業)

1955年生まれ。’78年同志社大学文学部社会学科卒業,(株)魚国総本社入社。’82年同社取締役。常務,専務,副社長を経て,2003年同社代表取締役社長に就任。
1995年(一社)大阪青年会議所理事長,2013~’17年(公社)日本給食サービス協会会長。’11年10月当クラブ入会。’13年理事・新世代奉仕委員長,’17年会員増強委員長,’19年理事・友好委員長,’21年ロータリー情報委員長。’23年会長。

 渡辺会長,岡橋幹事,上田副会長,執行部の皆様,1年間お疲れ様でした。会長が掲げた「ロータリーライフをもっと楽しく充実させよう」を1年間実践されて,良い変化の風が持ち込まれたと思います。
 会長はいつも冷静な語り口調で,例会はゆったりと落ち着いた雰囲気の中で流れていました。実際,進行はかなりバタバタしますし,全体を落ち着かせるペース配分はすごいと感じています。会長が掲げた「楽しく充実した例会運営」になったと思います。運営では郵送物を卓上での配布に変更し,誕生日の花をコサージュに変えるなどの様々な工夫は,今はもう当たり前の光景ですし,日々進化をしています。また会長が卓話者へのお礼で丁寧に話の内容に触れることは大変印象的でした。会員自身ができることは自らやるようにすることは大変良いことだと思います。
 会長のお話で変化したわが家のライフスタイルがあります。睡眠の質を高めるため,入浴は寝る前90分頃に40度のお湯で10分から15分入るのが良いという話を妻に話したところ,次の日から風呂の温度が42度から1度だけ下がりました。入る時間も早くなって夕食の時間も早くなり,夜のライフスタイルが変わりました。酒を飲んだ日は風呂に入らないようにという話もありましたが,私が飲んで帰ると風呂の湯が抜かれていて大変残念に思ったこともあります。しかし新潟への皆さんとの家族旅行ではしっかり飲んだ後ににぎやかに風呂に入ったのも思い出します。ほかにも会社経営の話で,社員が本来持っている創造性を十分発揮できる環境を提供できているか,という話にはドキッとさせられました。ぜひ,この話の続きを卓話の時間でも聞かせていただければと思っています。大変勉強になった1年でした。
 100周年を機に新たにスタートしたみおつくし奨学生は3期生を迎えて,奨学生の輪が広がることが楽しみです。職場見学会では,昨年,万博予定地の見学で大屋根リングに上がり,街が出来上がる姿を見て感動しました。開幕後に多くの入場者が楽しそうに歩く姿を見ると,準備を進められた皆様の努力の結集だと感動しました。また1月には中之島クロスで医療と企業が一体となった最先端の未来医療の発信拠点を見ることができました。時代を先取りしたこれらの拠点を見学できて,これからの未来がどう変わるのか楽しみです。今年度も大阪RCを通して,多くのことを学ぶことができ,感謝申し上げます。
 最終例会も閉会の時間が近づいて参りました。今日は例会の初めから渡辺会長の顔がほころんでいるように見えました。岡橋幹事とのバランスも絶妙な形で見ていて楽しいものがございました。
 渡辺会長,岡橋幹事,上田副会長,役員,委員長の皆様にはお世話になりました。1年間の努力に感謝申し上げます。会員を代表して御礼の言葉といたします。お疲れ様でした。