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2014年10月24日(金)第4,507回 例会

難波の堀江と善光寺如来
~7年に一度の御開帳を前に~

若 麻 績  享 則 氏

善光寺淵之坊 代表役員 住職
善光寺事務局 責任役員 事務局次長
若 麻 績  享 則 

1962年長野市生まれ。’88年大正大学大学院修士課程修了,善光寺奉職。NPO法人スペシャルオリンピックス日本・長野顧問。善光寺の世界遺産登録をすすめる会幹事長。学校法人信学会監事。長野青年会議所理事長も務めた。(長野北RC 会員増強委員長)

 善光寺の御本尊様は日本最古の仏様と言われております。難波(なにわ)の堀江がそれに由来するのですが,日本最古の霊仏,その御本尊様は絶対秘仏となっており,私ども僧侶でもその姿を拝することはできません。「一光三尊阿弥陀如来」といいますが,一光三尊は「阿弥陀如来様」,「観音菩薩様」,そして「勢至菩薩様」の一如来二菩薩,この三つの仏様が一つのお光の中にいらっしゃるということであります。この仏様は古来より「生身(しょうじん)の如来様」といって信仰されています。生身(なまみ)の如来とは,よくおしゃべりになるという意味であります。如来様の声を聞いたというようなことがたくさんあります。 善光寺は無宗派のお寺でございます。一宗一派どころか教祖とか教壇というものはありません。また庶民信仰,女人信仰の寺,女性が救われるお寺でございます。古来は高野山をはじめ多くのお寺は女性が入れないところでした。御嶽山,富士山をはじめ女性が登れないお山というのがたくさんあったわけですが,善光寺は女性,あるいは庶民を多く受け入れてまいりました。

根幹は蘇生信仰

 病に苦しむ方々を多く受け入れたと聞いております。様々な痛み,苦しみを治していただく。いま本堂の中に「賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)」という,大勢の方からなでられて,つるつるになった仏様の姿がありますが,そういうところからも病気を治していただける力がある。それから,蘇生信仰ということがあります。本堂には真っ暗闇の(中を進む)「戒壇巡り」というのがございます。真っ暗で何も見えないところで,最後にがちゃがちゃと鍵を触って出てくる。この場所は実は地獄の意味がございます。そこで最後に如来様とつながっている鍵を触って生まれ変わってくるのが蘇生信仰です。善光寺の信仰の根幹はこの蘇生でございます。

 善光寺には住職というのが2人おられます。なぜ2人かと申しますと,いま無宗派の善光寺をお守りしているのが天台宗と浄土宗でございまして,私は浄土宗の方なんですが,それから天台宗のグループがございます。天台宗は法華経を読み,浄土宗はお念仏をいたします。「法華経で生きている罪を散華して,お念仏で極楽浄土へ行く」というのが善光寺の一つの教えです。

 本堂は国内最大級の大伽藍で,撞木(しゅもく)造り,(棟の形が)Tの字という珍しい形です。1400年の歴史の中で11回の火災に遭ったとされ,そのたびに皆さんの力を得て再生をしております。日本中には200近くの善光寺がございます。善光寺聖と言われる方々が伝えたのがもとで,この大阪近辺にも多くの善光寺がございます。

聖徳太子, そして本田善光

 「善光寺縁起」という話をさせていただきます。主人公は本田善光(よしみつ)で,その名前から善光寺になります。インドで月蓋(がっかい)という長者がお釈迦様にお願いして仏様,「一光三尊阿弥陀如来」が誕生しました。これが百済の聖明(せいめい)王から日本の欽明天皇におくられ,難波津に船が着きまして,仏教伝来となりました。西暦552年です。日本最初のお寺,飛鳥の向原寺の建立となります。

 ところが物部守屋大臣により2度にわたり,仏像が難波の堀江に棄てられるのです。この仏様を救うのが聖徳太子であります。聖徳太子は守屋の討伐を果たし,そして難波の堀江に行き如来様に「私のもとで祭らせてほしい」とお願いするのですが,如来様は「私には別に待つ人がある」と言うのです。その待つ人というのが本田善光でありますが,聖徳太子はそれからすぐに四天王寺を建立するのでございます。四天王寺の建立のときにはまた別の場所にあったそうで,そこが難波の堀江と私は推測しております。

 善光は信濃から国司の命により親子で難波にやって来て,3年間のお勤めをした後に堀江を通りかかったところ,水の中から如来が飛び出し,「お前を待っていた」と告げ,善光の背中に飛び乗ります。推古天皇にお許しをいただき,親子で信濃の自分の家へ持って行き,祭ります。これで642年,善光寺創建となるわけであります。私,苗字が若麻績(わかおみ)と言うのですが,善光さんは帰化人で若麻績姓を名乗っていたそうでありまして,日本名を本田善光といったということであります。私どもは本田善光さんの末裔として,今でも若麻績という姓を名乗っております。

7年に一度のご開帳,来年に

 最後に御開帳の話をさせていただきます。来年の4月,5月の57日間,7年に一度の御開帳が行われます。前立御本尊様と「御印文(ごいんもん)」というありがたいはんこを本堂に運びまして,拝んでいただくのが御開帳でございます。回向柱という柱から出ている金の糸は「善の綱」と申しまして,回向柱と仏様をつないでおります。生きている仏様の身代わりとして前立本尊様とつながっているということで,大勢の方々が触っておられます。御印文は押された紙を頭に乗せるとすべての方が,極楽往生の約束ができるのでございます。

 善光寺にお参りすれば必ず極楽に生まれる。極楽に生まれるだけじゃありません。生きている間にも苦しみや悲しみから如来様のお力で癒していただける,そんなご利益もいただけるのが,現在そして来世の二世安楽のご利益でございます。長寿をいただけるというご利益がありますので,どうぞ皆さん方,お参りいただければと思います。

(スライドとともに)