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2021年8月6日(金)第4,799回 例会

地域社会と取り組むSDGs ~岡山経済同友会の取り組み~

宮 長  雅 人 氏

一般社団法人 岡山経済同友会 代表幹事
(株)中国銀行 取締役会長
宮 長  雅 人 

1954年岡山県新見市生まれ。’77年に早稲田大学を卒業後,中国銀行へ入行。’99年に田ノ口支店長に就任し,その後融資管理部長,福山支店長を歴任。2005年に取締役融資部長就任,’07年に常務取締役就任後,’11年に代表取締役頭取に就任。’19年取締役会長に就任し現在に至る。
’13年から(一社)岡山県国際経済交流協会 会長,’18年から(一社)岡山経済同友会 代表幹事。
’11年9月より岡山RC,現在会員増強委員会所属。

 岡山経済同友会が地域で取り組んでいるSDGsをテーマにお話しします。岡山経済同友会では3年前に「SDGs研究・推進会議」を立ち上げ,この会議体がSDGs活動の主体的役割を担っています。地域の活性化のため,地域創生のために,皆でSDGsの取り組みをやりませんかという提言をしており,岡山の経済をどうしていくかということを民間の側面から考えています。

ウェルビーイングな地球を目指す

 岡山経済同友会がなぜSDGsの活動を始めたのか。2017年に創立70周年を迎えた際,100周年となる30年後のあるべき姿を想像した提言書「30年後の同胞へのメッセージ」をまとめました。その中で,世界から注目されるモデル地域「桃太郎の郷(くに)」の確立を目指そうという目標を決めました。世界に誇れる地方都市を目指すためには,それにふさわしい経済力,文化力,人財力を高めることが大切で,それが30年後のあるべき姿につながっていくと考えました。
 30年後の未来のために今何をなすべきかを考える中で,「サステナブル(持続可能性)」というキーワードが浮上しました。「SDGsの実践」ということを国連が提唱していますが,我々は地道な地域ぐるみの課題解決の活動に置き替え,地域と共にSDGsを実現しようと考えました。今大変問題になっている気候変動は,人類として無視できない状況になっています。住み続けられる地球,「ウェルビーイングな地球」を目指していくのが我々現役世代の役割ではないかという点からもSDGsを実践していく意味はあると思っています。
 東京一極集中や地方の衰退に歯止めをかけるための地方創生が叫ばれてもう久しいですが,東京の箱モノをそのまま地方に持ってきたり,上場企業の工場を移したりすれば,雇用の創出などの面での活性化は図れるかもしれません。しかしそれだけでは魅力ある地域づくりにはならないだろうと私は考えています。
 SDGsの目標を地方の課題解決という側面に置き替え,そこに住んでいる人,そこに根を下ろしている企業,行政,学校,そういう方々が一緒になって地域のためにどうしたらいいのか,どうしたら魅力ある地域づくりができるのか,そういうことを創造していくことが本当の意味での地方創生だと私は思っています。皆が同じ方向を向いていく軸にSDGsを活用する。そういう活動をぜひ続けていきたいと考えています。

「産官学金言民」の連携

 岡山県内では,政府認定の「SDGs未来都市」に岡山市,真庭市,倉敷市,西粟倉村の4自治体が選ばれており,「ジャパンSDGsアワード」の特別賞を岡山大学と山陽学園中学・高校地歴部が受賞しています。このような全国レベルの取り組みを県内に広げていく役割を同友会が担えないかと考え,これらの活動を取りまとめた提言書「地域全体で取り組むSDGs先進県へ」を昨年作成しました。提言にあたってのビジョンとして,「産・官・学・金・言・民」(企業・自治体・大学・金融・報道・県民)の連携を一層推進しようと打ち出しました。
 提言内容を5つの項目に分けますと,1つ目が,SDGsを各企業の本業に即したミッションにするということ。社会貢献やCSRもさることながら,本業のビジネスにSDGsをどう結び付けていくかという観点でやりませんかという提言です。2つ目が,社会課題の解決型人財育成を推進すること。特に中学生・高校生・大学生の人財育成を,SDGsについてできないかということです。3つ目が,災害に強い地域づくり。岡山は災害が比較的少なく,例えば南海トラフ地震の際には,災害支援拠点としての機能をもっと持つべきではないかということです。4つ目が,持続可能な地域づくりで,最後の5つ目に,地域での連携・パートナーシップの確立を挙げています。

岡山をSDGs先進県へ

 具体的な取り組み事例を紹介します。1つ目は,高校生向けの「おかやまSDGsマップ」です。高校の先生から,「SDGsを学校で取り上げたいが,企業がどんなことをやっているのかわかる手段はないか」と中国銀行の担当者に相談があり,会長である私に話が上がってきました。そこで岡山経済同友会と一緒に考えることになりました。同友会の会員に協力してもらい,各会員企業のSDGsの取り組みを冊子にまとめ,今年3月に県内すべての高校に寄贈しました。各企業の所在地がマッピングされており,企業の取り組みのほか,担当部署の電話番号も記しました。高校生と企業をつなぎ,SDGsを通じて交流をすることで,企業も,高校生も,いろいろな発見ができないかと狙っています。
 2つ目は,大学生向けの「ボランティアプロフェッサー」です。各企業のSDGsの取り組みを大学生にも知ってもらおうと,同友会の会員が岡山大学経済学部の講義に登壇し,「企業経営とSDGs」をテーマに話をしています。今年4月から7月まで計12人が講師となり,トップバッターは私が務めました。
 地域との連携事例としては,「おかやまSDGsアワード」を実現しました。地域課題の解決に尽力している団体を顕彰するもので,初回の昨年度は75団体が応募し,6団体を表彰しました。こういう取り組みを地道に続け,SDGsに対して私も参画してみようとの気持ちになっていただける場になればと願っています。同友会のお手伝いによって,岡山県をSDGs先進県にしたいと思っています。
(スライドとともに)