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2010年7月30日(金)第4,312回 例会

恐竜は生きている―大地にロマンを求めて―

後 藤  道 治 氏

福井県立恐竜博物館 総括研究員
理学博士
後 藤  道 治 

札幌市出身。’83年信州大学大学院理学研究科終了。富山市科学文化センター(現富山市科学博物館)勤務,’98年福井県立博物館(現福井県立歴史博物館)勤務,’99年金沢大学大学院自然学研究科終了。’00年現博物館勤務。

 福井県立恐竜博物館は,恐竜研究をベースにしておりますので,堅苦しい博物館かと思われるかもしれませんが,子どもさんやご年配の皆さん方,若いカップルも十分楽しめる非常に年齢層が厚い観客を持つ博物館です。

 その博物館の紹介も兼ねて,今日は恐竜という動物の話を進めたいと思います。

 私たち研究者は,地球の46億年の歴史を時代ごとに分類しており,大型の生物が出てきた時代を「古生代」「中生代」「新生代」という時代に分けています。

 今日,お話しするのは,中生代という時代です。2億5000万年ほど前から6500万年ほど前の時代で,「恐竜の時代」と言われております。非常に大昔のことですので,夢物語の世界と一言で片付けられてしまうのですが,もう少しこの時間を身近に感じてもらいたいと思います。

人類出現,ごく最近

 46億年の地球の歴史を,私たちの日常に合わせてみるとどうなるのでしょうか-。

 まず,46億年前の地球誕生が「福井」,現在を「大阪」と,列車でタイム設定してみます。海が誕生したのが「福井」を出発して少し, 「鯖江」のちょっと手前です。生命が誕生したのが「武生」を過ぎて少し。

 「安曇川」辺りが酸素発生型光合成開始ということで,地球上に酸素がどんどん増えてきた時代です。それまで酸素は地球上にはなく,光合成を行う植物が出てきて初めて酸素が出てきたわけです。「大津」辺りで多細胞の生物が出現。ここから加速度的で,私たちのように背骨を持った脊椎動物が出現。「高槻」あたりで植物,節足動物(昆虫),脊椎動物が上陸。

 「新大阪」あたりで恐竜,哺乳類,被子(花をつける)植物の出現。そして,「大阪」に近づいてきますが,恐竜絶滅が「大阪駅」に着く1分45秒前。人類の出現は「大阪駅」に着く8秒前です。人類が地球上に出現したのはごく最近ということになります。

腰骨に大きな穴

 では,恐竜は一体どういう動物なのか。大きな特徴は,腰の骨に大きな穴が開いていて,太股の関節がストンと入るんです。太股が垂直に下りるようになっていて,私たちと同じように直立二足歩行ができるのです。

 哺乳類はどうかというと,鹿の腰の骨には,穴が開いていません。恐竜には穴が開いています。うちの博物館に来ていただいたらこれを確認して下さい。

 1995年に中国の遼寧省で,羽毛を持った動物の化石が採取されました。頭から首,肩,背中,尻尾までふさふさしたものがついており,当時の世界の研究者は,羽毛と断定。

 ところが,研究していくと,どうもこれは鳥ではなくて恐竜であるという結論に現在は達しています。

 鳥をもう少し説明しようと思います。

 飛ぶための胸骨がすごく発達しているのが鳥なんです。巧みな呼吸システムもあります。

 私たち哺乳類は,息を吸って吐いての繰り返しで肺の中に新鮮な空気を送り,ガス交換をされた空気を外へ吐き出します。これでは高いところでの運動はとても難しい。ヒマラヤみたいな高いところで酸素ボンベなしで登っていくことは無謀です。ところが,鳥はそのヒマラヤ山脈の上空を平然と飛んで渡っていくわけです。

 彼らの呼吸システムは,私たちとは全く違う非常に優れた呼吸システムを持っています。つまり,吸っても吐いても肺の中に新鮮な空気を送り込むことができるシステムを彼らは獲得しているわけです。

 空気を吸うと肺の中に空気が入ります。これは私たちと一緒です。ところがここに気嚢(きのう)を備えて,新鮮な空気をため込んでおくことができるのです。そして,吐いたときに,ここから新鮮な空気を再び肺へ送ることができます。どんな高いところでも,空気の薄いところでも,激しい運動ができるようになっています。これが気嚢システムです。

 恐竜も気嚢と呼ばれている部分が発達していることがわかっています。つまり,鳥と同じようなシステムを彼らも持っているということになります。鳥は恐竜の特徴を持っているのです。

来館者44万人

 福井での発掘調査の代表的なものを紹介します。

 フクイサウルステトリエンシス。これは草食の恐竜です。イグアノドンの仲間でして,日本で,日本人の手によって最初に全身骨格が復元された恐竜です。

 フクイラプトルキタダニエンシス。これは肉食系です。日本で最初に学名が認められた恐竜です。

 フクイティタン・ニッポネンシス。先月発表されて新しく仲間入りしました。首と尻尾が長く,4本の足で歩いています。草食の恐竜です。10メートルあります。日本で最初に名前がつけられた竜脚類です。

 最後に,恐竜博物館を紹介します。

 展示構成は,恐竜の世界,地球の科学,生命の歴史が中心テーマです。

 17年度までは入館者数が24万人~25万人で推移していましたが,18年度から徐々に伸び始め,去年の来館者は約44万人。今年は去年より早いペースです。口コミとインターネットが宣伝媒体です。

 展示件数1,800点,全身の復元骨格40体ほど。その中の6体は実物標本です。ロボットを使って恐竜を動かしてもいます。恐竜アニメ映画は子どもたちに大人気。

 ぜひ皆さん方に恐竜博物館に来ていただきたいと思います。