1938年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。’60年川崎製鉄(現JFEスチール社)入社,’65年ニューヨーク事務所駐在員,’67年ロスアンゼルス事務所駐在員。’70年同社を退社し,鉄鋼貿易商社 大成通商(株)を創立,取締役社長就任,現在に至る。’84年大阪駅RC(大阪中央RCに名称変更)創立入会,’98年同クラブ会長。
私はガバナーの研修のため,今年1月に国際協議会へ出かけました。そこで教わったことは,今必要なのは「変革」であるということ,そしてそのためにCLP(クラブ活性化プラン)が推奨されているということです。
CLPは単なる組織の簡素化ではありません。自分たちのクラブのあり方,特徴をどういうものにするか,クラブリーダーが会員に示し,それをベースにクラブの発展を図るというのがCLPです。そうした話を含め,本年度の国際ロータリー(RI),財団,そしてこの地区の方針について説明します。
本年度のRI会長は,韓国から初めて就任された李東建(Dong Kurn Lee)さんです。本年度のRIの活動テーマは「Make Dreams Real. 夢をかたちに」。皆様はこのクラブでのそれぞれの役割について「こうしたら良いのじゃないか」という夢をお持ちかと思います。一人一人が夢を形にすれば,大阪RCはますます発展するでしょうし,それはまたRIの発展につながるということです。
李会長は「子どもたちに光があたる奉仕活動」と「会員増強」の2項目を強調しています。世界では5歳以下の子どもたちが毎日3万人近く亡くなっています。日本では子どもの死亡率は極めて低いのですが,それでも交通事故や家庭内の暴力,学校でのいじめといった色々な原因で子どもたちが亡くなっています。子どもを無用の死から守る活動に取り組めば,RIの活動テーマにつながるのです。
会員増強について李会長は現在120万人の世界のロータリアンを10%純増させ,130万人台にしたいと提唱しています。私は,会員の減少対策としてはクラブのインフラ整備が必要だと考えています。入会金や会費がバブル時代以前から同じ形で続いており,非常に高コストになっている。これをできるだけ下げるように工夫してください。
当地区の強調事項として,私は3点を挙げました。一つは「職業倫理の向上」。私たちは職業を通じてロータリー活動に参加しているのですから,自分の職業倫理の向上は第1条件になります。「四つのテスト」を職場で,家庭で,そしてクラブで実践することがまず必要だと考えました。
次に「クラブ活性化プラン,CLPの推進」です。大阪RCを除く当地区85のクラブは従来,同じようなクラブ細則で運営されてきましたが,これからはクラブがそれぞれの特徴を出していかないと,生き残りが難しい。各クラブリーダーはクラブ発展のための将来計画を作り,それをベースに代々のリーダーが色々な活動を積み上げることが必要です。
最後に「クラブ及び地区活動の合理化」です。当地区の会員数は5,500名台から,現在は4,000名ギリギリまで減っています。厳しい状況ですから現状に応じた活動内容,予算にしていただくようお願いしています。
ロータリー財団は本年度の重点項目として5項目を挙げています。財団は各クラブの社会奉仕,国際奉仕活動に補助金を出し,GSE(研究グループ交換),奨学生の派遣・受け入れといったプログラムを提供しています。
財団の本年度の最優先目標は「ポリオ撲滅の約束を守る」ということです。昨年11月にマイクロソフトのビル・ゲイツ財団がポリオ撲滅のため1億ドルを寄付してくれました。ロータリーと財団はそれに応じて同額の基金を世界各地から募り,3年かけてポリオ撲滅という大目標を達成しようとしています。
次に「年次寄付,恒久基金の推進」ですが,当クラブはいつも目標金額を達成していただいており,本年度もよろしくお願いします。
3つ目は「世界フェローシッププログラムの確立」。世界各地で地域紛争が頻発していますが,このプログラムを卒業した諸君が,各地で非常に活躍しており,これを確かなものにすることを重点項目にしています。
「ロータリーの公共イメージの向上」ですが,組織が栄えるためには自分たちが行っていることを広く発信することが重要です。クラブの活動をできるだけ発信して下さい。
最後に「財団の『未来の夢計画』を支援する」という項目ですが,財団は2017年に創立100周年を迎えます。それに向かって財団のプログラムと運用の簡素化に取り組んでおり,将来計画を作成中です。2013年~2014年ごろまでには実施に移されると思います。
次にRIの「2007-10年度の長期計画」の7項目についてご説明します。
①ポリオ撲滅や②公共イメージの向上については,先に説明したとおりです。③他者に奉仕するロータリーの能力の増大を図る――は四大奉仕部門の活動を通じて奉仕の能力を高めましょう,他の奉仕団体との共同関係も高めていきましょうということです。
④質的にも量的にも会員組織を世界的に拡大するというのは,ロータリーの理念を受け入れてもらえる国や人々の数を増やしていこうということ。⑤ロータリー独特の職業奉仕への取り組みを強調するというのは,職場のみならず,業界でも職業倫理の向上についてリーダーシップを発揮していただきたいということです。⑥RI内の指導的才能を最大限に活用し,育成するというのは,ロータリーの皆様の才能を,一般社会人や若い人たちの指導力向上に生かして欲しいということです。
⑦組織全体を通じて継続性と一貫性を保つために,長期計画の手順を完全に実施するというのは,戦略的な長期計画の手順を完全に実施しましょうということで,これは各クラブにおいても同じことです。