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2020年11月6日(金)第4,770回 例会

財団寄付と補助金モデル

立 野  純 三 君

会員・パストガバナー 立 野  純 三 

1947年生まれ。甲南大学法学部卒業。’70年(株)青木建設入社。’73年(株)ユニオン入社,’90年同社代表取締役社長。本業の傍ら’87年大阪青年会議所理事長,’90~2004年セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン理事長,’ 07年~08年大阪市教育委員会委員長,大阪商工会議所副会頭など種々の団体で活躍。1989年当クラブ入会,クラブ幹事ほか数多くの理事・委員長を歴任。
2013~14年度会長。2015~16年度2660地区ガバナー。2020~21年度地区規定審議・ビジョン策定委員会委員長。米山・財団メジャードナー,財団アーチ・クランフ・ソサエティ。

 本日はできるだけわかりやすく,と思っておりますが,テーマがテーマですので,かたい話になってしまいます。ご勘弁いただきたいと思っております。

会員から1回限りの寄付を募る

 最初にロータリー財団の歴史です。国際ロータリー(RI)は,1914年に第一次世界大戦の影響で財政上破綻の状態に陥りました。この時,会員から1回限りの寄付を募り,切り抜けましたが,アーチ・クランフ(第6代RI会長)はこの事実を憂慮しました。そこで,戦争や経済危機など予期せぬ理由で会費収入が減少しても国際ロータリーの財務を安定に保つために,恒久的基金の必要性と,「世界で良いことをしよう」という目的から,アトランタ国際大会で基金成立を呼びかけたと言われています。この基金が国際ロータリーの基礎となり,ロータリーを不滅にする手段と考えたようです。
 基金設立やロータリー財団の創立に尽力したことで「ロータリー財団の父」といわれるアーチ・クランフですが,彼はほかにも標準定款の起草,地区のコンセプト,地区ガバナーを創設し,ロータリーの拡大・増強など数多くの功績を残しております。
 ’28年にロータリー財団が創立され,’30年にポール・ハリスの個人寄付500ドルを利用して障害児協会を支援したのが,初の財団補助金活動と言われています。’47年,ポール・ハリスが逝去します。生前,ポールは「没後,記念碑を立てないよう,葬儀で花を手向けることも遠慮してほしい」と話していたことから,世界中のロータリーからポールの死を悼み,130万ドルの寄付が寄せられます。そして初の奨学金制度「高等教育のための奨学金(後の財団親善奨学制度)」が1947年に開始され,初年度18名の若者が海外留学し専門分野で学業に励んだわけです。
 ’51年にクランフは82歳で逝去しますが,このとき彼が心血を注いで育てた財団の募金は300万ドルに達していました。その後,’63年にRI会長カール・ミラーが国際理解と親善を育むことを目的に,その当時の272あった地区を別の国と縁組みさせ,文化と習慣を学ぶことを奨励し,国際奉仕を促進しました。この「組合せ地区」が契機となり,ロータリアンが共同プロジェクトに取り組み始め,財団は様々な補助金モデルを提供し,さらに発展してまいります。

財団独特の資金モデル

 ロータリアンの寄付は,シェアシステムという財団独特の資金モデルによって,ロータリアンの奉仕活動を支えています。寄付には,「年次基金寄付」「恒久基金寄付」「ポリオプラス基金寄付」の3種類があります。シェアシステムでは「年次基金」と「恒久基金」が運用されています。「年次基金」とは,例えば当地区では,毎年ガバナーが「本年度は1人当たり150ドル以上」というような目標金額を掲げ,各ロータリアンに協力を要請しています。1,000ドル以上寄付した人の認証がポール・ハリス・フェローです。「恒久基金」,この基金への寄付は投資され,その収益だけが財団プログラムの支援に使われます。1,000ドル以上を寄付した人にはベネファクターの称号が与えられます。「恒久基金」は,将来的に財団プログラムをさらに安定させる基金です。
 「年次基金」は,3年間投資に回された後,50%が地区のDDF(地区財団活動資金)として戻り,残り50%は財団が管理し,国際財団活動資金(WF)と呼ばれています。「恒久基金」は,元本はそのまま積み立てられ,投資収益の50%が地区に配分されます。
 災害救援補助金は2019年から開始されましたが,災害被災地の救援と復旧支援を目的とするロータリー災害救援基金から補助金を授与しております。被災地区は災害救援基金に十分な蓄えがある場合,最高2万5,000ドルまで申請することができます。今年度は対象から外れましたが,前年度の2019~20年度の後半には,新型コロナ対応にもこの補助金が認められ支援されました。このコロナの支援には,世界で200件を超える申請があったと聞いております。
 日本のロータリアンの寄付についてですが,グローバル補助金が導入された2013~14年度には,868件4,730万ドルの補助金が授与されましたが,2018~19年度には,1,403件8,660万ドルを授与するまでに拡大をしております。日本はアメリカ,インド,韓国に次いで寄付額上位4番目で,国内34地区の寄付は7年間で30%近く増加をしております。しかし問題は,全世界で補助金の需要が80%増した一方で,それに対応するための寄付が同期間に7%しか伸びていないということです。われわれ先進国のロータリーの寄付がこれからますます重要性を増し,世界の奉仕活動を支えていくということを忘れてはいけないと思います。
 次に2019~20年度の年次基金寄付の実績です。日本の財団の目標は「年次基金寄付目標を1人当たり150ドル,寄付金ゼロクラブをなくすこと」としていますが,34地区中,寄付額が100ドル以下が4地区,150ドル以下が22地区,また寄付ゼロクラブのある地区が1地区あるのが現状です。当2660地区は,34地区中7番目,1人当たりの年次基金寄付は181.01ドルです。ポリオプラス寄付は,当地区は2位を大きく離してのダントツの1位です。

今こそ行動を

 現在,新型コロナウイルス感染拡大によって多くの業界が疲弊し,地域経済が衰退し,世界中で困窮している人々が助けを待っています。このような時期こそ,大阪RCが行動を起こすべきではないかと思います。
(スライドとともに)