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2023年10月13日(金)第4,897回 例会

大阪・関西万博の全体構成とパナソニックの取り組み

宮 部  義 幸 氏

パナソニックホールディングス株式会社
取締役/副社長執行役員
宮 部  義 幸 

大阪府出身。大阪大学大学院工学研究科修了後,1983年に松下電器産業(現パナソニックホールディングス)入社。常務取締役(CTO),代表取締役専務(AVCネットワークス社 社長)などを経て2022年から副社長執行役員。東京代表,渉外担当,ソリューションパートナー担当。関西経済同友会では約10年にわたって常任幹事などで活動,’23年5月に代表幹事就任。

 日本は1867年の第2回パリ万博が初めてで,このときは幕府や藩として出品しました。政府としての初参加は’73年のウィーン万博です。しかし,本当の一流国になるためには,万博そのものを開催できる国になる,世界の人たちから「日本で万博を開催してよ」と言われるようになることが,ひとつの証だったと思います。日本はその後,高度成長を遂げ,この大阪の地で1970年に万博を開催しました。そして,2025年,また大阪で万博を開催します。「世界の一流国の証に」と先人が目指した万博です。日本で,大阪で,そういう機会をいただいたわけですから,しっかりとこれを成し遂げていくことが,われわれの責任だと考えています。

万博開催で世界の一流国へ

 20世紀の万博は,科学技術を見せたり,非日常的な近未来の疑似体験をしてもらったり,もしくは国威発揚型のエンタメをやってみるとか,そうした考え方が多かったと思います。これが2000年に入り,国際社会や人類の共通課題に対して提案や答えを出していこう,課題解決に貢献しよう,共感・共創のムーブメントづくりをしていこう,と役割が変化をしてきたと感じています。
 開催国にとって万博を開催する意義は何でしょうか。
 まずは,国際交流の舞台となることです。政治,経済,文化といった様々な関係者が訪れる国際交流の舞台を大阪が提供するのです。同時に日本の魅力を見てもらうということもあります。
 こういう大きなイベントを行うと,交通インフラが整備され,街自体が次のステージに進化するということもあります。70年万博の際も鉄道が走ったり道路ができたりして,竹やぶだった場所が非常に便利な地域に変わりました。「顔」となる建造物もそうです。今回の万博では木造建築の巨大なリング(大屋根)がそれだと思いますが,70年万博では「太陽の塔」でした。
 そして何より,先人が万博に取り組んできたことを引き継ぎ,受け継いで,日本がさらに発展し続けることが大事だと思います。

国際交流の場,日本の魅力発信

 大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。参加国数は153ヵ国・地域を予定し,2025年4月13日~10月13日の6ヵ月間行われ,来場見込みは2,800万人です。
 全体の構成のうち,テーマ事業は8人のプロデューサーがそれぞれ展示をしていくものです。パビリオンは日本や各国の政府,自治体に加え,企業・団体が独自に出展します。「未来社会ショーケース事業」は,いくつかのテーマで未来社会に向けた試みを行っていこうというものです。
 民間パビリオンは,日本電信電話,電気事業連合会,住友EXPO2025推進委員会,パナソニックホールディングス,三菱大阪・関西万博総合委員会,吉本興業ホールディングス,パソナグループ,特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン,バンダイナムコホールディングス,玉山デジタルテック,一般社団法人日本ガス協会,飯田グループホールディングス,一般社団法人大阪外食産業協会,という13のパビリオンになります。
 未来社会ショーケース事業は,「空飛ぶクルマ」が有名ですが,スマートモビリティ万博,デジタル万博,バーチャル万博,アート万博,グリーン万博,フューチャーライフ万博といった形で,万博を契機に未来社会に向けたトライアルになりそうなものが行われます。
 昨今,外国パビリオンを中心に建設が遅れていて,「大丈夫か?」という声が聞かれるようになりました。開催自体を危ぶむ報道も出ています。これを解決していくことが必要で,政府も推進体制の徹底的な強化を行いました。これまでとは違う緊張感で,残された期間で課題が解決されていくと期待しています。そうした課題を克服した結果として,一流国・日本として世界へコミットメントしていこうということです。

成功へ向けて応援の声を!

 そうした中でパナソニックは,関西に本社を置く企業として万博の盛り上げに協力していく必要があると考えました。そして,やはり自分たちでパビリオンを出すことが一番わかりやすい役割だと判断しました。
 70年万博では松下館としてパビリオンを出展しました。目玉展示はタイムカプセルで,当時の代表的な身の回りのものを5,000年後に見てもらおうというものでした。サンヨー館の目玉展示は「人間洗濯機」。洗剤を使わずに浸かっていれば超音波のバブルが出てきて,後は乾燥機できれいに乾くというものです。このような商品は今ありませんが,超音波洗浄などここで示したコンセプトは世の中に出ていっています。
 これらも踏まえ,今回の万博では「ノモの国」という名称に決めました。70年万博はモノの世界,モノの進化の世界でしたが,これからは心の豊かさだろう,ということで「モノ」でなく「ノモ」にしました。
 いまの時代のパビリオンですから環境共生・サーキュラーを実践しないといけません。そこで,ご家庭で使用済みの家電,廃家電をリサイクルし,それをパビリオンの材料にします。エネルギーも水素を燃料とした電池を入れて電力の一部を賄っていきます。
 万博は,持続可能な良い変化を生むために人々が手を取り合って行動する世界です。これはロータリーの活動と同じような思想で取り組んでいくべきものでしょう。官公庁や自治体,産業界に学術界などが力を合わせ,次の時代をつくっていくことの大事さを実践していこうということだと思います。
 大阪・関西万博の成功に向けて大事なのは「期待の声」「応援の声」です。成功を後押しする声を一つでも多く出していただくことが,大切です。「万博頑張ろう!」と声を出していただくことが大事ですので,ぜひよろしくお願いします。
(スライドとともに)