大阪ロータリークラブ

MENU

会員専用ページ

卓 話Speech

  1. Top
  2. 卓話

卓話一覧

2007年3月30日(金)第4,155回 例会

アジアの都市開発の動きとこれからの大阪

多 田   宏 行 氏

S&E総合研究所 所長 多 田   宏 行

1947年大阪生まれ。'71年に東京大学法学部を卒業後,三井不動産(株)入社。
'97年からS&E研究所所長。東京商工会議所の「まちづくり専門委員会」副委員長や経団連「ライブ・エンターテイメント分科会」副座長を務める。著書には「まちづくりの知恵と作法」や「東京都心散歩・新宿区」などがある。

 本日は,アジアの都市開発の動きとこれからの大阪のまちづくりについてお話ししたいと思います。

アジアの国際都市

 アジアというと少し日本よりは開発が遅れているという先入観を持っているわけです。しかし,日本,大阪をしのぐ勢いで開発が行われている現状に,かなりショックを受けるわけでございます。

 まず,シンガポールですが,大型のカジノ開発が行われるようになっております。香港は中国に吸収されるとどうなるかという一時期非常な不安があったんですが,新たな成長状態に移っております。マカオのカジノの売上高は,既にラスベガスを超えています。

 上海では超高層ビルの数が既に東京よりも多いと言われて,都心部の共通語は英語で,もう既に国際都市の常識が通ずる都市になっております。関西空港からエミレーツ航空で直行便がございますドバイは,世界のクレーンの半分が集まっているんじゃないかと言われるほどの開発ブームです。

 アジアの各都市では,世界から人を呼び込むために,観光集客産業といいますか,観光交流産業に力点を置いた開発を急速に進めています。

 一方,日本では大阪でも既に都心回帰の流れが出ておりますが,都心に人が住むということは,比較的遊びの時間がふえると文化を支えていただける時間がふえるということで,市民文化,あるいは都市文化が栄えるということです。

 今までの日本のまちづくりは,特に繁華街というものが若者中心のまちづくりをされてきたわけですが,これからは,若者だけではなくて大人が楽しめるような,大人が夜までとどまりたいと言わしめるようなまちづくりが必要になってくるわけです。

 また,日本発のサブカルチャーというのは今,世界じゅうで非常に高い評価を得ておりますが,漫画・アニメ・ゲームキャラクターの国際化というのは,世界の方が日本の文化について非常に親しみを持ち始めておりまして,ぜひ日本に行ってみたいという流れが起こりつつあります。

 昔,元禄時代という都市で人が楽しむ時代がございましたが,この元禄時代を再来させるような「平成元禄」を目指していくことが,産業にとっても,あるいは住んでいる人々にとっても,都市の勢いにとっても非常に重要なことになってくるわけでございます。

国際化に遅れる大阪

 大阪という町が大学的な文化をやや排除し過ぎた。一方,娯楽というのも,意外とイメージほどないんです。

 東京を相手にしている時代ではなく,東京とは別の新しい方向性を模索すべき時代であります。大阪は,われわれが持っていたイメージよりも規模としてはやや小さくなっているという認識が必要です。大阪は現在でも日本の第二の都市ではありますが,やや過去の栄光,特に大正時代は日本ナンバー1の工業生産高を,あるいは工業出荷高を担った時代がございましたが,その過去の栄光にこだわり過ぎたらよくない。東京に追随したり対抗するのではなくて,独自の魅力を開発するための努力をしていくことが重要だと思います。

 大阪からの情報発信,そして大学という文化的なものをつくり出して外へ伝えていくという施設が足りない。

 ようやく中之島を美しくしよう,大阪の町を美しくしよう,桜を植えよう,そういう流れができつつありますが,景観を省みないまちづくりということは日本全国まだまだ共通の弱点ですし,国際化の対応の遅れについてもまだ世界的レベルでは弱いと思います。都市機能の分散化,大学を外へ追い出したことも含めまして,もう少し都市の内部に多様な要素を,もう一度取り戻すということが必要かと思います。

これからの大阪のまちづくり

 大阪が進むべき道,都市機能の集中化,大きくキタとミナミという二大拠点を増強いたしまして,それ以上にあんまり分散させないことが大事でしょう。

 中之島も含めた大きな意味でのキタと,難波,心斎橋,天王寺を含めた大きな意味でのミナミ,この2つ。キタは,どちらかと言えばアジアの知的産業創造拠点,業務施設・オフィス,そういうものが集積するエリア,ミナミはなにわ文化,大阪の歴史・文化・芸能の発信拠点,こういう大きく特色づけた町の中心部を再構築することによりまして,大阪の骨格,背骨をはっきりさせたほうがいい。

 そして,独自文化を見直して発進力を強化する,歴史があるもの,古いものを新しくよみがえらせる,これも大事だと思います。

 大正時代,昭和初期のすばらしい建物群,あるいは裏町にあります大阪の古きよき生活を感じさせるようなもの,こういうものを復活させ,文化として大阪の独自性を世界じゅうに知らしめていく最大の方法だと思います。

 さらに,都市における癒しの場として,人が安らげる美しい快適な水辺空間を整備いたしまして,水辺を,水の都を復活させる。大阪大学の病院跡地の開発も進んでおりますし,とんぼりリバーウォークも着々と工事が進んでおります。春,桜の並木,桜の河岸はこの美しい川の景観をつくって,これが未来の大阪の最もすばらしい方向だと思います。

 最後になりましたけれど,日本の都市がアジアより魅力が劣り始めているという現状をご認識いただきまして,大阪は東京とは違う魅力づけをする必要があります。大阪の持つ独自の歴史・文化・ソフトをもっと見直して活用していただきたいと思います。これによりまして平成元禄時代,この到来を皆様とともに期待したいと思います。