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2023年1月27日(金)第4,865回 例会

私の考えるBCP その2

細 川  悦 男 君(機械・装置製造)

会 員 細 川  悦 男  (機械・装置製造)

1951年大阪生まれ。’74年甲南大学経済学部卒業。同年(株)細川鉄工所入社,同年6月Mikro Pul Corp. 駐在。’80年ホソカワミクロン(株)に社名変更。2010年~’11年(株)ユノインターナショナル代表取締役社長。’15年ホソカワミクロン代表取締役社長,’21年取締役会長,現在に至る。
当クラブ入会1996年4月。副会長,国際奉仕・情報・規定・RACなど数々の委員長,副S.A.A.を歴任。米山功労者(M3 )・PHF。

 実は卓話でBCPのお話をするのは2回目でして,第1回目は2017年6月で,そのときの13項目で,皆様の会社で実行されたのは,多分あまりないと思います。なぜなら,最近の新型コロナウイルスの出現やら,ウクライナ,ロシアの戦争ございますけれども,何とか日本国内ではやれてきております。うちの会社は,まあ偶然かもしれませんけれども3つのことが達成できております。
 今の社長以上は会社の近くに住んでおります。工場も新設,非常に余裕を持った設計で竣工しております。近所の空き地をうまく確保できまして,そこに今はサービス部門を配置して,効率のいい仕事ができております。これ,いざとなればまた別の工場に建て替える予定です。この3つだけで,ほかのことはほとんどできていません。
 これはなぜか。やはり日本という国は平和であるという証ではないかと思います。逆に言えば,危機管理があまりできてないということにもつながると思います。
 やはり十分な警戒をしなければならない。この時代,何が起こるか全く予想がつきません。あと5年たてばまた世界は大きく変わるかもしれません。実際,現在のロシア,ウクライナの争いとか,新型コロナのことなどは,6年前にこれが想像できたか。今の物価上昇,日本はまだましなほうですけども,それから物不足,これも想像できなかったでしょう。

BCPの実地訓練を

 皆様の会社において防災訓練というのは多分定期的に行われていると思います。一度BCPの実地訓練をされてみたらどうかと思います。1日でいいから,出社できる人だけで仕事をしてみたらどうなるかと。当然,ちょっと危険が伴いますので,一応出社できる人にしてもらって,ほかの人たちは横でちょっと見ておって,よほどの問題がない限り口や手を出さないというふうな訓練をやってみて,その後で何が問題だったか,そういうことを考えてみたらいいんじゃないか。できるんじゃないかということを提案したいと思います。
 これまでBCPについてお話ししましたけども,これからは個人としてのLCP(Life Continuity Plan 生活継続計画),こういうものも大事になってきます。先日雪で電車に閉じ込められたとか,雪で自動車が動かなくなったとか,命に関わることなんで,そういう時にどうしたらいいかということも考えてみました。

LCPも重視を

 今医薬品が不足しているというのを聞いています。極端な話,これがなくなったらどうなる。私,心臓に基礎疾患がありまして,ベータブロッカーという交感神経を抑える薬,診察を受けた後に製剤薬局にもらいに行ったら,「この薬,今ありません。ジェネリックだったらありますよ」と。仕方ないからその時初めてジェネリックを使いました。もう何十年も飲んでいる薬が急にないとなりますと,精神的に非常に悪いです。これは国が制御するなり,生産調整をうまくやるなり,あるいは輸入するなり,そういうことをよく考えていただきたいということです。まさに肝を冷やしました。
 それからもう一つ,あり得ることですけれども,隣の家が火事になったら皆さんどうされますか。何か対策を打たれているでしょうか。防災のリュックなんかのグッズは売っていますけど,これをどこに置かれているか。―押入れの奥に入れとったら,取りに行っている間に煙にまかれます。ちゃんと玄関に置いて,ということとか,あるいは毎日どんなふうな風向きなのか,どっち側へ逃げるべきかと。そういうことも「LCP」として考えていただいたらどうかなということでございます。
 それからもう一つ,これも将来あり得る話ですけども,これは命に関わらないものですけども,「公用語を英語にしなさい」と言われた場合にどう対応するか。最近,アプリとかソフトで翻訳機能が非常に発達して正確になっています。問題は訓練です。ぜひ若い人たちに,新入社員教育の一環でそういうのをやらせてみればどうかなと思います。
 それからもしも会社の存続に関わるようなことが起きた場合にどうするかということに関して,私の勝手な考えですけども,最悪の場合にM&Aでホワイトナイト的なパートナーがいるかどうかを模索して目をつけておく。まあ日頃のおつき合いを大事にしておくということも大事です。

「コロナ5種」にも準備を

 あと,コロナですが,5月に「5種」になるんですね。皆さんの会社でどういう対応をとるかというマニュアルも今から作っておかないと,家族が感染者で熱が出て家で寝ているという場合,濃厚接触者がそのまま会社に出てきてもらっていいのかといいますと,今の時点では非常に不安です。国の方針は方針として,会社の方針としてはどうするかということは本当に真剣に考えて,従業員にこの指針を示さないと非常に不安を持つんじゃないか。
 最後,コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)ですが,人間はやる能力を持っていると思います。それをもっと活用しなきゃいけない。常識をひっくり返す能力,これもあると思います。このために何が大事か。若い人の考え,バイタリティを今のうちにうまく活用していけるような組織を,ぜひ皆さんで作っていただきたいと思います。