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2023年2月24日(金)第4,869回 例会

スマートエネルギー起点での地域の課題解決・街づくりに向けて

岸 本  照 之 氏

NTT アノードエナジー(株)
代表取締役社長
社長執行役員
岸 本  照 之 

1986年NTT入社。2008年NTT西日本 ネットワーク部担当部長,’12年NTTホームテクノ取締役関西支店長,’15年NTT西日本取締役,NTTフィールドテクノ代表取締役社長。’17年NTT西日本 取締役関西事業本部長,大阪支店長兼務。’19年常務取締役設備本部長,NTTネオメイト代表取締役社長,’22年6月現職。

 通信を本業としていたのですが,昨年7月から今度は電力を担わせていただくようになりました。通信を支える電力ということで,日本全体の通信ビルでNTTはもとより,au,ソフトバンク,楽天モバイルさん,各通信事業者様のネットワーク機能もお預かりしているという状況です。企業としてどういうふうに脱炭素,省エネに向けていくのか,エネルギー起点での街づくりができないかという話をさせていただけたらと思います。

分散型のエネルギー社会に

 菅政権の時に,日本はハードルの高い目標を設定しました。国を挙げて取り組んでいくということ。そしてここ関西の皆様の強みである「ものづくり」,技術面でのイノベーションが必要です。キーワードが再生可能エネルギー。太陽光発電,地熱,風力,バイオマス,日本全国で導入されてきております。今までの火力,原子力を中心とした電力というのは集中型。今後の再生可能エネルギーは地域の恵みを活用して分散型のエネルギー社会を作っていくところがポイントであります。とは言えまだ解決しなきゃいけない課題があります。
 国がやっているGX戦略会議のポイントは,国が20兆円を移行債という形で設定をしていく。これを起爆剤として民間の投資130兆円,具体的には22項目がありますが,電力に直接関係する分野,エネルギーということで1次エネルギーを使っている産業,そして様々な新技術,さらにはこのエネルギーをデジタル技術を使ってマネジメントしていく。そして地域のグリーン化といいますか,サステナブルな地域づくりというものをエネルギーでもやっていく,こういった様々な取り組みが柱となっています。この22の取り組みを皆さんに関係する部分は何か,振り返ってみていただけたらと思います。水素エンジンの車とかが出てくると考えています。蓄電池産業については,関西エリアで次世代の蓄電池を担う人材を育成,新しい技術が広がっていくんだと思います。

次世代通信技術で省エネを

 NTTグループは環境エネルギービジョンを掲げています。自ら脱炭素,カーボンニュートラルに向けてしっかり先駆者として取り組んでいく。その成果,運用ノウハウを企業の皆様と一緒に展開していきたいところです。徹底した省エネというところで,IOWN(アイオン)という次世代の通信技術をソニー,インテル,グローバルな通信キャリア,関西の財界の企業の方とかも含めて,約100社のグローバルフォーラムということで取り組んでいます。
 背景は,昨今のクラウド,データセンター,もしくは5Gといったような通信の高速化,このままいきますと電力の消費量が増える。これをIOWNの技術を使って低消費電力ということで100分の1にできないか。具体的には電力処理をしているコンピューターの部分を光で処理をすることによって,光と電力の変換ロスを少なくできないかということ。そしてさらに5Gの先につながる6G,これの大容量高速通信を実現できないか,そしてもっと低遅延で通信ができないか。こういったところを目標とした一つのネットワーク技術です。
 これらの成果を,ぜひとも2025年の大阪・関西万博で,マイルストーンとしてNTTパビリオン,さらには会場全体での個々人の方へのナビゲーション,そしてバーチャルエキスポといったような形でお見せすることができないかということを今検討しています。
 NTTグループのパビリオンとしては,キーワードとしてはテレパシー。万博も一つの大きな街づくりの実験場だと伺っておりますし,大阪でいきますとスーパーシティ構想ということで,業種業態を超えた街丸ごとのデジタル化の取り組みがあると考えております。

「地産地消」がコンセプト

 国全体として環境省が脱炭素先行地域100選といったような取り組みを昨年からスタートしました。全国のモデル地区100都市。ここで国から最高50億円でしたかね,10年間にわたる補助金もいただきながら先駆的な取り組みをして,その自治体,地域全体をサステナブルな環境に持ち込んでいく。すでに第1回,2回で66の地域が採択という形で決定しております。ちょうどまさに今第3回目の採択ということで,各自治体からも提案をしているという状況であります。関西圏においても大阪でいきますと堺,兵庫でいきますと尼崎,姫路,こういったところが第1回目で採択されています。実はアノードエナジーは第2回目で5都市の自治体様と一緒に申請させていただいて採択をされました。
 そのなかの一つの仕組みとして,その地域でできたエネルギーを地域の中でうまく使う。電送ロスをなくし,地産地消という形でうまく作れればそこに新たな産業を誘致していく。もしくは,エネルギー起点で,それぞれの地域の交通であるとか,教育,医療,観光,様々な業種業態にフィードバックができないかというところがポイントになります。地域の分散エネルギーをまとめていく地域新電力会社,こういったものに自治体からも出資をいただき,地元の金融機関,地元の企業の皆様,そしてわれわれも参画させていただく。
 われわれとしては,街づくりに向けた地産地消率向上サービス,こういったものをコンセプトに取り組ませていただいている状況です。通信とエネルギーという観点で,日本,関西全体の脱炭素カーボンニュートラルに向けても一緒になって取り組ませていただきたいということ。万博,スーパーシティ構想トリガーとしてこの関西を元気にしていく,そして関西発日本,世界にということで,ここにおられる皆様と一緒になってサステイナブルな街づくりに取り組ませていただけたらと思います。
(スライドとともに)