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2009年2月13日(金)第4,243回 例会

国際ロータリーが提唱する国際奉仕とクラブの関係

宮 里  唯 子 氏

2007~08年度 RI第2660地区
国際奉仕・WCS委員会委員長
宮 里  唯 子 

甲南大学法学部卒業。現在,(株)日本保健衛生代表取締役(環境測定・分析/衛生管理),(株)サニプロ代表取締役(機内食輸入・販売)を務める。
ロータリー歴:1998年茨木西RC入会,2003~’07年2660地区世界社会奉仕委員,副委員長,’07~’08年地区国際奉仕・WCS委員会委員長,’09年地区研修委員。

 本日の卓話は初心者向けの内容で,先輩ロータリアンの方々には失礼になるかとも思いますが,もう一度整理するというつもりでお聞き願えればと思います。

2カ国以上の参加が条件

 ロータリー財団のプログラムについて簡単に申し上げると,自分たちが寄付したお金を財団からどうやって引き出すかという話になります。

 その方法は大きく分けて3つ。「教育的プログラム」「人道的プログラム」そして「ポリオ・プラス・プログラム」です。人道的プログラムの中に,私たちが取り組む世界社会奉仕活動や,国内・地域での社会奉仕活動への補助金があります。

 国際奉仕は世界理解と平和推進のための活動の全てを指します。世界社会奉仕はその中の1つで,World Community Serviceの頭文字を取り,WCSと呼んでいます。その定義を3つ申し上げます。

1.人道主義であること――要するに人助けになるかどうか,恵まれない人々の力になり得るかということです。

2.2カ国以上のロータリアンが参加していること

3.そのうち1カ国はプロジェクトの実施国であること――の3点です。

 しばしば「なぜ世界社会奉仕をしなければいけないのか」という質問を受けます。これに対し国際ロータリーはWCSがもたらす3つの恩恵を挙げています。

 ひとつは「地球規模の奉仕」ができること。世界中に120万人のロータリアンがおり,彼らと手に手をつないで奉仕活動ができるのはロータリークラブならではのことです。

 次は「国際理解」。人道補助活動を通して現地の方々と触れ合う,そういった国際理解というのはまた格別のものです。

 3つ目は「国際親善」です。世界のロータリアンと知り合う,友好を深めることが国際親善につながります。

4つの補助金でWCS支援

 では,どうやってロータリー財団の補助金をこうした活動に使うのでしょう。WCSに使える補助金は4つあります。

 1番目に「マッチンググラントと地区財団活動資金(DDF)」です。皆様も既に,オーストラリアとのマッチンググラントで利用されています。

 2番目が「ボランティア奉仕活動補助金」。プロジェクトの立案や現地でのボランティア活動のための旅費に使えます。ただ,出発の3ヵ月前までに申請をしなければならず,使いにくい補助金だと思います。

 それから「3H(保健・飢餓追放・人間性尊重)」。2年から4年をかける大きな奉仕活動が対象で,これも大変な補助金です。

 4番目は「地区補助金」。マッチンググラントは,現地にロータリーがないと使えませんが,世界にはロータリーのない国もあります。こういったところでぜひWCSに取り組みたいという時に使えるのが地区補助金です。

 最初に出てきた「DDF」は,地区がマッチンググラントを申請することを条件に下りる補助金です。マッチンググラントの最低条件は2カ国以上の国がかかわること。現地か,プロジェクトを実施する国のロータリーのどちらかが,ホストパートナーを担います。現地以外のロータリーのうち,1カ国の1つのクラブが国際パートナーを務めます。

 (マッチンググラントに関係する)「クラブの役割」を説明すると,まず,WCSのプロジェクトは国際パートナーが探すものではありません。私たちが足繁く現地に行っても,そのコミュニティが本当に何を必要としているかは,なかなかわかりません。

 ホストクラブの重要な役割はニーズの掘り起こしとプロジェクトの立案・計画。そして,プロジェクトが完成した時には,そのプロジェクトが本当に貧しい人々の役に立ったか,評価をしていただきます。一方,国際パートナーの仕事は現地を視察すること,そしてやはり大きいのは,経済支援です。

急増する申請件数

 マッチンググラントは1965年に始まり,2000年までの35年間の申請件数は1万件でした。ところが,2005年までのたった5年間の件数が同じ1万件です。恐らく去年,今年はもっと増えていると考えられます。これだけの申請の処理はなかなかできません。

 今ごろから来期のプロジェクトを選定し始め,7月新年度を迎える前後から申請書の準備にかかって下さい。そうすれば年内には補助金が出て,プロジェクトが完成します。期末の6月末までに「じゃ,皆で見に行こうか」という話ができます。

 そして一番肝心なのが「報告書」です。プロジェクトが完成したら最終報告書,12カ月たっても完成しない場合は中間報告書を提出していただく場合があります。

 日本のロータリークラブは,ほとんどの場合,海外クラブがマッチンググラントを作ってきます。皆さんが主にやるのはお金の準備と会長さんがサインをすることです。「報告書が出ていません」とご連絡すると「うちは知らない。お金を出しただけだから」とおっしゃいます。ですが報告書の提出には,国際パートナーも同様の責任があります。

 そして,地区内で70%以上の最終報告書,もしくは中間報告書が出てないということが2期続くと,皆さんのクラブだけではなく,地区内すべての補助金がストップします。ですから,マッチンググラントにかかわられた場合,必ず最終報告書が出たかどうかの確認をお願いします。