1943年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。'66年西独ブレーメン市立音楽院に留学。'68年ベルリン音楽大学に入学。'70年からクラリネットの独奏者として巾広く演奏活動を展開し、'78年指揮者デビュー。帰国後主要なオーケストラを指揮すると共に、海外各国への演奏旅行を続ける。1973年6月22日当クラブ入会(音楽)
6月1日からロータリーの国際大会が開かれるブリスベンの町についてお話します。きょうはツアーコンダクターのお話ですが、私は同じコンダクターでも本職はあくまでオーケストラコンダクターでございますので、その点よろしくご了承お願いします(笑)。
初めに発音ですがブリスベーンと言う旅行代理店もありますが、これは間違いです。最初のほうにアクセントがついていないとだめで、正しくはブリスベンです。私とブリスベンとの出会いは今から13年ほど前、海外演奏旅行で豪州を訪れた際に立ち寄ったのが最初です。ブリスベンは実は神戸市と姉妹都市の関係にございまして、私は神戸のオーケストラの指揮者をしておりましたので、文化使節として市長からの手紙を携え、ブリスベン市の海外交流の委員長さんにお目にかかったりするような公式の訪問をいたしました。そのときに、「ああ、過ごしやすい、いい町だなあ、できればここに住んでみたいな」と全く感覚的に思いました。何となく空気がやわらかく、町並みが優しく、そして自然がいっぱいで、皆さんもこの町に足を踏み入れると、きっとそうお感じになると思います。
それ以降、私の家内はピアニストでございますが、ピアノリサイタルをブリスベンでする機会がありまして、それが縁でブリスベンにあります音楽院の先生になり、現在もブリスベンに住んでおります。お陰で私は優雅な一人生活を日本でしております(笑)。 気候は、亜熱帯(サブトロピカル)と言われ、ちょうど沖縄の天候によく似ておりまして、夏は高温ですが、冬はほとんど雨が降らず、乾燥して過ごしやすいところです。冬というのは南半球ですから日本と逆で、今が冬になります。天気は良いし暖かい。家内によりますと、きのう(5月22日)の朝の気温は14度です。夜はちょっとそれよりも下がって10度以下になるかもしれませんが、昼間はTシャツ一枚で歩けます。
ブリスベンは、別名「エアコンシティー」と言われておりまして、普通の公共施設の建物とか学校、あるいはバス、電車などは冬でも必ず冷房をしております。そして、市の職員さんたちも年間を通して半袖に半ズボンの制服で、非常に開放的でリラックスした雰囲気の町です。旅行するなら6月、7月、お盆のお休みが最高で、9月の頭まではお勧めです。逆に12月から2月にかけては夏で、高温多湿で非常に暑い。日本人は暮れからお正月にかけてよく豪州に行きますが、この時期は旅行には最も不適な季節です。 ブリスベンの町は、町の中心だけにビルがあって、あとは小さな低層の住宅が並んでおります。中心地は碁盤の目のようになっていまして、縦の線は男の名前、横の線は女の名前がついています。車の混雑を避けるため、中心部の地下が広大な駐車場とバスターミナルになっています。世界でも大変ユニークな発想で、神戸市がつくった三宮の地下の大きな駐車場は、ブリスベンのバスターミナルを模してつくったと言われております。
町の郊外には美しい自然環境がたくさん残っておりまして、映画やCMのフィルムの制作には一番いい土地だと言われております。きれいな海辺を使ったビールのコマーシャルなどは、大体この辺の小島で撮影しているということです。
為替レートは1豪ドルが74円ぐらいです。ただ、円を持って行って現地でドルに換えると80円ぐらいになります。お買物の決済はクレジットカードにした方がお得です。消費税はGSTと言っておりまして平均10%です。生活必需品や医療物の税率は軽いのですが、ホテルなどは高くなっています。
物価は、NYを100としますと、ブリスベンは62、東京は134という指数です。つまり東京の半分で済むということです。たとえばミルク1リットルが日本では220円~230円しますが現地では100円です。野菜類は高いのも安いのもキログラム単位で売っておりまして、200円から400円、一番高いのがマッシュルームで、1キロで7ドル85セントです。皆さんの興味があるのはゴルフだと思いますが、パブリックの安いお手軽なゴルフ場がたくさんあって平均が50ドル、3,000円ぐらいです。そのぐらい簡単にできるということです。
家賃は、私が借りているマンションで、月額換算しますと大体1,700ドル、13万円ぐらいです。高いと思われるかもしれませんが、広さは130平米で、プールもテニスコートも付いています。管理人が常駐し、高台の景色のいいところに建っています。東京辺りですと5倍からもうちょっとするかもしれないと思います。
最近は日本でもブリスベンにお住まいになる、あるいは短期に滞在して現地の生活を楽しむという熟年層の人たちが増えています。有名なタレントさんも別荘地に家を買って住んでいますが、そうではなくて、町の中の普通のマンションにお住みになることをお勧めします。私のマンションの側にもそういうマンションがあって、2ベッドルームで、家具から食器までついていて、家賃は豪ドルで週475ドルです。行きたい時に前もって管理人に言いますと、空いている部屋を押さえてくれます。ホテルなんかに住むより非常に安価です。ヌーサというリゾート地にはそういうのがたくさんあります。機会があれば、皆様方も一度ご夫婦でそういう楽しみ方をされてみてはいかがでしょうか。