大阪ロータリークラブ

MENU

会員専用ページ

卓 話Speech

  1. Top
  2. 卓話

卓話一覧

2010年10月29日(金)第4,323回 例会

情報化社会の動き

定 道    宏 氏

神戸大学
名誉教授
定 道    宏 

1935年生まれ。’99年神戸大学名誉教授。和歌山大学助教授,神戸大学教授,京都大学大学院教授を経て,星城大学学長,九州産業大学大学院教授を歴任。
京都大学経済学修士,米国ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士(PhD),日本情報経営学会名誉会員。 最新論文・「流通業におけるオフィスオートメーションの新動向~製配販共通の流通EDI標準~」など。

 「情報化社会の動き」として,今年注目すべきことが3つあります。1つは,スマートフォンが普及を始めたことで,今年は「スマートフォン元年」と呼ばれる年です。

 もう1つは,ソーシャルネットワークサービス(SNS)です。サイトの中で友達をつくるとともに,グループ間で自由自在に情報を交換するというシステムです。

 次は,このSNSが持っている人間関係のデータをビジネスでうまく使えないかという各企業の動きです。今日はそういうお話を申し上げようかと思っています。

携帯端末の動き

 皆様も携帯電話をお持ちだと思いますが,携帯電話には,基本機能が電話,メール,カメラ,インターネットという「ベーシックフォン」というものがあります。

 また,「多機能フォン」といって,例えば万歩計が入っている,音楽再生ができる,携帯電話で支払いができるというお財布携帯,テレビが見られるワンセグ,子どもにも持たせてGPSで今どこにいるかがわかる,こういう特殊な機能を備えたものがあり,現在8割方これになっております。

 一方,「スマートフォン」は高機能携帯電話と呼ばれるものです。従来,新しい何かのアプリケーションができて,追加しようと思っても簡単にダウンロードして追加できなかったのですが,それを自由にダウンロードしてすぐ使えるものがスマートフォンなのです。

 スマートフォンは,パソコンそのもので,パソコンに匹敵する性能の携帯用OSが入っています。

 もう1つ,携帯電話ではないのですが,タブレットPCというのがあります。

 アップルがiPadというものを売り出しまして,みるみるうちに売れました。その大きさは7.5インチ×9.5インチ。

 その半分の大きさのタブレットも出ております。

 なぜこんなものがあるかと言いますと,今年は電子書籍の元年でもあるからです。いろんなところから電子書籍を見るための端末が発売されます。日本の電子書籍をダウンロードして読むアプリケーションも既にできています。書籍関係をダウンロードできるアプリケーションを入れますと,携帯電話上でも見ることができるのです。

ソーシャルネットワーク

 いよいよ本日の本題に入ります。ソーシャルネットワークというお話を聞かれたことがあるかと思います。フェイスブック,これはソーシャルネットワークのサービスを提供している会社ですが,その会員が世界で5億人,アメリカだけでも1億3,000万人と,このぐらい伸びているわけです。フェイスブックのCEOはマーク・ザッカーバーグという人なんですが,マイクロソフトのビル・ゲイツを追い抜くかもしれない男として非常に有名になりました。

 ソーシャルネットワーク,日本でそういう場としては大きく分けて3つ,ブログ,ツイッター,それからSNSがあります。

 ブログは,自由に毎日,日記を書くように何か言いたいことを書いていって,それを読んでくれる人を待つものです。

 ツイッター,これはミニブログで,1回に発信する量が必ず140字以内です。短いのはいいわけですから,1行でもいいわけです。

 最後がいわば本命のSNS,これこそビジネスマンの方が非常に注目し,そこで蓄えられた情報をいかに生かすかが,場合によっては企業の今後の成績にも影響してくる,あるいはマーケティングに特に影響してくると言われているものです。

 SNSでは,個人情報がデータベースとして蓄えられているわけです。ネット上での人間関係と行動履歴に関する情報ということで,「ソーシャルグラフ」と呼んでいます。

 そのソーシャルグラフというデータベースをいかに利用するかなのです。

ワンツーワン・マーケティング

 インターネット上に商品が並んでいます,あるいは記事があります。記事の上に,「チェックボタン」「ライクボタン」というようなボタンがついており,これを押すと,ここの記事はいい記事だ,この商品はいいよということが,自分のお気に入りのところに転載されるわけです。これが同時に自分の友達にも全部伝わるわけです。

 「シェア」というのをクリックしますと,まずログインしなければなりませんが,そのときにコメントを自分のマイページに書くことができるわけです。書いたら,そのコメント付きで友達がそれを全部見るのです。

 今までだったら,誰かが訪問してくるのを待っていたわけです。ところが,1人来てクリックした途端に,もう待つ必要がないんです。その人から全部口コミで伝わります。

 それをビジネスにするソーシャルコマース。オンラインストアの品ぞろえとかそういったものは,このソーシャルグラフの中の個人のプロフィールの中に,趣味も,何を買ったかも全部ありますので,それを見て,その人個人用の宣伝ができるようになるのです。それをワンツーワン・マーケティングと呼んでおりますが,そういうことができるのです。

 消費者は,口コミで広まった物を商品購入の時の決定にしていくのです。

 そういう環境ができあがったので,いよいよこれをビジネス,あるいはネットワークに使っていこうということで,今年をネット社会におけるソーシャル化元年と呼んでおります。今年は情報化社会の動きとして,非常に記念すべき年であると思われます。