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2013年2月22日(金)第4,428回 例会

カンボジアの子どもたちの笑顔のために

村 田  早耶香 氏

NPO法人 かものはしプロジェクト
代表
村 田  早耶香 

1981年東京都生まれ。’04年フェリス女学院大学卒業。’02年在学中にNPOかものはしプロジェクトを発足,代表に。

 19歳の大学生の時に,売られた子どもの話しを聞いて,20歳の時に団体を作り私個人としては12年近く活動してきております。きょう来させていただいたのは,売られる子どもの問題を,1人でも多くの方に知っていただきたかったからです。(スライド,映像とともに)

 私たちは,だまされて売られ,中には売春宿に売られて強制的に働かされているという問題をなくそうとしております。この問題を知ったのは,国際問題の講義に出席しているときでした。こちらの写真に写っているミーチャという女の子の話を新聞記事で紹介されました。彼女の家は非常に貧しくて,お母さんが病気で亡くなり,お父さんは仕事がなくて,弟や妹がたくさんいるという状況でした。

 ある日村に男の人がやってきて,君が出稼ぎに出れば,弟や妹がお腹いっぱい食べることができて学校に行けるよと言われ,12歳のときに出稼ぎに出ました。行った先が売春宿で,無理やり客をとるように,何度も殴られたり,電気ショックを受けたりして,何年間も働かされました。結果的にHIVのウイルスを持ってしまい,20歳で亡くなりました。

毎年200万人が被害者に

 ミーチャが売られた金額というのは,日本円でたった1万円でした。私がその日着ていたワンピースと同じ金額で,そのワンピース1枚のお金が払えなかったがために,人生が奪われ命まで奪われているんだということに気がつきました。

 『ユニセフ子ども白書』という報告書がありまして,そちらを見ましたら,ミーチャみたいな状況の子どもが毎年200万人出ていることがわかりました。これは累計ではなくて,毎年更新されている数です。18歳以上になると統計から出ていくので,累計するともっとたくさんの子どもが被害に遭っています。

 私は国際協力を専攻していたので,生まれて初めてスーパーで試食販売のアルバイトをして,15万円ぐらいためて現地に行きました。被害者を保護している施設に行きまして,40団体近く回りました。最後に行った施設で所長さんに話を聞きにいくと,40人入居している子どもの名前と年齢が書かれた紙が張られていました。それを見ると,5歳,8歳,10歳と書いてあったんです。一番小さくて5歳から保護されています,と言われました。

 この状況を放っておいていいのかなと正直思いまして,私はまだ大学生だけれども,この子が売られたのは1万円だから,1万円だったらバイトしたら稼げるし,何かしようと思って帰国しました。

 できるところから始めていきました。2001年に横浜で子どもの問題をなくすための政府間の会議がありました。そちらに日本の若者の代表として参加しまして,当時の外務大臣の田中真紀子さんですとか,法務大臣の森山眞弓さん達政府代表者の方々に対して,世界中の政府の海外支援の予算をこの問題を解決するために使って下さい、とお願いしてきました。それを国連の正式の文書にしまして,子ども若者の声ということで届けてきました。

2人の大学生と団体設立

 1年近くたったころに,人生を変えるような出会いがありました。今もずっと一緒に活動していて,それぞれカンボジアとインドに派遣されている2人の大学生と出会いました。彼らは社会問題を解決するような起業をしたいと思っていました。私自身はやり方を模索していて,売られる子どもをなくすための団体をつくろうという話になり,20歳のときにこの「かものはしプロジェクト」をつくりました。カンボジアと日本の架け橋になりたいと思ったので,音が似ている「かものはし」という名前をつけています。

 私はお金をためて,大学卒業後すぐカンボジアに行きました。カンボジア人のスタッフを雇い,NGOの登録をし,職業訓練所を設立するという作業を,一つ一つやっていきました。

 具体的には3つの活動にたどり着きました。買う大人の需要をなくすこと,被害者の子どもを減らすこと,両方が必要になっています。供給されてくる子どもを減らすために,大人に仕事をつくる職業訓練所を設立しました。売られてきている子どもは,農村の農地を持っていない家庭から売られてきています。特に母子家庭が売られやすいです。そういった貧しい家庭の女性を雇用し,雑貨をつくって,観光客に販売しています。

 農村で5人家族が1ヵ月間生活するのに,大体3,000円あれば最低限暮らすことができます。今6,000円の収入を得ていて,お母さんやお姉さんの収入で子どもたちは学校に行けるようになっています。

インドに活動を広げる

 買う人を減らす取り組みも始めました。買う人を手っ取り早く減らすには,厳しい法律をつくって,子どもを買った人を警察官が捕まえることが一番です。現場の警察官の育成に取り組み始めました。これは内務省という省庁と連携してやっています。

 昔は年間82件しか逮捕者がなかったのですが,2010年には720件まで上がりました。きちんと現場の警察官が動くようになって,子どもを買ったら捕まるという状況になってきました。被害者数はピーク時の1万5千人の10分の1ぐらいまで下がったと言われています。

 次に活動を広げるのはインドです。今発展してきている国ではありますが,貧困層の状況はカンボジアとほとんど変わらないです。売春宿の中に閉じ込められている女の子はまだまだたくさんいます。

 きょうお話をしてきまして,この問題はひどいな,何とかしたいなと思ってくださった方がいらっしゃいましたら,ぜひ活動を応援していただきたいです。現地で活動するためのご寄付をいただけたらと思っています。ご静聴ありがとうございました。