大阪ロータリークラブ

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2024年7月5日(金)第4,928回 例会

新年度を迎えて

渡 辺  岳 夫 君(家具製造)

会 長 渡 辺  岳 夫  (家具製造)

1958年東京都生まれ。’82慶應義塾大学経済学部卒。’88年ペンシルベニア大学ウォートン校修士課程修了。日本鋼管(株)(現JFEスチール)を経て,’94年タカラスタンダード(株)入社。2003年5月同社代表取締役社長に就任。’24年4月代表取締役会長に就任。’05年7月当クラブ入会,’11年理事・青少年奉仕委員長,’17年理事・ロータリー財団委員長。

 本日より1年間,当大阪RCの会長を務めます渡辺岳夫でございます。重責に身の引き締まる思いで,大変緊張しております。

そもそもロータリー精神とは

 私が入会したのは2005年,まだ40歳代半ばでありました。そのとき頂戴した「ようこそロータリークラブへ」という小冊子では「ロータリー精神とは,一人ひとりが他人の立場に立ってものを考え,他人のお役に立つような行動をしようということ。『情けは人の為ならず』。それが自分も幸せになる道である。こういう思想がロータリーの精神であり,ロータリーのいう奉仕というのはそこから生まれてくる行為のことだ」と言っています。特別なことではなく,誠実に仕事をし,顧客,社員,取引先,地域社会の役に立つことがロータリー精神の実践であり,立派な奉仕。そうであれば,私も一人前のロータリアンと言えるのではないでしょうか。
 私は,この20年余りタカラスタンダードの社長を務め,4月からは会長職に就いています。住宅設備機器,主にはキッチン・バスルーム・洗面台といった家庭用水回り機器の製造・販売をしており,それらをホーロー素材で作るところがユニークです。特にキッチンは国内最大のメーカー。「より快適できれいな生活に貢献する」を企業パーパスに,社会に貢献しています。

ロータリーのマジックで世界を変えよう

 今年度のRI(国際ロータリー)のステファニー・アーチック会長が掲げたテーマは,「ロータリーのマジック:MAGIC OF ROTARY」。RI会長は1月の国際協議会で,あるエピソードを紹介されました。「ドミニカ共和国で浄水器を設置して,水の流れを止めた時に少年が『もう一度魔法を見せて』と言った言葉が私の心をとらえました。私たちは魔法の杖を振るだけでポリオを絶滅したり,世界に平和をもたらしたりするわけではありません。プロジェクトを終えるたび,寄付するたび,新会員を迎えるたびに,皆さんはマジックを生み出すのです」。会長は「ロータリーのマジックを使って,世界を変えていきましょう」とスピーチを締めました。
 RIはロータリー行動計画の土台となる優先事項を定めました。① IMPACT,より大きなインパクトをもたらす② REACH ,参加者の基盤を広げる③ ENGAGE ,参加者の積極的なかかわりを促す④ ADAPT ,適応力を高めるの四つです。
 また,これらを踏まえ,2660地区大橋ガバナーが,今年度の地区年次目標を設定されました。優先事項①の目標は,世界ポリオデーにおいて,ロータリーファミリーが一体となり,ポリオ根絶とRACの自立を目指すイベントを実施し,発信していく。そして,財団寄付目標(年次基金寄付150ドル,ポリオプラス基金寄付50ドル,恒久基金寄付30ドル)を達成する,などです。優先事項②の目標は,多様なクラブを広める,また,クラブが自身の文化を大切にしつつ変化に挑戦できるように支援する,と言っています。優先事項③は,あらゆる行事を学びの機会として会員の参加促進を促す。DE&Iへのコミットメント,特にインクルージョンを強化する。そして米山記念奨学金を支援する(ロータリアンの寄付目標は3万円),が目標です。優先事項④では,四つのテストで物事を考え,適応力を高める。地区チームのDE&Iを進める。そして,すべてのクラブ会員が「My Rotary」に登録し,活用できるように推進する,を目標としています。

もっと楽しく充実させよう

 本年度の私のクラブ運営方針は,「ロータリーライフをもっと楽しく充実させよう。そのために多様性(ちがい)を認め友の輪を広げ,より多くの奉仕の機会を作りましょう」です。
 大阪RCはいい方向に変化しています。女性会員はクラブを活性化させ,魅力あるものにしています。新入会員はクラブ行事や趣味の会へ積極的に参加され,ロータリーライフを楽しまれています。一方,会員数の減少が続くのは,変化の度合いが十分でないためかもしれません。例えば,「DE&I(多様性・公平性・インクルージョン)」はロータリーの中核的価値観ですが,十分に実践されているか。格式や伝統は当クラブの大切な財産ですが,時代の流れに合っているのか。RI会長の言う「あらがえない魅力的なクラブ」になるには多様化が大事ではないでしょうか。
 今期も100周年記念事業に取り組みます。①大阪公立大学の学生を対象とした奨学金プログラム「みおつくし奨学金事業」では対象者を決定し給付します。②「大阪中之島美術館プロジェクト支援事業」では子どもの鑑賞プログラムを支援します。③「子ども支援事業」では一般社団法人「こもれび」の子どもたちに,RACと協働で体験型の支援事業を開催します。
 われわれはこれまで能力主義でやってきました。能力の優れた人が,努力して大きな成果を出すことが称賛される社会ですが,能力は,大半が天からその人に与えられたものです。この問題への対応がDE&Iです。D&Iが目指すのは,誰もが能力を発揮できる社会,均等に機会を持てる平等な社会ですが,能力主義が前提です。「equity(公平性)」は個人間のバラツキや運を前提に,誰もが組織や共同体で名誉あるメンバーとされる社会,世界観です。この大阪RCは,まさに能力主義を勝ち抜いてきた人たちの集団です。だからこそDE&Iまで実践する責任があるのではないか。分断や対立を少なくできれば,すべての人に住みやすい社会になるのではないか。まさに「情けは人の為ならず」,ではないでしょうか。
 さて,いよいよ新年度がスタートしました。会員の皆様のロータリーライフがより楽しく充実したものになるように執行部一同,尽力してまいります。ありがとうございました。
(スライドとともに)