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2007年9月28日(金)第4,178回 例会

中之島に花開く夢

木 田  好 子 氏

ハーベスト・コンサーツ代表 木 田  好 子 

1949年大阪市生まれ。相愛女子大学音楽学部ピアノ科卒業,研究科修了。相愛高校音楽科講師を務める。’95年にハーベスト・コンサーツを設立。’97年にリーガロイヤルホテル内のチャペルでのコンサートを企画し,開催は現在では80回を超えている。’06年9月に大阪市主催の「中之島国際音楽祭」を企画,総合プロデューサーに就任。

 豊中出身のバイオリニスト神尾真由子さんがチャイコフスキー・コンクールで1位になられたお話を大阪21世紀協会の堀井良殷さんとしていた時,大阪から1位が出たのには秘密があると申しましたら,堀井さんから「ぜひそのことをロータリークラブで話してほしい」と言われ,「喜んで」とお受けしました。

 後で電話がかかってきて「プログラム委員長が朝比奈千足さんです」と言われました。私が相愛の大学生の時,「第九」の練習を中之島中央公会堂でやってくれと依頼されましたが,そこで練習の指揮をされていたのが千足様でした。今日,三十数年ぶりにお目にかかれました。

 大阪のバイオリンがいかに人材の宝庫か,今日はお話したいと思います。

 今から50年前,小澤征爾の先生の斎藤秀雄さんらが世界に通用する音楽家をつくろう,と「子供の音楽教室」を始められました。私も小学2年生から中学3年生まで,相愛の教室に毎週通って耳の訓練を受けました。神尾さんも「子供の教室」の卒業生です。

 私は相愛でピアノを学び,学校の非常勤講師などをしておりましたら,20年前に国際ソロプチミストからお声がかかり,「ホテルで音楽会をやってほしい」と言われました。音楽を企画する機会がめぐってきて,相愛の「子供の教室」の時のお友達で,日本音楽コンクールで1位になられた小栗まち絵さんも「米国では午後のお茶つきのコンサートがよく開かれているし,一緒にやりましょう」と言ってくださり,バイオリンの会を開きました。とても好評でした。

社会に役立つ音楽

 さらに1990年に,五嶋みどりさんのお母さんで,相愛で1年先輩の五嶋節さんの講演会で,ドロシー・ディレイという名教師について話を聞く機会を得ました。私自身がその後,ニューヨークでディレイ先生のレッスンを見学しましたが,先生が「音楽は社会で,どう役に立つか」ということを言われました。この言葉が新鮮で,ハーベスト・コンサーツの設立につながっていきます。

 1995年に,ハーベスト・コンサーツを始めました。「5つの実り」として,

 1. 音楽性の高い演奏会

 2. 若い演奏家の発掘

 3. 素敵な作品の発掘

 4. リーズナブルな入場料金

 5. 音楽の世界の広がりを目指す

を掲げました。

 この時期に,神尾さんがつかれたザハール・ブロン先生のレッスンをドイツまで見に行き,その縁でブロン先生のコンサートを大阪で開きました。

 神尾さんは子供のころ,元京響のコンサートマスターの工藤千博さんが5年間,教えられました。バイオリンの上達は,先生が教えられるメソッドにあると思います。大阪には工藤さんのような良い先生がおられます。

受け皿があれば花開く

 今,大阪はバイオリンで富と資産を持っています。大阪の「咲くやこの花賞」の受賞者はここ数年,バイオリニストが取っていて層が厚いのです。

 ここからが大阪の文化力と言いますか,文化の受け皿があれば必ず花開きます。ロータリークラブの皆様にもお力添えを願えれば,と思います。

 演奏が良かったら演奏家に「素晴らしかった!」と言ってあげてください。聴衆の皆さんが,演奏家を大きくします。

 ハーベスト・コンサーツを始めて10年たちました頃,カーネギーホールへ行きますと1日に3回も音楽会をやっていました。朝のホールの借り代は安いのです。それと窓のある中之島中央公会堂ホールの素晴らしさ。自然光の中,「朝の光のクラシック」という音楽会を思いつきました。

 関経連の秋山会長からも「応援する」と言われ,夢中でやりました。これが,昨年からの「中之島国際音楽祭」に結びつきます。

音楽のテーマパーク

 「中之島国際音楽祭」は,音楽のテーマパークと考えていただけたらいいと思います。そして,大阪の富と資産のバイオリンがテーマになっています。10月6,7,8の3日間で17公演をします。

 「咲くやこの花賞」をもらわれている高村薫様に「心に残るクラシック」を語っていただきます。辻久子先生には,70年間の音楽の歩みを話していただきます。

 五嶋節,小栗まち絵,森悠子の3人のカリスマ指導者による鼎談,大阪4大オケの首席フルートの方々,「咲くやこの花賞」の若きバイオリニストたち,中国の14歳のナンソン・ファン君や日本の16歳の北村君のピアノ,チェロは米国のジョシュア・ローマン,そして今年は大阪とサンフランシスコの姉妹都市50周年ということで日米の歌手にオペラを歌ってもらいます。

 このように多彩な音楽祭です。散歩がてら,のぞいていただいて,応援していただけたらうれしゅうございます。

 最後に,千里国際学園高等学部3年生の黒川侑君のバイオリン演奏をお聞きいただきます。黒川君は75年の歴史のある日本音楽コンクールで初めて関西から1位になられました。もし,演奏が素晴らしければ,一声かけてあげてください。

 ありがとうございました。

♪ サラサーテ「序奏とタランテラ 作品43」

  バイオリン 黒川  侑

  ピアノ   田口 友子
(演奏に大きな拍手が続く)