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2013年7月12日(金)第4,447回 例会

サッカーに見る世界の動きと大阪

金 森  喜久男 氏

ガンバ大阪顧問
スタジアム建設募金団体
代表理事
金 森  喜久男 

1948年名古屋生まれ。’71年3 月富山大学経済学部卒業。同4月松下電器産業(株)入社。’03年同社パナソニックシステムソリューションズ社常務。’08年4 月ガンバ大阪代表取締役社長,’13年2月現職。

 サッカーは世界的にはフットボールと呼ばれていますが,横68m,縦105m,面積としたら7,140㎡のピッチの上で,1 チーム11人の選手たちが,1 つのボールを追いかけて相手のゴールに入れるという単純なスポーツです。このスポーツに世界が熱狂いたします。4 年に1 度開かれるワールドカップにおいては,のべ300億人の人たちが見ると言われています。オリンピックが150億人ですから,いかに人気があるかということがお分かりいただけると思います。

 私は2008年からこのサッカー界に入りま したが,実は世界統一の運営形態にちょっとびっくりいたしました。FIFA(国際サッカー連盟)がスイスのチューリッヒにあり,全世界を6 つのエリアに分けて運営しています。AFC(アジアサッカー連盟)に日本サッカー協会,その下にJリーグ,日本女子サッカー,フットボール,フットサルとすべての競技が統一体系になっています。ほかの競技のようにバラバラに運営されていません。全世界統一の運営形態とかルールを決めるのに,全世界ですごいエネルギーを使っています。

急速に広まったサッカー人気

 サッカーはなぜこんなに急速にこの20年間で広まったのか。1989年にベルリンの壁が崩壊し,1990年に湾岸戦争がございました。私もリアルタイムでテレビで見たわけです。衛星放送が前年に出来上がって,初めて威力を発揮したわけであります。この衛星放送の魅力に気づいたのがルパート・マードック氏で,彼はすぐ衛星放送会社のBスカイBを開設し,即座にイギリスのプレミアリーグの放送権を買い取ってしまいます。それからアメリカのプロスポーツクラブの放送権を買い取って,有料放送化するわけです。

 リアルタイムで観戦出来るという魅力から,有料放送であっても皆が見るわけでありまして,莫大な金が入ります。しかし自分たちのポケットに入れるのではなく,お客様のために使うことを第一優先にするわけです。イギリスにあるサッカー場を全部改造,小さなスタジアムを大きくして,お客様が見やすい安全快適な観戦環境を構築する,ほとんどが収容7 万人以上です。そして,大会における賞金も,選手の年俸も大幅に上げるものですから,全世界の一流の選手たちがイギリスに集ってくるという状況が生まれ,サッカーはますます盛んになっていたわけです。

「体育・知育・徳育」の大切さ

 スポーツにつきまして皆さん方に語りかけたいことがございます。昨年体罰の問題がたくさん出ましたが,根本的に一からやり直さなければならないと思います。「スポーツとは何か」について,しっかりと教育していないことが原因だと思います。われわれは「ルールに基づいて勝つことを目的とした競技」というふうに定義していますが,ここが非常に重要であり,体育とは異なるわけです。

 「スポーツマンにとって重要な才能」について語る時,まずはいつも前向きに考える姿勢が必要,勇気を持って発言すること,現状を正しく把握する力が重要です。そして,健全な身体をつくるための「体育」,正しい知識を身につけるための「知育」,社会的倫理を身につけるための「徳育」,この3 要素をしっかりと学ばなければいけません。

 体罰を生んできた土壌というものは,明治維新後の富国強兵政策の名のもとに,身体に痛みを知らしめて,恐怖を取り去り,戦う意志力をつくろうとした体育の考え方からきているわけです。スポーツとはどういうものかということをしっかり教え込むことが基本だと考えています。

世界に誇れるスタジアム建設を

 さて,私どもが取り組んでいる内容についてご説明申し上げます。野村総研のレポート「スポーツクラブが地域にもたらす効果」によると,世界,日本じゅうから観光客が来場し,地域を世界じゅうにアピールするキラーコンテンツとなる。さらに子どもの夢や健やかな成長をサポートし,スポーツを通じて健康意識の向上に貢献する。これらの要素に加え,コミュニティーとして魅力的な街づくりに貢献する||。これが地域にもたらす効果であり,クラブの責任である,という内容でした。その効果を高めるためにはシンボルとなるスタジアムが必要だというのが一つの提案になっておりました。そのためにも大阪の象徴となるスタジアムが必要だと考えています。

 すぐ側でいい例がございます。野球だったら甲子園,であります。「甲子園」というシンボルがありますから,高校野球は実際に今まで100年という歴史をやってきて,これからも恐らく永遠に続くのではないかと思うわけであります。

 ワールドカップが開催できる4 万人以上のスタジアム,そして安全・安心な競技場をつくりたいと熱望しているわけであります。関西財界とサッカー界とが一緒になって設立した「スタジアム建設募金団体」が民間の個人,法人の皆様から寄付を集めて建設し,それを自治体に公共施設として寄付して,広く使っていくというものであります。万博公園のスポーツ広場内に建設決定して,今年12月起工,2015年秋に竣工いたします。

 140億円の寄付金を集めるのが私どもの目標でありますが,現在の状況は企業様から78億4,000万円,個人が1 億8,500万円,それから助成金totoが30億円決定しています。あと29億円をしっかりと募り,ワールドカップ予選収容4 万以上の世界に誇れる,恥ずかしくないスタジアムが出来上がるということであります。万博公園という日本名所の場所にスタジアムをつくって多くの観客と試合を招いて,大阪,関西の活力のために一翼を担いたいという気持ちでございます。(スライド,映像とともに)