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2009年10月16日(金)第4,275回 例会

米山奨学生となってから19年を回想して

ザヤニ・モハメッド・<br>へディ 氏

1990年~91年当クラブ受け入れ
元米山奨学生
ザヤニ・モハメッド・
へディ 

1961年生まれ。チュニジア共和国国籍。’86年6月国立チュニス大学複合言語学科卒業。大阪府立大学経済学研究科で勉学中,’90年4月~’91年3月米山奨学生。’91年3月大阪府立大学大学院経済学研究科修士課程修了。同7月松本油脂製薬株式会社入社,輸出部配属,現在に至る。

 日本は,特に現代史において,いろんな意味でユニークな国であると多くの人々が考えています。人々は日本に対して,それぞれの立場からユニークさを感じました。日本の文化や思想を研究する「日本人論」,欧米では「Japanology」という学問領域が展開されました。私は日本的経営に興味がありました。日本人論の研究への関心が最も盛り上がっていた時に来日し,米山奨学生となり,19年たっています。時間がたつのが早いです。充実しているということかも知れません。

充実した留学生活

 私の大阪府立大学での留学生活も,特に米山奨学生となった1年間も,充実していました。深く感謝しています。米山奨学生になったお陰でたくさんのすばらしい出会いができ,私の支えになっていることに違いありません。

  米山奨学会は,素晴らしい人たちを集め,世界各国に対して様々な援助活動をし,国内においても数多くの奉仕活動をしています。大阪RCで皆様に温かく見守られて,快適に研究論文をまとめることができました。修士課程を終了し,松本油脂製薬株式会社に入社しました。私にとって松本油脂製薬は,家族のような存在です。

  松本油脂製薬は,界面活性剤など様々な製品を開発・製造・販売し,世界各国に輸出しています。例えば,熱膨張マイクロカプセルという高機能,高付加価値製品があります。素材の比重を下げ,軽量化するだけではなく様々な高機能を付与します。自動車から繊維まで使用範囲が広い高機能製品です。

  入社以来,日本を始め,特にアジア関係の海外の仕事をお手伝いさせていただいています。インドはBRICsの一つの国です。経済が拡大して,日本の企業の仕事も増えています。当社も少しずつ輸出を増やしています。インドも文化・歴史が古い国です。中国に次いで,宇宙への道を歩み出しました。日本は,模範となる仕事ができると思います。

技術革新で日本に期待

 世界人口は1940年代に25億人でした。2009年現在で65億人に増加し,2050年には85億人になると予想されています。マルサス主義的に言えば大変な問題と考えてしまいますが,そうではありません。良質なガバナンスと確実な科学技術の進歩によって,多くのチャンスに変えられるからです。消費市場として見ると膨大なものです。  全世界のエネルギーの消費を見ると,驚くことに70%~80%ぐらい,まだ化石燃料の資源で賄われています。環境の不可逆的な変化を防ぐため,2050年までに二酸化炭素の排出量を60%から70%減らす必要があると考えますと,新しい革新的な技術を早期に展開しなければなりません。ここでは日本の役割と貢献が大きいと思います。

  松本油脂製薬も将来に向けて,良質,持続可能な科学技術の進歩を成し遂げて,時代に合った商品を開発する努力を続けると思います。特にナノ粒子の領域では期待できます。

  お話しする機会を与えられて,光栄に思っています。ご静聴ありがとうございました。

「支えます」が力に

 以下, DVD「心つないで世界へ」(ロータリー米山記念奨学会)を映写。

  中国学友・姫軍さん(1995-97年 東京臨海RC 1992年北京大学法学部を卒業し,日本に留学。弁護士):

  「日本に来て,かなりアルバイトをしました。若者として,夢がないことが一番辛かったです。(ロータリー米山記念奨学会が)夢を実現する自信をくれました。皆さん,私を大事にしてくれました。お金だけではなくて,心もです」

  ネパール学友・アルチャナ・シュレスタさん(2001-02年 鈴鹿西RC 女性の経済的自立を支援する職業訓練センターを設立):

  「日本で識字率の高さ,女性の社会参加,経済力に感動,ネパールの女性のために何かしたいという気持ちがわいてきました。(職業訓練センターを設立する決心をした)自分の気持ちに,ロータリアンの皆さんの『支えますよ』という一言が力になりました」

  モンゴル学友・ジャンチブ・ガルバドラッハさん(1998-99年 山形北RC モンゴルで教育改革を実現):

  「ロータリーの皆さんの期待は,私にとって励みになっています。校長をし,物理を教え,経営もして,将来こういう人たちを育てますと約束しながら学校をつくりました。日本の教育も改革が必要な時期なので,日本の若者が大きな夢と高い志を持っていけるように協力していきたいと思っています」

  台湾学友・林曼麗(リン・マンレイ)さん (1981-83年 東京保谷RC 台北の宮殿,国立故宮博物院のリニューアルオープンを成し遂げた女性初の院長):

  「10年間の東京での生活,その時代にいろいろな経験をしたことが,私のビジョンになりました。当時考えたこと,見たことがすごく役に立ちました。違う文化の人たちと交流して,いい友達になって,お互いに影響し合うことを期待しています」

  スーダン学友・モハメド・オマル・アブデインさん(2005-08年 東京国立白うめRC 難病でほとんど視力を失う。祖国で「スーダン障害者教育支援の会」を立ち上げた):
「ロータリアンの皆さんにお金,時間,労力,全部おんぶしています。私以上に不利な立場の人たちの生活を改善できるのではないかと思ってやっています。米山奨学生になり毎月例会に出席,悩みを打ち明け,ホームを感じることができました。より多くの留学生にホームを与えられるように,多くの学生を受け入れていただきたいと思っています」