大阪ロータリークラブ

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2025年11月7日(金)第4,984回 例会

ロータリー財団のファンドレイジング

新 堂    博 氏

RI第2660地区ロータリー財団委員会
委員長
新 堂    博 

2006年12月大阪城北ロータリークラブ入会。’17-’18年度会長。
地区の役職は,’19-’21年度ロータリー財団委員会委員,’21-’23年度地区研修委員会(現・地区ラーニング委員会)委員,’21-’23年度ロータリー財団委員会・補助金小委員会委員長,’23-’25年度ロータリー財団委員会委員長(ロータリー財団章典により3年任期)。

 ロータリー財団(The Rotary Foundation)の始まりは1917年です。この年の大会でアーチ・クランフが「世界でよいことをするため」の恒久的な基金の設置を提案しました。それが今日のロータリー財団です。

ロータリー財団の父

 クランフは1869年にペンシルベニア州に生まれ,幼少期にオハイオ州クリーブランドに移り住みました。貧しくとも幸せな家庭だったようで,勉強もよくできましたが,12歳で学校をやめて働き始め,16歳の時に木材会社の雑用係の職を得ました。会社が経営不振に陥ると,彼はトップから再建を託されました。期待に応えて収益性の高い企業に成長させ,順調に昇進を重ね,若くして総支配人に,そして経営者となりました。実績を買われ,汽船会社,銀行,不動産業などでも経営手腕を発揮しました。
 シカゴRCができた6年後の1911年にクランフはクリーブランドRCのチャーターメンバーとして入会しました。’13年にクラブ会長になり,「非常時基金」を提唱しました。
 何かプロジェクトをやりたいときに,クラブにお金がなければ,何もできない。その都度,寄付を集めるのではなく,常時,お金をキープしておきたいとの思いからでした。
 クランフは’14年,国際ロータリークラブ連合会の理事になり,’16年には会長に就任。そして’17年6月,「ロータリー基金」の創設がアトランタ大会で決定されました。’28年に「ロータリー財団」が法人化され,’31年に信託組織化,’83年にはイリノイ州法のもとで非営利財団法人化され,現在に続いています。クランフは’15年に採択された「標準ロータリークラブ定款・細則」制定の責任者として有名で,ロータリーに地区を設け,地区ガバナー職をつくり,年次地区大会を確立したのも業績です。1951年に82歳で生涯を閉じました。

資金の流れと地区財団活動資金

 ロータリー財団の資金の流れとシェアシステムの仕組み,RI第2660地区の地区財団活動資金の規模について説明します。
 シェアシステムによる財団活動資金(補助金の原資)は全てロータリー会員の寄付です。寄付には「年次基金寄付」「恒久基金寄付」「使途を指定した寄付」の3つあります。
 年次基金寄付は,投資された3年後,全額がシェアシステムに入ります。恒久基金寄付は全額積み立てられて投資され,その収益だけがシェアシステムに入ります。年次基金寄付,恒久基金寄付から管理運営費として,それぞれ2.5%を徴収して,国際財団活動資金(WF)と地区財団活動資金(DDF)に振り分けます。グローバル補助金へのDDFに対するWFからの上乗せ額は80%です。当地区ではグローバル補助金へのDDFの上限は2万ドルなので,それに対してWFからは80%,1万6,000ドルが上乗せされて,グローバル補助金は計3万6,000ドルとなります。これに援助国側クラブの拠出金や,プロジェクトの実施国側の拠出金&DDF/WFをすると,グローバル補助金の事業は5万ドルから7万ドルの規模ではないかと思います。
 地区補助金を利用しづらい理由は,煩雑な申請・報告プロセス,使途の制限,ロータリー財団および地区の定めるルールと会計処理の複雑さなどのためです。なぜ使いにくいかと言うと,最終的に資金を管理するのがロータリー財団で,用途が財団の目的・方針に沿っていなければならないからです。地区財団活動資金を使う全ての補助金申請は,審査・承認を経て実行可能になります。①透明性の確保②目的の一貫性③会計と報告の統一管理,この3つをクリアした上で補助金を使っていただきます。
 当地区の2021-22年度の年次基金寄付は総額58万6,000ドルです。総額の50%から管理運営費2.5%を差し引いた47.5%が地区に戻ってきます。その金額は29万3,000ドルです。恒久基金寄付は約4万2,000ドルが地区に戻ってきます。合計金額約33万5,000ドルと,前年度の繰り越額が1万4,000ドルあったので計34万9,000ドル,これが2024-25年度の総予算でした。
 地区補助金の総合計は15万3,000ドルで,昨年7月に1ドル161円のときに2,465万6,345円が地区の補助金口座に入金され,申請額に基づいて各クラブに配分しています。
 当地区が年間に活用する補助金の総額は,地区財団活動資金と国際財団活動資金を合計すると,ざっくり50万ドル前後となります。

持続可能な奉仕のサイクル

 地区補助金,グローバル補助金ともに「最終報告」が必要です。事業の成果,資金の使途,会計報告をロータリー財団に報告します。適正に使用されたか,事業の目的が達成されたか,計画に沿って実施されたかを確認します。奉仕の締めくくりであり,次の奉仕の出発点の意味合いがあります。
 ロータリー財団の活動は,会員の寄付で支えられています。年次基金は「今の奉仕を動かすエネルギー」で,恒久基金は「未来の奉仕を守る土台」。この2つの運用があればこそ,持続可能な奉仕のサイクルを実現できるのです。
 ロータリー財団による年次基金,恒久基金の運用状況についてお話しします。
 2023-24年度の年次基金の収益率は4.9%で,過去5年間は平均3.2%の収益を生み出しています。ロータリー財団の目標は,物価上昇分は最低でも稼ぐことのようです。
 恒久基金については,2024年6月末の時点で7億3,600万ドル,(1,100億円)が積み立てられています。2023-24年度の恒久基金の収益率は12%で,過去5年間に恒久基金は4億8,200万ドルから7億3,600万ドルに成長し,年間平均7%の収益を生み出しました。恒久基金は,長期的な運用を目的として株式やオルタナティブ資産に多く配分されています。
 ご清聴,ありがとうございます。Yours ㏌Rotary. ロータリーの友情を持って。
(スライドとともに)