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2011年1月7日(金)第4,332回 例会

ニューイヤーコンサート

演奏者プロフィール
尺八 : 三好 芫山

京都府生まれ。幼少の頃より、都山流尺八を富井舜山(元京都市長)に師事。39歳で最高の称号である「竹琳軒」を允許。多くの門人を育成。全国の神社仏閣での献奏をはじめ海外公演も数多く行っている。演奏スタイルも古典のみならず,ジャズや洋楽器とのクロスオーバーなどジャンルを越えて常に楽器としての可能性を追求している。

筝 : 中 真希子
幼少の頃より,母・中 道子(生田流宮城社大師範)より箏、三絃の手ほどきを受ける。大阪音楽大学音楽部器楽科箏専攻を首席で卒業後,プロの世界に入り,演奏家として活動。海外での演奏も多く、本年も上海でも演奏を行う。後進の育成、指導にも力を注ぐ他,ソリストとしての演奏活動やCD録音への参加と幅広い演奏活動を続けている。


合奏   宮城道雄作曲 「春の海」
♪箏ソロ  宮城道雄作曲 「祭りの太鼓」
♪尺八ソロ 古典本曲   「鶴の巣籠」
♪合奏   八橋検校作曲 「六段の調べ」


 宮城道雄が瀬戸内海の風景を思いながらつくった「春の海」を演奏して,新春を寿ぎたいと思います。

♪「春の海」

 「春の海」の最初の節はよくテレビなどで流れていますので,よくご存じだと思います。最初の節が出てきたら,「おめでとうございます」と言いたくなるような,結構な音(ね)がついていると思います。
 邦楽の場合,正月のめでたい曲は少なく,マイナーな曲が多いのです。お箏のソロでめでたい曲としては,これも宮城道雄の曲で,「祭りの太鼓」がございます。

♪「祭りの太鼓」

 尺八は聖徳太子も吹いており,飛鳥時代に日本で完成したようです。一般的に知られているのは虚無僧で,戦国時代から江戸時代に今の形がつくられました。
 江戸時代,尺八は「法器」と呼ばれ,禅宗の一派(普化宗)が修行のためにやっていました。音が出るよりも息を出すことに重きを置き,座禅はせず,ひたすら尺八を吹き,「吹禅(すいぜん)」と言っていました。
 明治時代には西洋音楽が入ってきたために,尺八も「楽器」に変わりました。楽器に変わった途端に,音程がどうのこうのとか,よく鳴るかどうかなどが取りざたされ,ベンツ1台分ぐらいの価格の尺八も出てくるような時代になりました。「鶴の巣篭」を尺八のソロでやります。

♪「鶴の巣篭」

お筝は奈良時代に入ってきて,雅楽に取り入れられていました。「源氏物語」にも出てきます。お筝を今のように演奏する形は江戸時代につくられました。江戸時代には盲人さんの保護のために,盲人さんが三味線やお箏をやっていました。検校・別当・勾当・座頭という位があって,映画「座頭市」で座頭のほうが有名になっていますが,検校が一番上でした。筝曲「六段の調べ」は八橋検校という方が曲をつくりました。
 江戸時代は三味線音楽の全盛で,お筝は伴奏役でしたが,お筝も主役になる曲をつくろうということで,八橋検校がつくったのが「六段の調べ」」です。


♪「六段の調べ」

(以上,解説は三好芫山氏による)