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2013年9月6日(金)第4,454回 例会

スポーツを通して青少年に夢を与えるには

朝 原  宣 治 氏

大阪ガス(株)
近畿圏部地域活力創造チーム 課長
北京オリンピック銅メダリスト
朝 原  宣 治 

1972年神戸市生まれ。同志社大学大学院卒業。北京オリンピック男子4 ×100メートルリレー銅メダリスト。大阪ガス株式会社近畿圏部地域活力創造チーム在籍。

スポーツを通した街づくり

 どういう理念を持って青少年育成に携わっているか。私が今所属している部署は地域活力創造チームというところで,「街を元気にしましょう」「スポーツを通じて明るい街づくりをしましょう」「子どもたちを元気にしましょう」,それに伴って大人たちも元気になれば,たくさんエネルギーを使ってもらえるかなということで活動をしております。

 これまでスポーツ選手にとって,引退してから,その企業にとってどのように役立つ活動ができるのかということがかなり難しい問題だったのです。選手というのは企業のPR,広告塔になるということはもちろんですが,その後のセカンドキャリアがよく問題になっているのですが,なかなか解決しておりません。そこで事業機会の創出ということで,私が今やらせてもらっている活動の組織が,企業にも役立ち,そして地域の子どもたちにも役立って,Win-Winの関係でできればいいなと活動を広げております。

 スポーツを通した街づくりは,ホームタウン型,ツーリズム型,イベント型,合宿といろいろな形があります。私たちが目指しているのは,住んでいる人たちがスポーツを通じて,あるいはトップアスリートと触れ合うことで恩恵を受ける。この街に住んでみたいなとか,いろいろな感動がスポーツで得られるという喜び,そういうのを得られる街がスポーツでできたらいいなと試行錯誤しながらやっています。

 現在,私は「NOBY トラック&フィールド(T&F)クラブ」という陸上クラブを主宰しています。西宮市にある大阪ガスの自社グラウンドを拠点に,さまざまな自治体と連携してネットワークを構築しています。西宮市さんに後援をいただき,いろいろご協力をいただいております。それぞれスポーツ団体というのは,自治体ではすばらしいことをされています。それらが一つになって,効率よく子どもたちにそういう機会を与え,いろいろな方が参加するという状況にはなっておりません。自治体と我々の経験,知恵をうまく融合させて,活動範囲が広がっていけばと思っております。

地域全体で子供を育てる

 トップの陸上選手を育てることももちろん大事なことなのですが,この場所にいろいろな子どもたちが集って,仲間を作ってもらいたい。できれば社会に出て生きていく力をここで少しでもつけていってもらおう,というのが我々の目標です。ビシッと走り方のフォームを教えるとかではなく,まずは楽しく集ってもらって,自分たちで何かしたいな,こうしたいなと自主的に思ってくれるようなプログラムづくりをやらせてもらっています。

 もう1 つの目的である選手のセカンドキャリアですが,NOBYにはいろいろなコーチがおり,メインコーチは私と荒川大輔選手。彼はまだ現役選手で,走り幅跳びで日本選手権で3回優勝,世界陸上にも2 度出場しているのですが,そういう選手でもなかなか企業が雇用してくれない。今,子どもたちを教えながら,自分の陸上のキャリアも伸ばしていっております。また,「株式会社明治」さんや「大塚製薬株式会社」さんなどいろいろな企業から物品提供やセミナーの知恵を提供していただいております。関西学院大学や武庫川女子大学など近隣の大学の学生さんもこのクラブに来てくれています。「企業と自治体と大学」で子供たちを地域全体で育てていければいいなと思っております。

 もう1 つの活動は,一般社団法人「アスリートネットワーク」です。私の個人のつながりのネットワークなのですが,バレーボール全日本女子チーム監督などを務めた柳本晶一さんと一緒に立ち上げた団体です。子どもたちの健全育成のために我々がいろいろ動いているのですが,活動に賛同していただける賛助会員を募り,現在40社ぐらいの企業に賛同いただいています。その活動資金をもとに自治体や学校に出向き,実際に子どもたちと触れ合う機会を,われわれトップアスリート自身が作っているというのが特徴です。

 また,活動資金ですが,この「アスリートネットワーク」は上手い仕組みづくりをやっております。我々の賛助会員様のお金を使ったり,あるいは兵庫県洲本市のように「アスリートネットワーク実行委員会」を立ち上げ,そこに自治体のお金が半分ぐらい入っているとすると,残りの半分は地元の企業や個人の寄付で成り立ってる実行委員会方式です。自治体は箱物を持っていたり,人脈がたくさんあって人を動員する力も持っている。そういうことでわれわれの活動が長期にわたって年間に多くのことをやっていける。洲本市さんの場合,年間で4 ~ 5 回,今年4 年目で,子どもたちの累積数はものすごい人数で,その中からトップになってきた選手もいますし,スポーツが大好きになったという子どもたちもいるので,こういう地道な活動が徐々に広がってきている状況です。

国とスポーツ界の連携が不可欠

 私のスポーツ活動の枠組みは現在,関西中心に活動させてもらっておりますが,やはり大きな枠組みで国のスポーツ施策と連動し,それに沿いながら私も活動を続けていきたいなと思っております。もうすぐオリンピックの開催地が決まります( 9月7 日に開かれたIOC総会で東京開催が決定)。もし東京にオリンピックが来ると,今スポーツにはたくさんの問題があったりするのですが,逆にスポーツの力というのが上手くまとまって,国がしっかりと方向性を出せば,ものすごい大きな力を持っているんじゃないかなと期待しております。スポーツ界もきっちりと連携しながら,いい方向に向かっていかないといけないんじゃないかなと思っております。

(スライドとともに)