1966年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業後,’90年4月通商産業省(現経済産業省)入省。2013年7月に経済産業省商務流通保安グループ博覧会推進室長兼博覧会国際事務局日本政府代表兼ミラノ博日本政府副代表,その後内閣府地方創生推進事務局総括参事官,(独)中小企業基盤整備機構理事などを経て,’20年7月に(公社)2025年日本国際博覧会協会に出向。広報戦略局長,企画局長,機運醸成局長を歴任し,’23年4月より現職。
万博まであと1年を切っておりまして,ちょうど4月13日が1年前でした。
万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で,コンセプトは「未来社会の実験場」です。国連で定めたSDGsの目標達成年の2030年のちょうど5年前に開催されます。各国がSDGsや地球温暖化という問題にどう対応してきたのかが問われるでしょう。コロナ後に,世界が再び一つになる貴重な機会でもあります。
万博の予想来場者数は約2,820万人です。海外からは約350万人の来場を想定しており,実際にはもっと多くのインバウンドが来日するのではないでしょうか。
万博協会は,約770人で運営しています。半分が民間企業からの出向で,4割が自治体,1割が国関係です。
多くのメディアは海外パビリオンの建設が間に合うのかと報じていますが,つい先日,BIE(博覧会国際事務局)の事務総長・ケルケンツェス氏が「山は超えている」と発言されました。ただ,内装や展示で事業者がまだ定まっていない国もあります。万博協会と国が一丸となって準備を進めています。
いい話としては,万博会場内外に動員されるボランティアについて,計2万人の募集をかけて目標人数を達成しました。
会場がある夢洲は,周囲が海に囲まれた場所です。経路は,鉄道だと大阪メトロ中央線の1駅分延伸し,新たに「夢洲駅」が設置される予定ですが,もう一つはJRのユニバーサル・スタジオ・ジャパンの1つ先の桜島駅からバスで移動するという方法です。また自家用車用の駐車場も敷設されます。舞洲と尼崎と堺に用意され,そこからバスでピストン輸送することになっています。船でのアクセス手段も設けられ,船着き場は2ヵ所を想定しています。
万博には,13の民間の企業・団体のパビリオンが出ます。海外161ヵ国が参加を表明しており,50を超える国が自前のパビリオンを建設します。その他100ぐらいは,われわれ博覧会協会が建てた建物の中にパビリオンを用意します。万博のテーマやSDGsの17項目に沿ったパビリオンが展開されるでしょう。
会場の最大の特徴は「大屋根(リング)」です。世界最大級の木製建造物で,1周2㎞,半径600m,高さ12m,外側が20m,30mの幅があります。この2㎞のリングはもう8割が完成しています。このリングの内側に海外パビリオンが入ります。外側には催事施設や民間パビリオンが配置されます。
日本側のパビリオン建設は順調に進んでいます。リングの内側には8人のプロデューサーが手掛ける「シグネチャーパビリオン」が並ぶ予定です。各分野の最先端を走っておられる方々に「いのち」をテーマに出展していただくものです。
民間パビリオンでは,出展企業が建築や展示物などを通して,何を表現するのかを楽しみにしてもらいたいと思います。「大阪ヘルスケアパビリオン」として大阪府・市も出展します。
万博では,「未来社会ショーケース事業」と銘打つ取り組みがあります。
例えば,「スマートモビリティ万博」では,自動運転バスや水素燃料電池船の運行,また空飛ぶクルマが2地点間を飛行するパフォーマンスなどの仕掛けもあります。「デジタル万博」では,スマートフォンをパーソナルエージェントとし,会場内を効率的に回る仕組みを提示します。自動翻訳システムとして「1対1」や,「1対多」のカンファレンスでも対応できるシステムを用意し,言葉の壁をなくすことにチャレンジします。さらに,「バーチャル万博」では,会場に来なくても,インターネット上のデジタルツインを通して万博会場内の様子を知ることができます。
会場には多くの催事場が設置されます。エキスポホールの2,000人が入る劇場型の施設「シャインハット」や,1万人入るアリーナ「Matsuri」,4,000㎡のメッセ会場「WASSE」のほか迎賓館などもあります。こうした施設を利用して184日間,各所でイベントが開かれます。
公式ライセンス,万博のロゴマーク,公式キャラクターミャクミャク,万博の色(赤,青,グレー,白)を商品やサービスに使ってもらい機運醸成を図るよう協力をお願いしています。ライセンス料が設定されていますが,公式ライセンスショップもオープンしています。ネットの公式販売サイトの商品も次第に増えてきています。
また,万博を機に日本の魅力を知ってもらうために旅行商品販売サイト「トラベルガイド」をつかってPRする方針です。万博入場日を予約するとその前後に満足度の高い体験型サービスが組み込まれた旅行商品を提案します。
オフィシャルテーマソング「この地球(ほし)の続きを」は,アンバサダーのコブクロの2人につくっていただきました。機運醸成のため,イベントなどにミャクミャクを派遣することも可能です。昨年11月30日に入場券発売を開始したのですが,前売り券は非常に安い値段で設定しています。万博開幕1年前には「くるぞ,万博。1 year to go」をスローガンにサイネージ展開をします。広告スペースを提供してもらった場合,広報プロモーションに協力いただいたとして協賛企業と名乗ることができます。電車や航空機のラッピングも進んでいます。
万博の準備に関しては報道がありますが,万博協会,国,大阪府・市関係の経済団体の方々と一丸で取り組んでいます。万博を一緒につくり上げていきたいと思っています。
(スライド・映像とともに)