大阪ロータリークラブ

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2015年9月4日(金)第4,548回 例会

社会が支える子育て支援

石 原  福 造 君(協会・団体)

会 員 石 原  福 造  (協会・団体)

1951年大阪府生まれ。’76年大阪YMCA入職。青少年活動本部長,本部統括本部長,副総主事を経て2008年学校法人大阪YMCA学院理事長。’10~’14年大阪市立いきいきエイジングセンター館長,幼少年研究としてニュージーランド,オーストラリア大阪府指導者研修派遣,カリフォルニア大学リバーサイド校派遣。大阪府こども会育成連合会理事,大阪府キャンプ協会常任理事,関西いのちの電話評議員等。
当クラブ入会 ’03年4月
’07年度青少年委員長,’10年度クラブ幹事

 私たちを取り巻く社会の中で,少子高齢化が進み,女性の働き手の重要性が増しています。また,今年4月から大きな制度が変更になりました。「子ども・子育て支援法」です。社会背景から地域の取り組みなどを見ていきます。

大阪ロータリークラブの支援

 子どもの成長において,「0・1・2歳」は,一番大切な時期です。親にとっても,子にとっても。

 寝返りをうつ,はいはいをする,歩く,片言の言葉を言える―こうした人間の機能の基本を2歳までに修得します。

 また,子どもの脳は140億個ぐらいの細胞でできています。その細胞の結びつきが子どもの成長に寄与していきます。シナプスという細胞がひっついて,思考パターンができるのです。だいたい3歳ぐらいまでに人間の脳の80%ぐらいが完成します。このときにいかに刺激を与えるか,経験するかが大変大事なことなのです。

 子育て支援において,大阪ロータリークラブは,約60年前にロータリーキャンプ事業を起こしました。スクリーンに出ているのは,1953年の六甲ロータリー少年キャンプです。’34年夏に山中湖で行われたキャンプの復活です。’69年からはYMCA阿南国際海洋センター(徳島県阿南市)に場所を移し,大阪YMCAと共催で「ニコニコキャンプ」として行なわれたりしております。

 ’34年のロータリーキャンプの趣旨は,「少年たちにロータリー精神を育む」「少年たちの世界を感じる」でした。

 これは今で言うグループワークです。同じ年代の子どもたちが一緒に生活をすることで,自分たちを高め合うのです。

 「身辺を自分で処理する習慣をつける」「学校で学ぶ以外の興味ある知識を与える」「自然と親しむ気分を養う」など,いまの環境教育でいう要素がすべて含まれていました。

 脈々と青少年を育ててきているロータリークラブの「もと」だといえます。

社会に何ができるのか

 子育て支援の社会的背景では,少子高齢化対策から,まず,働きながら子育てをしていける環境の整備が挙げられます。

 3歳未満児の7~8割は家庭で子育てをしています。保育園に来るのは3割です。

 残念ながら,親のなかには話をしたり,聞いてもらったり,共感するような人との出会いがなく,孤立化してノイローゼになり,子どもたちを事件,事故に巻き込んでしまう事案も起きています。

 「次世代法」というものが10年前につくられました。各企業でも,いろいろな子育て支援の方策を考えられています。単に休みを与えるだけではなく,ネットワークをつくろうという取り組みをされています。

 その中で,私たちはどのように環境づくりをしていくのか。

 YMCAの施設を知っていただき,いろいろなタイプの幼児教育,支援があることをご理解いただきたいと思います。

 3年前に「0・1・2歳」を対象にした保育園をつくりました。1階が「0・1・2歳」の保育園,2階が子育て支援施設です。保育園に来ていない「0・1・2歳」の親と子どもが自由に使える子育てサロンです。

 実は,親の孤立化を防ぐのが,一番大きな目的です。ここへ来てほかの人と「どの地区?どこのお家?あっ,近くですね」ということから始まるネットワークづくりです。

 3歳から5歳の子どもたちが生活するYMCAの幼稚園は,全部芝生で子どもは皆,はだしで遊び,温水プールもあります。土佐堀にある保育園は,0歳から5歳が対象で,約100人の園児が通っています。日生病院をお借りした保育園は,地域と病院で働く人たちを対象にしています。

 土佐堀には英語幼稚園もあります。南中津にある大阪YMCAインターナショナルスクールには,在日外国人の幼児から中学生までの子どもたちが通っています。この学校では,卒業すれば海外で受け入れ可能であるという国際ライセンスを取得できます。

新支援法とは

 子育てを支援する新支援法制度は,2012年に「子ども・子育て関連3法」が公布され,今年,新制度がスタートしました。3つの認定区分があります。

 1号認定は,普通の教育標準時間認定。2号認定は,3歳以上の保育認定で,親が働いている家庭の子どもたちに該当し,保育を希望する家庭。3号認定は,0から2歳までの「0・1・2歳」の保育認定で,親が働いている家庭の子どもたちに該当し,保育を希望する家庭。

 これによっていろいろな補助が変わってきます。

 ただ,0歳児の受け入れは極端に少ない。3人の乳児に1人の指導者が必要ですし,リスクが高い。1,2歳児は6人に1人の指導者。3歳児は20人に1人となります。

 圧倒的に指導者が足りません。一方で,大阪の待機児童は約3,500人います。

 最後に家庭保護者の課題をお話ししようと思いましたが,時間が尽きました。このへんで終わらせていただきたいと思います。

(スライドとともに)