1960年生まれ。’83年4月大阪府庁入庁。大阪国際ビジネス振興協会主任,企業局企業監理課主査,香港事務所長,豪・クィーンズランド州政府大阪事務所マネージャー,シンガポール事務所長,自治体国際化協会北京事務所副所長,商工労働部立地経済交流課参事,大阪府漁業振興基金事務局長,大阪海区漁業調整委員会書記長,水産課長等を歴任。2018年4月より(公財)大阪府国際交流財団常務理事兼事務局長,現在に至る。
きょうは新型コロナと外国人支援の話がメインですけれども,その前に,大阪府内の外国人の状況と,私どもの組織の概要についてお話しします。
まず大阪府内の外国人の状況ですけれども,在留外国人の数は大きく伸びています。どんな国の方々が大阪にいらっしゃるかというと,韓国の方が一番多く,続いて中国,ベトナム,フィリピンといった形で外国の方がいらっしゃいます。
大阪にはいろんな国・地域の方がお住まいになっているというのが特徴です。日本の中でも,立地している製造業との関係などで特定の国の方が多く集まっている地域もありますが,大阪はいろんな国の方々がお住まいになっていて,これは多様な方が大阪に活力をもたらすという面があるのと同時に,いろいろとお世話をする面での課題もあります。
私どもの組織の概要は,1989(平成元)年に設立されまして,2012(平成24)年に公益財団に移行しました。理事長は貴クラブ元会長でタカラベルモント(株)の吉川秀隆代表取締役会長兼社長です。行政改革の折りに,大阪府との仕事の見直しの中で一度私どもの財団は廃止をしようかということになりましたが,どんどん外国の方も増え,国際的なイベントも多数行われつつある中で,やはり必要ということで団体の存続が数年前に決まりまして,その中で民間の経営ノウハウもぜひ頂きたい,民間の会社とも広くつながっていきたいということで吉川理事長にお願いをしました。
きょうのメインの「新型コロナと外国人支援」についてですが,まず大阪府外国人情報コーナーという名称で,外国人に向けた日常的なお困り事の相談,それと同時にいろんな形での情報提供をしています。
外国の方が多くご相談に来られますけれども,外国人を雇用されている事業主の方であったり,外国人と日常的に接している福祉の機関や病院などの方も相談に来られたりしています。
英語,中国語,韓国・朝鮮語,ポルトガル,スペイン,ベトナム,フィリピン,タイ,インドネシア,ネパール,日本語の「11言語」で対応しています。そのほか希少言語といわれる言語についても,外部の登録相談員にお願いして,事前に予約いただければ,通訳的なことや相談にも応じますよとしています。同時にいろんな情報提供をするということで,お困り事のQ&Aをつくったり,生活ガイドをつくったりもしています。
きょうのメインのコロナ関連ですが,コロナの相談を開始したのは昨年の1月31日で,大阪府でコロナ関係の窓口が立ち上がるのに合わせて,外国の方向けに多言語で相談を受けますということで,コールセンター的な機能を果しております。それが立ち上がって2,3,4月ころが多く,少しおさまった後,今度はいろんな給付などが始まりましたので,それについての相談でまた一つの大きな山がありました。それとまた昨年11月ぐらいから大きな山になってきています。
コロナ関連の相談としては70%が医療の関係です。具体的な相談の事例ですけれども,医療の関係では,感染不安のことであるとかPCRの検査を受けられるんだろうかといったこと,それと受診を拒否されてしまったということもかなりあるようです。これは必ずしも外国人だから拒否ということではないと思いますけれども,外国の方にしてみると,外国人だから拒否されたんじゃないかといってこられる方がかなりいらっしゃいます。
実際に検査を受けて陽性になったがこの後どうなるんだろうという相談が最近は結構あります。それと医療関係に問い合わせをしたりする上で,何とか言葉の面で支援をしてくださいといった相談もあります。
医療以外では,陰性証明を出せと言われているとか,出入国に関すること,雇い止めになってしまったとか在留資格の問題,それと給付関係でどんな形で給付が受けられるかといった相談があります。
いろんな形で情報が溢れているけれど,なかなか外国の方に的確に届かない,政府も一生懸命やっておられますが,省庁ごとに情報が提供されていて,なかなか自分たちが欲しい情報が手に入らないといったことが大きな悩みのようです。私どもも完璧ではありませんが,入国関係,生活支援,各種給付金,労働という4つの情報分野に分けまして,トップ画面にアクセスしてもらったら,できるだけ早くその情報にたどり着けるようにということで情報提供をしています。
外国人支援アプリの活用では「Osaka Safe Travels」というアプリを開発しました。もともとはインバウンドのお客さん向けに開発したアプリですが,これは日常的に大阪にお住まいの方にも十分利用してもらえるものなので,それを使ってコロナ関係の情報なんかも適宜流すといったことをしています。
やはりコミュニケーションギャップなどもあって,外国の方はかなり不安を抱えておられると思います。特に大きなコミュニティがあるようなところでしたら,日常的に情報交換をしたりして,結構自分たちの間で助け合うことができるんでしょうが,そういうことのない方は本当に不安が大きいのかなと思います。できるだけそういう人たちのケアができるようにということで取り組んでいます。
(スライド・映像とともに)