大阪ロータリークラブ

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2006年7月7日(金)第4,121回 例会

新年度を迎えて

奥 田   務 君(百貨店)

会 長 奥 田   務 (百貨店)

1939年生まれ。'64年3月慶應義塾大学法学部卒業,同年4月(株)大丸入社。'87年4月同社本社営業企画部長。'91年9月(株)大丸オーストラリア代表取締役。'95年5月(株)大丸取締役。'97年3月社長。'03年5月取締役会長兼最高経営責任者,現在に至る。'98年7月当クラブ入会。'01年度国際奉仕委員長・理事,PH準フェロー・米山準功労者。

 若輩ながら,会長を引き受けさせていただきました。まず,私にとっての,ロータリークラブの精神についてお話をしたいと思います。

先義後利の精神

 北澤敬二郎さんという方がいます。この方は昭和25年7月から大阪RCの会長を務め,私ども大丸の社長,会長を歴任された大先輩でもあります。社長時代に作製したポスターの言葉に,「心斎橋へ,大丸へ」というものがあります。北澤さんは,「大丸だけへお客様を引っ張ろうと考えてつくったのではない。『心斎橋の大丸へ』ではなく,『心斎橋へ,大丸へ』としたのは,心斎橋の商店街も含めて心斎橋へ来てください。そして,大丸へも来てくださいという思いを込めた」と述べています。

 大丸は,経営理念・社是に「先義後利」を掲げています。中国の儒学者,荀子の「義を先にして利を後にするものは栄える」が原典です。企業利益は,お客様への義を貫き信頼を得ることで,もたらされるという意味。今のお客様第一主義や社会貢献に通じる大きな理念だと思います。この理念が広く浸透していた1837年(天保8年)に,陽明学者,大塩平八郎の乱が起きました。多くの豪商が焼き討ちにあう中,大塩が「大丸は義商なり,犯すなかれ」と部下に命じ,大丸は焼き討ちを免れたというエピソードもあります。

 この故事を紹介したのは,「先義後利」とロータリアンの奉仕の精神が非常に似ているからです。1923年に,米セントルイスでのロータリークラブの国際大会で採用された一文があります。「根本的に人間は自己のために利益を得たいという欲望がある。しかし一方では,人様のために尽くさねば相済まんという良心を持っている。この欲望と良心の争いをうまく調和させるのがロータリーの人生哲学である。それはすなわち“Service above self”(「超我の奉仕」・サービス第一,自己第二)の哲学であり,“He profits most who serves best”(最善のサービスをする者に最大の報いあり)という実践的原理である」。この2つの言葉は,現在のロータリークラブの標語です。厳密に言えば,2つ目の標語は,現在,“They profit most who serve best”となっています。私もこの「先義後利」と“Service above self”の精神を大切に,頑張ります。

LEAD THE WAY

 ここで,今年度の国際ロータリーのテーマについて話をします。今年度の国際ロータリーの会長は,ウィリアム・B・ボイドさんという,ニュージーランドのオークランド市にありますパクランガRCの方です。ボイドさんは,今年度の国際ロータリーのテーマに,“LEAD THE WAY”(率先しよう)と掲げています。ロータリー全体が国際的機関や地域社会からより一層評価をされ,指導力を発揮することと,ロータリアン一人ひとりが誠実,寛容,正直,奉仕の心という素質を兼ね備えた,人々の手本であるように努めてほしい,という願いから,このテーマを掲げたと聞いています。“LEAD THE WAY”は,まさにロータリアンの基本で,忘れてはならない行動規範だと思います。

 ボイドさんは,さらに具体的な4つの活動目標を掲げています。

 1つ目の「水保全」は,人間の基本的な欲求を満たすために不可欠な課題です。2つ目は「保健と飢餓」。食料なくして健康はあり得ず,健康なくして希望を持つことはできません。3つ目は「識字能力」。民主主義,安定,繁栄の必要条件で,貧困の輪から抜け出すための可能性を秘めた非常に大切なことです。4つ目は,「ロータリー家族」。ロータリー家族のすべての人々に,等しく思いやりの心を持って接することです。ロータリーの将来を健全に保つためには,青少年プログラムが不可欠で,次世代に誠実さ,寛容,無我の精神を育み,ロータリーの活動を伸張する上で非常に重要だと述べています。

 また,ロータリーの創始者であるポール・ハリスさんにも触れますと,ハリスさんは,「私たちは自己満足してはならないし,思考力を硬直化させてはならない」「世界は絶えず変化をしている。私たちは世界とともに変化する心構えがなければならない。ロータリー物語は何度も書き換えられるだろう」と述べています。ハリスさんの真意は,ロータリーの理念を変化させよということではなく,社会ニーズにかなうよう,奉仕活動の内容を変化させるべきだという意味だと思います。大阪RCも時代にふさわしくあるには,何を変えねばならないかを考える時期です。

大阪RCの3つの柱

 ボイドさんの掲げる今年度のテーマ,それからハリスさんの言葉を踏まえて,今年度は3つの事柄に重点的に取り組みたいと考えています。

 1つは会員を増やすことと出席率を上げること。そのためにはロータリーが楽しく魅力的な集団であり続けることが大切です。2つ目はクラブ奉仕,職業奉仕,社会奉仕,国際奉仕という活動を通じ,社会奉仕への取り組みを強化し,着実に成果を上げることです。今年度は,特にその集大成としてIM6組のホストをしっかりと務めることが肝要です。3つ目は親睦を深めることです。大阪RCの会員間はもちろん,できる限り,外部との交流を通じて親睦を深めねばなりません。

 微力ながらこの1年間全力を挙げて頑張ってまいりたいと思いますので,皆様方のご指導,ご鞭撻を,何とぞよろしくお願いを申し上げます。