大阪ロータリークラブ

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2005年1月14日(金)第4,054回 例会

ロータリーの理念についての雑感

四 方  修 君

ロータリー情報委員長 四 方  修

1930年9月24日生。'55年京都大学法学部卒業。同年警察庁入庁。'76年警視庁交通部長。後,茨城県・愛知県警察本部長を経,'84年大阪府警察本部長。その後,関西電力(株)・常勤顧問,関西国際空港(株)・常務取締役などを務め,'93年ジャパンメンテナンス(株)代表取締役社長,'01年(株)マイカル社長,同年9月同社退任,同年ジャパンメンテナンス(株)相談役現任で,'03年(株)一富士債権回収代表取締役。
当クラブ入会:'02年5月再入会。

 ことしはロータリークラブ創立100周年の記念すべき年です。私自身はロータリー精神をご説明するにふさわしいキャリアを持ち合わせていませんが,ロータリー理解推進月間ゆえに,情報委員長としてクラブの基本的な理念について簡単にご説明して,私なりの雑感を申し上げたいと存じます。

166カ国,122万人

 シカゴの弁護士ポール・ハリスが3人の友達と100年前にクラブをつくり,名称を「ロータリークラブ」としました。1911年の第2回全米ロータリークラブ連合会ではアーサー・シェルドンという人が,あらゆる職業の代表者が集まっているロータリーで「自分の職業を通じてこの社会に奉仕しよう」と呼び掛け,今日まで「職業奉仕」がロータリー綱領のバックボーンとなっていることはご存じの通りです。昨年6月現在で166カ国,約3万2000のクラブ,会員数は122万人に及び,わが国では2328クラブ,会員数10万4000余人になっています。

2つの標語

 「ロータリークラブとは?」という問いに答える場合の重要な理念は,2つの標語と4つのテストでありましょう。

 標語の1つは「He Profits Most Who Serves Best. 最高のサービスをした者が最大の利益を得る」というものです。申し上げるまでもなく,この標語のウエートは「Serves Best」にあります。今日多くの企業が取り組んでいる「CS運動」とも共通するもので「Consumer or Customer Satisfaction」を追求するのは,企業や商売としては当たり前のことであります。ただ,「言うは易し,行うは難し」です。経営の先輩がたくさんおられるところで生意気なことを言うようでありますが,CSの難しさは次の3点にあることを私は過去に痛いほど経験しました。

 その1つは,お客様本位の徹底です。私は自ら全国各地を営業に回り,会社案内をお客様にお渡しをし,自社の実績や特異性,差別化をご説明するわけですが,それだけではお客様の目はなかなか輝いてきません。今お客様が当社に対して何を求め何を期待しておられるのか理解する努力をし,すぐにでも喜んでいただけるような提案をしますと,お客様の目は輝いてくるのです。日常からそのような気遣い,心配りのできない社員に対し,お客様の側に立って物を考えろというのは困難なことでした。社員教育の重要な課題であろうと考えております。

 CSの難しさの2つ目は,お客様に提供する業務や商品の品質とプライスだけではご満足いただけない点です。私が約8年間社長を務めた(株)ジャパンメンテナンスは,その名の通り多種多様な建物のメンテナンスを担当する会社ですが,平成7年の株式上場を機に全国すべてのお客様に,ジャパンメンテナンスの業務にご満足をいただいておるかどうかのアンケートをお願いしました。その結果,驚いたことにお客様のご不満は業務の質や値段よりも,当社従業員のマナーについての方が多かったのです。

 CSの難しさの3つ目は,社員の人事考課とお客様満足度との関係です。いわゆる成果主義が,社員の人事考課において重要視される傾向があります。これは結果的に「Serves Best」を軽視してしまうことになりかねないと思うのです。直接,間接にお客様に接する従業員の誠意やマナーがとても重要なのに,利益という結果にウエートを置くことは,それに反してはいないか。バランスの取れた人事考課制度は,人が人を裁くものであるだけに,まだまだ飽くなき追究をしなければならないと思っているわけです。

 標語のもう1つは「Service Above Self. 超我の奉仕」です。この標語は1番目の標語の善しあしについての議論を含めて,かなりの議論を経て採択されたと聞いております。「奉仕議論」を進めているうちに「利己」と「利他」という人間倫理の根底にまで議論が進んだものと推察いたしておりますが「Above Self」 は凡人には実行の難しい課題であると思います。

 4つのテストについては,これはもう会員の皆さん方十分ご存じでして,私が今さら説明するまでもないと思いますので省略をさせていただきます。

民族別や国家別の標語を

 昨年5月の2004国際大会で感じたのは有色ロータリアンと白人ロータリアンとの,ロータリー精神への忠誠心や真面目さの違いです。今だにはっきりした結論には至っていませんが,思想的背景や宗教的背景の決定的な違い,それに裏打ちされた歴史的な文明や伝統の差,これしか考えられないと痛感しました。

 私は100年目を迎える今年あたりから,標語や4つのテストを金科玉条とするのではなく,民族別,国家別の標語やテストがあってもいいのではないかと思うのです。立派な教訓やことわざを日本人もたくさん持っています。「打たれても親の杖」ということわざがありますが,このままでは,RI本部の善意を「打たれても親の杖」とは感じることはできず,ロータリー歴10年に満たない私が,ロータリアンとしての私と日本人である私との狭間にある違和感について,あえて問題提起し,先輩ロータリアンにお尋ねしたいと思って申し上げた次第です。「聞くは一旦の恥,聞かぬは末代の恥」ということわざでもって私の卓話を終わります。