1991年1月生まれ韓国・ソウル市出身。2009~’12年立命館アジア太平洋大学で国際経営を学ぶ。’13年~’15年3月まで大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程。’15年4月から同大学院経済学研究科博士後期課程3年に在学。
2660地区米山記念奨学生として’17年4月~’18年3月末まで当クラブ受入れ。
本日は,クラブの皆さんにソーシャルメディアを通じたコミュニケーションの進化についてお話しさせていただきたいと思います。
SNSとは,Social Networking Serviceの略語です。つまり,オンラインを通じ,社会的なネットワークを作り,人と人とがコミュニケーションをするプラットフォーム(土台となる環境)を提供するサービスのことです。
全世界で有名な「Facebook」は,登録しているユーザーがFacebookというバーチャル(仮想)環境を通じて,自分の基本的な情報を他のユーザーに公開したり,日常などを共有することができます。利用者は約20億人もいます。「Twitter」は「140文字以内」の短い文章の「ツイート」で,自分の考えを他のユーザーと共有するメディアです。他のユーザーのツイートをリツイート(再投稿)することで情報の広がる速度が非常に速いので,若者層へのプロモーションに適しています。
FacebookやTwitterなどは,消費者と密接な関係があります。ソーシャルメディアに関する消費者行動は大きく二つあり,商品の評価を検索すると同時に,商品の評価のシェアも常にしています。
それを理解する前提として,「消費者生成メディア」(CGM)について話していきたいと思います。CGMとは,Consumer Generated Mediaの略語です。例えば「@cosme(アットコスメ)」という日本のコスメ(化粧品)・美容のサイトがあります。消費者は,「@cosme」を利用して,他のユーザーからの情報「クチコミランキング」をチェックしたり,スキンケアとかメイクの情報をユーザー同士で交換したりすることができます。企業からではなく,消費者が直接書いた情報を購買意思決定に反映しているのです。
なぜ消費者はバーチャル空間を利用してコミュニケーションをしていくのでしょうか。消費者行動論によると,従来の消費者モデルには,「AIDMA(アイドマ)モデル」があり,「気を引かれて,興味を持って,欲しくなって,それを記憶して,最後に購買する」というプロセスでした。しかし,最近の消費者行動論では,少し発展した「AISAS(アイサス)モデル」が提案されています。「気を引かれて,興味を持って」は同じですが,「それを検索して,物を買って」,さらに「広める」という行動モデルです。リサーチとシェア,つまり消費者が自ら情報を検索して,広めるようになったのです。
なじみのある「口コミ」は,消費者行動論では個人の口を仲介して行われるうわさや評判などの伝達を表し,それに対する人と人の間のコミュニケーションを示しております。しかし,オンライン上でのクチコミ,いわゆる「eクチコミ」,「ネットクチコミ」と呼ばれるものは,異なった特徴があります。
まず「匿名性」です。見知らぬ人と商品についての情報を交換しますが,その時のコミュニケーションのカギは「共感」です。同じカテゴリーに興味を持っている人たちが集まるので,まったく知らない人からの情報でも,違和感なく自分の意思決定の参考にする消費者が増えているのです。
2番目は,「情報の可視性」です。オンラインクチコミの基本は,テキスト(文章)ベースで行われているコミュニケーションです。情報を交換したり,文章をそのまま他の人に伝え,共有することができるので,現実よりコミュニケーションが簡単になるということが分かります。
また,「より多量な情報がより速く広がる」ことも特徴です。スマートフォンやタブレットなど手元のデバイスを使って,どこでも,いつでも情報を送ったり,受けたりすることができるためです。
ネットクチコミは,消費者が「必要な情報だけ選択的に受容」することもできます。爆発する情報量を選んでいくフィルターは「消費者自身」であり,消費者が多量な口コミ情報の中で,自分が受容したいメッセージだけを選択していくことができるのです。
ソーシャルメディアを利用して,最近いろいろな企業がSNSマーケティングを投入しております。企業や商品,またはサービスに対する顧客のロイヤルティーを高めることを目的としたマーケティング活動全体を「SNSマーケティング」と言いますが,現存のマスメディアを使ったマスマーケティングに比べて違いがあります。
テレビなどを使ったマスマーケティングは,不特定多数が対象で,短い時間に消費者にブランドを認知させることができて,伝える内容を設定したり,コントロールすることができます。
一方で,ソーシャルメディアマーケティングは,特定の利用者が同時にコミュニケーションをすることができて,長い間特定のユーザーと関係を構築することができます。そして,利用者の本音を調べられて,その利用者たちの声を他のユーザーにより速く伝えることができるのがメリットです。
まとめると次のことになります。消費者はSNSというプラットフォームを,自分の意思決定プロセスに積極的に利用しています。SNSの構造を理解することで,企業は消費者に近づくことができるのです。
最後までご清聴ありがとうございました。
(スライドとともに)