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2003年12月12日(金)第4,003回 例会

スイス人外交官の見た関西と日本

Daniel Aviolat氏

在大阪スイス総領事 Daniel Aviolat
(ダニエル アヴィオラ)

1974~77年大阪副領事。 78~ 80年ジェッダ(サウジアラビア)三等書記官。 80~82年ベイルート(レバノン)三等書記官。 83~ 86年シンガポール一等書記官。 86~88年モンロヴィア(リベリア)代理大使。 88~90年パリ(フランス)ユネスコスイス政府代表部次席代表。 90~92年ベルン(スイス)外務省政務局。 92~97年アテネ(ギリシャ)参事官。 98年1月~在大阪スイス総領事。

 スイスと日本は何世紀もの間,お互いのことを知らずに過ごしてきましたが,多くの共通点も持っています。第二次世界大戦の惨状を経験して,「武力で外国に介入しない」という方針を共有しています。日本は憲法によって戦争を禁じている唯一の国です。日本がその活動を経済分野に限ってきたことに満足してきた人たちが今では,その経済力に見合う形で国際社会とともに世界の平和や安全に貢献することを期待しています。

賞賛に値する日本

 日本は憲法を尊重しながら,国連の通常予算の約2割もを負担し,平和維持活動や国際人道援助などに貢献しているのは,称賛に値することです。

 日本はユネスコ事務局長の松浦晃一郎氏や元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏ら最高の人材を国連の重職に送り出しています。神戸のWHO(世界保健機関)センターなど数多くの国際機関の代表事務所が日本に設置されています。これらの組織が主に都道府県や市町村,時には民間企業から資金を得ていることは特筆すべきです。このことから,日本が世界に向けて扉を開き,国際社会でもっと活躍しようという意志を感じます。

 日本が発展途上国援助で2番目に大きな貢献を行っていることも称賛されます。このような政策は政治的安定や合意に基づいて出来ることですが,日本もスイスもその条件を備えています。日本では自民党が政権を握り続け,スイスでは連邦政府が同じように長年,国を動かしています。もっとも,このことは難しい決断を下して,方向を変えるプロセスを遅らせる危険もはらんでいます。

日本の変化

 不況が長引き,日本人は停滞期から目覚め,変化が必要だと気付いたようです。この反応は,中国の台頭と経済的な拡大も影響しています。日本は外国からの投資に関して保護主義的でしたが,この政策を転換し,最近は外国投資を奨励しています。スイスは対日投資で世界5位を占め,多くの企業が日本に進出,大阪府内だけでもスイス企業の本社や支社は55もあります。

 スイスは人口の少ない小国ですが,それでも世界12位の交易国家で,金融大国の一つです。その成功のカギは地方分権にあります。日本でも地方分権について議論されていますが,これまでは余り効果は上がっていないように思われます。もっと地方分権が実施されれば,発明の才や進取の気性に富んだ関西は多くのものを得ることが出来るでしょう。

 即席ラーメンやカラオケなど多く発明品が関西で生まれました。女性を活用する点でも関西は先駆者です。太田房江・大阪府知事は日本で初めての女性知事です。北村春江・前芦屋市長は初の女性市長でした。丹羽雅子・前奈良女子大学長は初の国立大学長でした。

 スイスは様々な領域で世界のリーダーになっています。新製品を作り出した成果から、より緊密な産学連携を強くお薦めしたい。これは、スイスが成功した大きな要因の一つでもあります。日本も産学連携の必要性に気付き、政府は学会から産業界へ技術を移転するのを奨励する法的な枠組みを作りました。

 スイスと日本の二国間関係では、研究者の交流が増え続けています。スイス連邦工科大学の総裁が来日した際は、大阪大学と京都大学の学長にお会いしています。

日本と関西の強みで国際貢献を

 ソクラテスは「学生とは満たす水差しではない。火を灯すロウソクだ」と言いました。和を重んじる日本で,もっと独自の考えや創造性を生み出すのなら,エゴイズムを生むことなく,日本人の国民性である敬いの心を育む特質を維持するような方法で行われるべきです。敬意という言葉は,私が外国人から「日本を一言で表してほしい」と頼まれた時に使う言葉です。

 日本はもっと観光を奨励するべきです。小泉首相も「訪日観光客を2倍にする」という目標を掲げましたが,これを達成するためには,海外で日本を真剣に売り込むことが必要です。今はこの宣伝が決定的に欠けています。観光業に関わるすべての人に外国語を教えることも必要です。日本,特に関西は親切な人々,美しい景色,古いお祭り,文化的催しなど,多くのものを提供することが出来るのです。

 日本人は神道を持つとともに自然崇拝を行い,あらゆる困難な状況に応じて無数の神様を信じる知恵を持ち続けてきたことも称賛されます。

 文化の薫り高い環境の関西に住むヨーロッパ人としては,これ以上望むものはないくらいだと申し上げたい。ここには,日本文化と西洋文化の両方があふれています。伝統的な建築とともに現代的建築もあります。能や文楽など伝統的な舞台芸術から現代的な演劇まで上演されています。日本,特に関西は人々の活発な興味に育まれ,伝統と新しい流行がうまく共存している国・地域で,世界文化をリードする中心地の一つと言えるでしょう。

 「諦めへん」はロータリークラブとその社会的・人道的活動,この国の人々にとって,ふさわしいスローガンと言えるでしょう。日本の皆さんは,歴史や伝統に加えて,今や伝説的となった適応能力という強みを発揮して,国際社会とともに希望の未来を分かち合えると考えています。日本と関西は,独自の社会的価値や業績で国際社会に多くの貢献をすることが出来るのです。

 ご静聴ありがとうございました。オオキニ。