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2006年11月10日(金)第4,137回 例会

ロシアと日本の交流
~国際親善奨学生留学報告~

大 垣  加 代 子 氏

RI2660地区2005~06年度
ロータリー財団奨学生
大 垣  加 代 子

1993年遺愛女子高等学校英語科卒業(函館市)。'97年同志社女子大学学芸学部音楽学科声楽専攻卒業。 '01年同大学院修了。'05年10月~'06年6月RC国際親善奨学生としてロシア国立サンクトペテルブルク音楽院(声楽専攻)に留学。 '92年函館市青少年芸術コンクール奨励賞。第6回KOBE国際学生コンクール奨励賞など数多くのコンクールで受賞。

 ロシア民謡♪「カチューシャ」――。

初めまして。2005~06年度の国際親善奨学生として,ロシアのサンクトペテルブルク音楽院で声楽を勉強してまいりました大垣加代子と申します。

ロシアの大地

 なぜロシアを選んだのか。声楽を学ぶのに,以前はイタリアかドイツかと考えていましたが,たまたまロシアの音楽を聞いたとき,私に合うかもしれないと思ったのです。また,言葉の難しさから,ロシアの音楽をやっている方が少なく,ロシアの歌が歌えれば,仕事が増えるかもとも考えました。

 ロシアでは,もう雪が降っているそうです。一番寒いときには-35度,バナナが凍って釘が打てます。その証明に写真を撮ろうと思いましたが,寒さでカメラが壊れると聞き,あきらめました。声楽で大きな息を吸うと喉が凍傷になる―とも言われました。不思議なもので,-35度や-20度が続くと,-5度ぐらいで暖かいと感じます。でも帰国直前には30度。湿度が少なく過ごしやすいのですが,寒暖の差は非常に激しいのです。

 主食はジャガイモでした。昔は棚に並ぶ物がない―というイメージでしたが,今はスーパーマーケットもあります。ただ,セキュリティーが厳しく,店内に入るときは大きな荷物は必ずロッカーに預けないといけないのです。

 日本は「お客様は神様です」ですが,ロシアは「売るほうが神様です」という状態。お金を持っていても言葉が通じなければダメ,物がなければお金があっても買えないと,はっきりしていました。

 最初の1カ月はホームステイ。ロシア政府が発表している全土の平均的月収は500ドル。地方と都会ではかなり違っていて,その差は激しいと思います。その中でホームステイは1カ月300~400ドルですから,とても丁寧に扱っていただきました。料理はおいしいのですが,量が多い。ロシアの学校は朝から午後3時ぐらいまで。昼食時間はなくて,午後5時に帰って食事なのです。お腹いっぱいと思っていたら,夜10時ぐらいに「晩ごはんだよ」と言われるんです。太るのも無理はないですね。私は,午後10時からのお食事はいつも断っていました。

歌の架け橋

 次に,国際親善活動について話します。サンクトペテルブルクに日本語教育をしている学校があります。「バラの学校」と呼ばれていまして,皆さんよくご存知の♪「バラが咲いた,バラが咲いた真っ赤なバラが…」という歌が校歌になっています。その校歌を,日本語,ロシア語,英語の3カ国語で子どもたちが歌います。そこで日本語教師をされている日本人の方と知り合い,何度か授業を見学させてもらいました。

 その学校では毎年,ひな祭りと端午の節句を「日本の春」としてお祭りをしていました。桜をイメージしたピンクの折り紙の飾り。日本語の劇。ゆかた姿で,はしゃぐ子どもたち。はっぴを着て和太鼓をたたいたり,踊ったり。ロシア人の子どもたちが私も知らない日本の歌を上手に歌っていて,日本の教育はもうちょっと頑張らなきゃと実感しました。

 私は,日本の小学校で勤務しているときに,子どもたちに夢がないと感じていました。小さいころの先生との出会いというのはすごく大切だと思います。夢を持てない今の子どもたちに,教えてもらっている先生が,自分の夢を実現していることを,生で見せてあげることができたら。

 外国で勉強したい夢がかなったという私に,子どもたちも留学に旅立つことを納得してくれました。帰ってきた私の報告に,子どもたちの目は輝いていました。生きた教育になったと思います。

ロータリーの紡ぐ輪

 現地の受け入れロータリークラブは創立2年目で,とても親切でした。例会にお客様が来れば歌ったり,ロシア語の歌をほめられてうれしくなり,最後には「会長に次いで出席率がよかった」と言われました。インターナショナルクラブで,ロシア,キューバ,ベネズエラ,ドイツ,イタリア,イギリス,フランス,デンマーク,ウクライナの方々がいて,英語とロシア語でミーティングが行われていました。

 ロシアは,ロータリークラブができてまだ10年ぐらい。今,積極的に世界各地のクラブと交流を持とうとしています。ただ,ロシアはまだまだ未知の世界だと思います。ロシアのロータリークラブはロシア人が少ないこともあり,ロシアの考え方がロータリーと合っているのかなと思われるところが,見え隠れすることもありました。

 日本では教育改革が叫ばれています。実際に教育現場に立っていろいろ感じることもあります。確かに子どもたちも大変ですが,やはりそれを救っていくのは大人ではないのかと,実感しております。私が,子どもたちに一番伝えたいことは,何事もあきらめない,人と人とのつながりを大事にする―ということです。そして,家庭がなにより大切です。そういう働きかけができるのも,ロータリークラブの奉仕の精神,地域の人と人の輪をつなげていくというネットワークから始まっていることを実感しております。

 私は自分がやってきたことを子どもに堂々と見せたいと思いますし,正直にやっていけたらなと思っています。

 最後に,よくご存知の「黒い瞳」をロシア語でお聞きください。本当にありがとうございました。

 ロシア民謡♪「黒い瞳」――。