大阪ロータリークラブ

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2021年7月2日(金)第4,795回 例会

新年度を迎えて

鳥 井  信 吾 君(酒精・清涼飲料)

会 長 鳥 井  信 吾  (酒精・清涼飲料)

1953年生まれ。’75年甲南大学理学部卒業,’79年南カリフォルニア大学大学院修了。’80年伊藤忠商事(株)入社。’83年サントリー(株)入社。2014年よりサントリーホールディングス(株)代表取締役副会長。現在,大阪商工会議所副会頭,在大阪デンマーク王国・在大阪スペイン王国名誉領事等を務める。’02年当クラブ入会。’05年出席委員長,’17年プログラム委員長,その他委員会の副委員長を歴任。

 本年度会長を仰せつかりました。重責に身の引き締まる思いがしております。浅学菲才ではございますが,精いっぱい務めたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。コロナウイルスの流行という世界的な大災害が起こり,前年度の堀会長,江藤幹事をはじめ,役員の皆様の巧みな舵取りと,ロータリアンの皆様の協力と忍耐,事務局の皆さんのご尽力で,この荒波を乗り切ってこられました。しかしまだ,コロナウイルスの流行は終わったわけではございません。今一度,ロータリーも「安全第一」,「健康第一」で注意を喚起してまいりましょう。
 そして当クラブは今年度,吉川秀隆ガバナーを輩出しています。12月3日に開催される地区大会に向けて,クラブを挙げて支援してまいりましょう。

サマーキャンプの思い出

 大阪RCは次年度,「創立100周年」の節目を迎えます。当クラブが創立されたのは1922年。この年,ワシントン軍縮条約が締結され,日本にとって不利な内容だと日本の軍部が二つに分かれて,後の大きな争いの種を生みました。戦争の足音が,響き始めた年であり,大阪RCの歴史は,100年の風雪に耐えた栄光の歴史であると思います。
 私が大阪RCに入会したのは,2002年7月でした。その前に3年ほど東京南RCに入っていましたので,計23年間ぐらいお世話になっています。さらに昔のことですが,六甲山の山頂にキャンプ場があり,そこで開かれるサマーキャンプに,小学校から中学校まで毎年参加していました。このサマーキャンプは大阪RCと大阪YMCAの共催で,毎朝,広場に掲揚される大阪RCと大阪YMCAの旗を見ながら,大阪RCと大阪YMCAの歌を合唱していました。「四つのテスト」も毎朝唱和していたので,ロータリーソングも四つのテストも自然と覚えてしまいました。
 このキャンプでは,大阪RCがアレンジした講演会があり,大阪大学の総長を務められた生化学者の赤堀四郎教授も登壇されました。子供心に「すごい大先生が来られた」と,赤堀先生の表情まで覚えています。当時から大阪RCは子供の奉仕に積極的で,私もその恩恵を受けた一人。未来の「子供たちのために」ということが,大阪RCの一つのテーマです。日本の将来は,教育の質と子供たちで決まります。皆様のご協力とご支援をよろしくお願いしたいと思っています。

ウイスキーは「文化」

 サントリーでの私の仕事は「マスターブレンダー」です。樽ごとに異なるウイスキーの出来具合から,ブレンダーがこの樽とこの樽を混ぜてこうするというようなことを決めていくのに対し,マスターブレンダーは,レストランのオーナーのようなもの。どんなメニューや商品を出していくのか,どんなタイプの原酒をつくっていくのかということを考えます。さらにウイスキー部門の組織をどう改善し,次の世代にどう引き継いでいくのかを考えることが,私の最大のテーマになっています。
 ウイスキーの熟成というのは,ワインと非常に似ています。30年ぐらい熟成させると,ウイスキーとワインは香りまで似てくるんです。しかしこの熟成という現象は科学で解くことができない。サントリーは50年間,ウイスキーの香味物質と,ブレンダーが感じる香味の関係性を科学的に研究してきましたが,熟成という現象は何一つ説明できなかった。機械は分解しても元通りに組み直すことができるが,ウイスキーやワインは解体すると,もう元には戻らない。そんなイメージから,ウイスキーは「文化」と言っていいのかなと思っています。

若者たちが牽引するコロナ後の世界

 コロナが終わったらどんな世界になるのか。私が考えていることを申し上げます。米国にあるサントリーの子会社「ビーム社」は,世界第3位のスピリッツメーカー,世界第2位のバーボンメーカーですが,同社のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の言葉によると,「これからの米国の消費を牽引し,社会の中核になるのは,ミレニアル世代という20代後半から30代にかけての世代と,Z世代という10代から20代前半の若者である」ということです。
 彼らの特徴は第1に,デジタル世代であること。第2に,多様性を受け入れ,今までの世代より社会性が高いことです。人種,ジェンダー,ハンディキャップ,学歴,職業,出身などの多様性に興味と関心があり,それを楽しむことができる。第3に,個人を大切にする。「自分はどこから来てどこに行くのか?」ということを考え,自分に対して正直でありたいと思っている。第4に,サステナビリティに大変関心が高い。SDGsにも関心が高い。第5に,「共感」と「体験」を大切にする。
 コロナ後の世界は,この5つの価値観を持った若者たちが牽引していくと思っています。コロナ後の消費社会は,なし崩し的に変わるというのではなくて,ミレニアル世代やZ世代の若者の考え方や思考,ムーブメントによって大きく変わっていくでしょう。
 日本はどうか。全体的に日本は,3年とか5年とか,場合によっては10年遅れで米国の流行が来る。その点,私たちロータリアンは,週1回,卓話を聞くことができます。リアルあるいはハイブリッドのロータリー例会を通じて,世界と日本を感じていきたい。
 本年1年間,大阪RCの100年の伝統を引き継いで,さらに発展,充実したものとすべく,常に前を向いて歩んでいきたいと思っています。皆様のご指導,ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
(スライドとともに)