大阪ロータリークラブ

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2020年3月27日(金)第4,751回 例会

防災×SDGsで未来の防災を変える!
~U-15のチカラで作る防災力日本一の大阪

出 水  眞由美 氏

ママコミュ!ドットコム
代表
出 水  眞由美 
(いずみ)

1989年大阪市立大学経済学部卒業。(財)大阪国際交流センター入社,2014年退社,同年,ママコミュ!ドットコム設立,代表に就任。’16年日本・ベルギー友好150周年記念事業事務局長。’17年日本防災士機構認証防災士,U-15のための防災カレッジ主宰。 ’19年「CSOアワード」で「大阪ロータリークラブ賞」(当クラブ今年度社会奉仕事業)受賞。

 皆様にとって防災を考える上での一つのきっかけとなれば幸いでございます。
 U-15,まだまだ小さい子どもたちが,これから未来を生きていく上で,防災力を身につけ,この大阪を防災力日本一に変えていけたらという思いを込めて取り組んでいます。

子ども視点の防災,子どもは強い

 公益財団法人大阪国際交流センターに勤務中の2007年,息子を出産,仕事の重責との狭間で,自分らしさにこだわった“ワタシ流働き方改革”ができないかと思い立ち会社を退職,’13年に「ママコミュ!ドットコム」という公益法人を立ち上げました。防災の取り組みにつきましては’17年,防災士の資格を取得しました。
 私たちが目指す子ども視点の防災ですが,自分の子どもだけでなく,皆様の会社で働いておられる従業員の方,そしてご親族,ご友人,いろんなところに小さいお子さんがいらっしゃる,そういう子どもたちの力を大阪の防災につなげていくという取り組みです。
 防災というのは中途半端な知識であったり,聞きかじりの情報を伝えたりするというのは非常に危険です。災害が発生したとき,大人は冷静にかつ的確な行動ができると思います。しかし子どもにとっては最も危険な状況に直面します。親と一緒とは限らない,誰かと一緒とは限らない,誰かが助けてくれるとも限りません。ですので,子どもにこそもっと防災の力を持ってもらうべきではないかと考えております。
 子どもは弱いと思われているかも分かりませんが,子どもには大人に負けない強みがあります。朝から晩まで地域にいる時間が非常に長い,地域のことをよく知っている,子どもたちはリアルでつながる友達が非常に多いのです。また柔軟な考え,新しいアイデア,生まれつきデジタル機器に囲まれて育っていますので,デジタル機器の操作にも慣れています。それに,何よりも5年後,10年後の社会の主役になっていきます。そういう点が子どもの強みではないかと考えています。未来の大阪の防災を変えていくのは子どもの役割,そう考えています。

U-15のための防災カレッジ

 私どもが取り組むU-15のための防災カレッジですが,3つの入口を用意しています。
 私たちが大事にしている視点の1つ。防災の専門家から直接学ぶ,そして一緒に考える機会を通して自らの力にする。大人でも聞いてみたいという話を子どもたちに,とても丁寧に,とてもわかりやすく,そして未来の防災を一緒に考える,そんな視点で一緒に学ぶ機会をともにしています。
 昨年の夏から始まりましたU-15のための防災カレッジの1つ目は「ジュニア防災キャプテン認定講座」。防災の基礎から応用,そして行動力までを培う講座です。防災は自分自身を強くする,そして自分の命を守る,自分の大切な人の命を守るとても大事なことだということを子どもたちは理解してくれ,生き生きとした目で話を聞いてくれています。
 2つ目は「おやこ防災クッキング」。災害時に今と同じものが食べられるとは限らない。そういった視点で災害時に調達ができる食材で,栄養豊かに,アレルギーの方にも対応できる,そういうポイントでどんなものが作ることができるかということを皆で考えるクッキングレッスンです。皆さん,力を合わせておいしいメニューを作ってくれました。
 3つ目は「プロフェッショナルと考えるミライの防災ワークショップ」。名前のとおり,プロフェッショナルが実際に子どもと対面し学びます。ここでは子ども扱いしないということです。子どもたちはしっかり聞いてくれます。DMAT(災害派遣医療チーム)の方の話など,子どもたちはしっかり受け止めてくれました。
 このカレッジのもう一つのターゲットは親世代です。子どもの防災意識の変化を身近に感じることで,親御さん,そして大人の意識も変えていこう,こう考えています。
 今後10年間,今はまだ幼い子どもたちが防災力を自らの生きる力とし,社会とつながることで,災害に強い大阪を実現する,そう信じて私たちは取り組んでいます。

子どもにとって社会の入り口が防災に

 U-15のための防災カレッジの中でのクイズの1つ。’18年9月4日,台風21号が大阪を襲い,大阪市内では最大瞬間風速47.4mを観測,非常に大きな被害がありました。「風速47.4m,最も近いものはどれでしょう?」
・〔陸上〕サニブラウン選手の100m走
・〔テニス〕大坂なおみ選手のサーブ
・〔バドミントン〕桃田選手のスマッシュ
・〔大リーグ〕大谷選手の剛速球
 時速に換算すると170㎞。サニブラウン選手の100m走の時速は36㎞。大坂なおみ選手のサーブは時速200㎞ぐらい。桃田選手のスマッシュの最高速は時速400㎞。そして大リーグ大谷選手の剛速球は時速160㎞ぐらいということで,答えは「大谷選手の剛速球と同じぐらいの速さの風が大阪で吹いたよ」ということです。
 クイズを通して「あれだけの速さの風,特に風だけではなくいろんなものを巻き込んで飛んでくる。そう考えると,家のガラスだとか,扉だとか,飛ばないようにしないといけないね」ということで,子どもたちの中から自然にアイデアが出てくる,対策が出てくる,そういうことが昨夏の講座でした。
 一問だけ紹介しましたが,子どもたちにとっては社会の入り口,その一つが防災であっていいのではないかと考えています。
 人の命を奪う,人の財産を奪う,非常に恐ろしいものですが,これを機に,われわれが大阪を防災力では日本一だと言えるような,そういった活動につなげてまいりたいと考えております。
(スライドとともに)