大阪ロータリークラブ

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2011年11月11日(金)第4,370回 例会

ロータリーで学んだことと得たご縁

平 山  千 夏 氏

03~04年度国際ロータリー2660地区
財団奨学生
平 山  千 夏 

神戸女学院大学音楽学部声楽専攻卒業,及び同大学専攻科終了。’03~’04年RI第2660地区派遣により、国際親善奨学生としてイタリアフィレンツェ音楽院に留学。現在神戸女学院大学非常勤講師、関西二期会会員。

 私は2005年にこちらで,イタリアの留学での失敗と経験談をお話しさせていただきました。木川田誠先生,お亡くなりになりましたが,先生にご推薦いただき,自分の中では何だか大阪ロータリーとは縁があるのではと感じておりましたから,こちらで卓話をしたことは非常に印象に残っております。

インドネシアへ

 その後,私は神戸女学院大学で非常勤講師をしながら,演奏活動をしていましたが,2009年,主人が厚生労働省の技官としてインドネシアの保健省アドバイザーとして着任することになり共に参りました。ロータリーの留学では,声楽を勉強する前に,まず自分がロータリーの親善奨学生であるということ,また,日本,大阪の代表であると心に留めて行動するようにと教えられました。その経験が今回のインドネシア赴任に生かせました。

 主人は,鳥インフルエンザのプロジェクトリーダーとしてまいりました。パンデミックにならないシステムづくりを日本から技術提供するという使命でした。また一方では,インドネシアで起きたインフルエンザの患者の数を正確に把握し,日本に報告するという仕事も大事な義務でした。

 主人以外のドクターを2人,日本から呼び寄せることになっていたのですが,いつまでたっても入国できません。主人は毎日のように担当の方に,「ビザはまだか。大臣に書類を上げてくれたか」と聞くのですが,半年たっても到着しませんでした。当時,事件があって医療関係者の政府関係者は入国禁止になっていました。そのとき,私がたまたま病院の受付で待っていると,優しそうなインドネシアの先生が,「ご主人は何をしているの?」と日本語で話しかけてくださいました。

 今の状況と仕事を説明すると,たまたま官房長官のアドバイザーをされているということで,その場で電話してくださいました。そして,自分が元米山奨学生として九州大学で医学を学んだことを話してくださいました。私はそのご縁に本当に驚き,感謝でいっぱいでした。翌朝,主人は日本大使館の外交官と一緒に保健大臣に呼ばれ,その場でビザのサインをもらうことができました。その先生は,日本で長らく外科医として勤められた後,リタイアしてインドネシアに戻られ,現在は,ほとんどボランティアでお仕事をなさっていると聞きました。ロータリーで学んだことの,「ご恩返しがしたい」ということがきっかけだったと伺っております。

積極的に活動

 私自身もインドネシアでの生活が落ち着くと活動し始めました。日本人会のコーラス指導,日本人学校で子どものためのコンサート,合唱コンクールの審査などです。また,自宅で毎月コンサートを開き,ロータリーで知った「セーブ・ザ・チルドレン」の募金をしていただくということを行動に移すことができました。各国大使館主催のコンサートでも歌わせてもらうなど,新たに活動の場を探っていきました。

 そういった活動を通じて,オペラを勉強したいという若い方たちが徐々に集まってくるようになり,声楽の指導をするようになりました。インドネシアの大学の音楽院でマスターコースを持ち,若い声楽家たちを教えました。驚いたのは,インドネシア人の学生の英語力の高さです。聞けば,インドネシアではレベルの高い学校は授業は全部英語でされているということでした。

 自分の子どもたちを通しての活動で,一番記憶に残っているのは「プレイグループ」です。メンバーのお宅を毎週決まった曜日にお菓子などを持ち寄って,子どもを遊ばせるという趣旨です。子どもに国際的な経験をさせることができました。そのママたちが,ドイツ,オーストラリア,インドなど,いろいろな国から集まっていまして,たまに,マミーズナイトといって,子どもをメイドや主人に預けて女性だけで食事やクラブに行ったりとか,そんな遊びもしました。

 皆非常に活発な女性で,また,ママ自身が外交官という方も多かったので,雑談する中で,例えば「自分たちは母乳促進のプログラムをしたいけど,大臣自身が母乳で育ててないと言う」など,雑談から得られる情報というのも非常に有意義でした。中には子どもだけを会に参加させて遊ばせる方もいたのですが,私は必ず自分が行って積極的に話をするようにしていました。

ロータリーが取り持つ縁

 大阪RCでお話しするということが決まって事務局の方と連絡しているうちに,インドネシアのハディ総領事がいらっしゃるということで,ハディ総領事が,私ども夫婦とインドネシアの方々を公邸に招いてくださいました。インドネシア人は穏やかな方々なんですけれども,その招かれたインドネシアの方たちとハディ氏がたまたま同じ島出身――1万もある島の中のたまたま同じ島出身だったということがわかり,中には泣き出してしまうような感激するシーンもあって,私も本当にうれしいご縁だなと思って感謝でいっぱいの気持ちになりました。

 このように充実した駐在の2年間を送れたのは,音楽を通して自分の居場所と活動を探しながら積極的に行動したことと,また,ロータリーで学んだ経験から,自分が大阪,日本の代表であるという自覚を持って積極的に行動したことが,自分の軸になっているのではないかと思います。そして,社交が広がり,人とのご縁がつながったということは本当に得がたい経験でした。ロータリーには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 現在は神戸女学院で後進の指導ともに,演奏会も頑張ってやっていきたいと思っています。本日はご静聴ありがとうございました。 (最後に歌4曲披露。ピアノ伴奏は溝口麻希さん。)