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2011年2月4日(金)第4,336回 例会

ロータリークリアランド・プロジェクト
カンボジア完遂記念式典を終えて

岡 崎  由 雄 氏

国際ロータリー2580地区
対人地雷の除去に関する特別委員会
座長
岡 崎  由 雄 

1940年生まれ。’63年慶応義塾大学法学部卒業。’74年東京RC入会。’85-’86年度クラブ幹事,’92-’93年度地区WCS委員長, ’98-’99年度地区幹事,対人地雷の除去支援研究会顧問,’00-’10年度,地区対人地雷の除去に関する特別委員会座長。’12-’13年度東京RC会長ノミニー。(試験機製造)

 1980年代地球上にはカンボジアとかアフリカ地域で内紛,紛争の絶えない国が60ヵ所ぐらいあり,内戦中には大変多くの対人地雷が埋められました。

 数ははっきりつかみ切れておりませんが,一説によると地球上に1億個以上の地雷が埋まっていると聞いています。

 毎年数万人の人が地雷とか不発弾に触れて死傷しており,われわれ活動のスタートは少しでも早く,1人でも多く地雷の被害から救って,安全に安心して暮らせる土地浄化を図ろうと活動に取り組むことにしました。

 地雷の被害者に対する救済,資金援助,これは他のクラブ,あるいは外国のクラブもやっておりますが,地雷を除去して土地を浄化,安全な土地をつくるクリアランド・プロジェクトは,今のところ,この活動が唯一です。

除去面積40万坪

 10年間で10ヵ所の土地を浄化,1億5,000万円の費用がかかりました。

 活動資金の集め方は,イエローボックスと称して,黄色い箱を地区内72クラブ全部のクラブに置いていただき,ニコニコボックスとこの箱を並べて,「ここにポケットの小銭を,それこそ10円でも100円でも500円でも1,000円でも,コーヒー1杯飲んだと思って500円入れてくださいよ」といった式で集めました。72クラブ全部トータルすると,これで年間400万円ぐらい集まりました。

 毎年1,000万円が目標でしたので,あとの600万円は地区大会とか地区協議会とか,あるいはクラブの周年行事,それからチャリティーゴルフとかそういったクラブの活動,地区の活動のときなどにお金を入れていただいて,何とか毎年1,000万円強の資金を集めました。

 そんなことで10年間作業を続け,10ヵ所のクリアランドが完成しました。除去した面積はおよそ40万坪,そこにはすでに1万2千家族,6万近い村民が安心して安全な生活を送っております。

危険な作業

 対人地雷の除去作業は,実績ある英国のNGO地雷除去専門団体ヘイロトラストと契約。地元カンボジア人を除去隊員として教育,訓練し,雇用の機会を与えて,信頼関係を築きながら残留地雷や不発弾の除去を行いました。

 クリアランド・プロジェクトのほかに,被害者のリハビリを助けて,車椅子の寄付や義肢製作技術者の養成などの支援も行っています。

 2001年2月に,タシアム地区ロハール村の地雷除去活動が終了。ロータリークリアランド第1号として完了いたしました。道路も寸断され,人里離れ孤立していたロハール村では,それまで869人の村民と170頭の家畜が犠牲になっていたのです。

 ロハール村周辺では6村25万1,000平方メートルの土地を浄化。半年後には75世帯,約340名の家族の新しい家の建築も見かけられ,復興に向けての活動が始まりました。

 続いてロハール村より6キロほど離れたタシアム地区のタシアム村に着手。2002年2月,すべての地雷が除去されたタシアム村は,ロータリークリアランド第2号として村人に引き渡されました。

 半永久的に作動する地雷の除去作業は,まずプッシュカッターで木や草を除去し,過酷な気温条件のもと金属探知機により地雷を見つけた後,1つ1つ手作業で取り除いていきます。

 先端技術を用いた地雷除去のための作業システムは,現在まだ完全には実用化に至っていません。金属探知機で反応のあった個所の20センチ手前から,棒で少しずつゆっくり探る,用心深く土を掘っていく地道で危険な作業です。

しっかりしたパートナーを

 クリアランド・プロジェクトに従事する除去作業員は,6チーム42人,広範囲の土地の中を1人1メートル幅のラインで,1日23メートルぐらいしか除去して進めません。中にはプラスチック製地雷のように,金属反応の識別が難しいものも多く,なかなか効率が上がらないのが現状です。

 兵器製造技術の進歩によって,対人地雷は1個3ドルから10ドルという安価で入手が可能な一方,大変な手間,労力と危険を伴う撤去には,1個100ドル~1,000ドルが必要と言われています。

 引き続きプロジェクトはタシアム地区ドンブックコプス村をロータリークリアランド第3号として実施,2003年2月に完了しました。

 私はこの活動をガバナー直轄の委員会としてやらせていただきました。初め東京ロータリーだけでどこまでできるかなということでスタートしましたが,東京ロータリー350人いるからといっても,やっぱり1クラブではなかなかこれだけのお金は集められません。そこで地区に話をして,地区大会で2580地区の公式のWCS活動にしようということで,本格的な活動が始まりました。

 それから,これを全国に広げようということで,全国連絡協議会というのを立ち上げまして,地区の数でいきますと50地区ぐらいの方に東京に来ていただき,3回ばかり協議会を開きました。

 私もこの10年間,現地に毎年1回,2月には必ず行き,通算,手弁当で14回ぐらい現地に行きました。

 海外で活動をする時は,しっかりした現地パートナーを探して,そのパートナーとしっかりした目的を持って活動することが,世界社会奉仕を長く続ける基本だと思っています。
(地雷撤去活動のDVD上映)