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2005年9月30日(金)第4,086回 例会

ゴルフよもやま話

戸 張   捷 氏

ゴルフプロデューサー 戸 張   捷

1945年生まれ。'68年慶應義塾大学卒業。 我孫子ゴルフ倶楽部創設メンバーの父親の薫陶を受け, 慶応義塾高校1年からゴルフを始め, 高校3年で全日本ジュニア3位, 大学4年で日本アマ9位。'68年住友ゴム工業(株)に入社。
'73年日本初のトーナメント運営会社(株)ダンロップスポーツエンタープライズ設立時に出向し, 多数のトーナメントをプロデュース。 同社取締役を経て退社, 現在(株)ランダムアソシエイツ代表取締役。 ゴルフキャスターとしても活躍, 著書も多数。

 今日は最近のゴルフの話題を紹介します。宮里藍選手は本当にすごいと思います。アメリカに来年の女子プロトーナメントのライセンスを取りに行きましたが,初日の不振をはね返し,見事1次予選を通過しました。11月の最終予選も通って,来年1年間アメリカのツアーに出るでしょう。技術もさることながら,精神的に相当強い選手になってきている。今年の賞金女王争いは大変面白い。テレビの視聴率も男子が3,4%なのに対し,女子は2桁です。宮里が出ると2桁でも13,14%になる。宮里藍という1人のスターの出現でこうなったのです。

飛距離アップには体を鍛えること

 宮里の飛距離はドライバーで255~260ヤード。5番アイアンで彼女たちが打つのは,160~170ヤードです。アマチュアとプロの飛距離の差がついたのはこの10年ぐらいです。ボールやクラブ,シャフトがよくなったという面も大きいですが,それまでゴルフの道に進んでこなかった若い子たちがゴルフに入ってくるようになった。彼らは学生の頃から体を鍛え,アスレチックゴルファーになります。タイガーウッズが代表格ですが,アスレチックゴルファーが増えています。道具の進歩と相まって,女子の平均飛距離は10年前と比べて22ヤード伸びました。やはりクラブだけ替えて飛距離を延ばそうとしても無理があります(笑い)。

 ミッシェル・ウィーが11月,いよいよ日本にやってきます。両親は韓国人です。ハワイの大学でお父さんが教授をしており,彼女はハワイ生まれのいわゆるアメリカ人です。私は去年のお正月に一緒に3ホール回りました。私の飛距離は芯に当たると宮里よりちょっと飛ぶぐらいですから260~265ヤードです。ウィーに20ヤードから25ヤード置いて行かれました。身長は180センチありますが,歯の矯正をしているような14歳の女の子ですよ。3ホールとも勝てませんでした。ハワイの有名な私立中学校に通い,試合に出ているので,パソコンで授業を受けていました。10月の誕生日で16歳になるとプロ宣言ができ,賞金を稼げます。誕生日を過ぎると契約金も払える。11月の日本のトーナメントを主催するプロモーター,運営会社が彼女にお金を払うことになりますが,直接,間接全部含めて1億円ぐらいはいくでしょう。

ウィーの年俸は500万ドル保証

 ウィーの父親は米紙のインタビューで「プロになったらいろいろとお金の話が来る。それが不安だ。ゴルフそのものよりも,そういうマネジメントをどうするか。彼女がそれに惑わされないよう育てていけるか心配だ」と語っていました。映画俳優や歌手をマネジメントしているウィリアム・モリス・エージェンシーという会社が彼女のマネジメント権をとりました。最低年500万ドルを保証する契約をしたそうです。既にナイキなどとの契約が決まり,さらにウエア用に自分のロゴをつくろうとしており,それがうまくいくと,いきなり5,000万ドル,50億円を上回る収入を得ると言われています。

 かわいいというか美女でスタイルもいい。どっちかというと韓国と中国を混ぜたようなちょっとしゃれた顔立ちの女の子です。一緒に食事をしたんですが,お寿司が大好きです。ミル貝の刺身を3人前ぐらい1人で食べちゃう。日本の携帯電話に関心を示し,一生懸命いじっていました。日本語は半年ぐらい勉強しており,韓国語,英語はもちろんペラペラ,中国語も多分60%から70%できる。

 スィングは,デビッド・レッドベターという有名なティーチングプロに習っていました。今は非常にコンパクトなテイクバックで,300ヤード近く飛んでいってしまう。ゴルフ界のシャラポアになるでしょう。

 日本の男子プロは大変です。いくら丸山茂樹や片山晋呉がいい成績を出してもあまり面白くない。しかも,男子はみんな性格が変わっているんです。明るく楽しくきちんと話をしてくれればいいけど,自分だけプラスチックケースの中に入って外との音を遮断してゴルフだけうまい。あまりコミュニケーション能力がないタイプが増えました。

ジュニアの世代に期待

 その点,伊藤涼太は非常に魅力的な選手です。中学3年生でまだ15歳。父親が三重県の四日市でゴルフ練習場を経営し,両親とも36歳と若い。一緒に歩いていると,兄弟に見えます。「もちろんプロにしますよね」と聞いたら「本人が望めばいつでもさせようと思います」と言っていました。ダンロップの試合にはダンロップの,ミズノの試合にはミズノのバイザーをかぶって出てくる。サービス精神があり,マーケティングを親が考えていて,本人も平気でこなしている。

 実は彼のお陰で子どものギャラリーがものすごく増えています。子どもたちから「涼太ガンバレ!」と声援が飛ぶ。そんなこともあり彼も小学生と中学生だけにサインをしてあげたりしています。試合終了後も表彰式が始まるまでずっとパットの練習をしていました。1人でずっと練習ができる。そういう頭の構造,忍耐力を持っています。宮里も自分でメンタルコントロールできるまでに20歳で到達しているというのはすごい。若手では諸見里しのぶも頑張っています。彼女もこれからプロとして活躍すると思います。男も女もジュニアの世代がどんどん育ってきています。あと5年ぐらいで世界のゴルフシーンに登場する選手がそろってきた。ぜひ楽しみに見ていただきたいと思います。