1965年生まれ。’88年 住友商事(株)入社。2001年シンガポール住友商事,’06年人事部,’15年文書総務部長,’18年秘書部長。’21年人材・総務・総務担当役員参事 住友EXPO2025推進員会 事務局長,’22年4月理事 人材・総務・総務担当役員付 住友EXPO2025推進員会 事務局長。
本日は,2025年「大阪・関西万博における『住友館』の出展概要」というテーマでお話をさせていただきます。
「住友 EXPO2025推進委員会」といいますのは,住友グループ19社で,この2025年大阪・関西万博で住友グループとしてパビリオンを出展するのを目的にできた組織でございます。その傘下に事務局を設けており,住友グループから現在5社7名が専任で仕事をしております。
本日は最初に「大阪・関西万博の概要」,次に「『住友館』出展の意義・目的」,最後に「『住友館』出展の概要」とお話をさせていただきます。
最初に,「大阪・関西万博の概要」ですが,改めて簡単に振り返っておきます。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。コンセプトが「未来社会の実験場」となっています。開催期間は,「2025年4月13日から10月13日までの184日間」。想定来場者数は約2,820万人。うち海外からは約350万人と聞いております。開催場所は夢洲です。夢洲会場までのルートは橋を通ってバスなどで来るルートと,咲州からトンネルを利用するメトロ(地下鉄)の2ルートです。
会期中は,まず来場日時を予約することになりますので,トランスポーテーション・デマンド・マネジメント(TDM)と言いますが,交通需要マネジメントも実施予定です。東京オリンピックでも検討されており,1年前にトライアルを実施しました。在宅勤務によって出社率を削減するなど取り組みに協力しましたが,東京オリンピックは無観客で開催され,TDMは発動されずに終わりました。大阪が初実施になるかもしれません。
次に,「『住友館』出展の意義・目的」です。
パビリオン出展には数10億というコストがかかりますが,なぜそこまでして出展するのか。万博は非常に長い歴史を持っていますが,その間に性格,目的が変わっています。万博を司る博覧会国際事務局(BIE)ですが,1994年の総会で,「産業見本市ではなく,人類の共通課題への解決策を提示する場に」と決議をされました。
万博で思い出すものを問われると多くが産業見本市のような日本万国博覧会(1970年)をあげます。「住友館」も出展しました。
’70年の大阪万博の「住友館」ですが「住友童話館」という名称でした。童話を中心テーマとして最新の情報処理システムによって人間の顔から性格を判断するなど最先端の技術的な試みが行われ,人気を博したと記録されています。
本題に戻り,出展の意義・目的ですが,今回の万博は「SDGs達成に貢献する」ことを意義として掲げています。これは住友グループ各社にとっても取り組むべきテーマです。2つ目は,大阪・関西万博は国家的なプロジェクトです。「自利利他公私一如」,「国家社会への報恩」という住友の事業精神に沿うものでもあります。3つ目は,関西は住友発祥の地。中でも大阪はグループ発展の礎を築いた場所です。その大阪への恩返しでもあります。
2つ目の住友の事業精神についてですが,「自利利他公私一如」と申し上げましたが,住友の事業は,住友にとって利益があると同時に,社会にも利益があるものでなければならないという意味です。今回の国家イベントである万博への参加も社会貢献という位置付けです。万博は大阪府市が主催のイベントではありません。国際条約に基づいて開催される国家イベントですので公式の参加者は国や国際機関です。民間パビリオンは,あくまで非公式参加者と呼ばれています。
「住友館」は何を披露するのかですが,実はまだ未公開・未公表の部分も多いのですべてをお伝えできません。昨年10月に「民間パビリオン構想発表会」があり,そこで発表した内容をお伝えします。
400年の歴史を持つ住友は,森を大切にし,発展の礎にしてきました。私たち住友は,公益との調和を強く求める「自利利他公私一如」という事業精神のもと,100年もの時をかけて植林を繰り返すことによって,命あふれる豊かな森の姿を取り戻しました。’70年の大阪万博の年に植えた木,さらにはもっとさかのぼって先人たちが植えた木。2025年,時を越えて成長した住友の森の木々は「住友館」となって皆様をお迎えします。
外観は,住友の発展の礎である四国別子の峰から着想を得てデザインし,山々が連続するシルエットを表現しています。「住友館」では,「UNKNOWN FOREST 誰も知らない,いのちの物語」をテーマにした展示体験を提供します。
住友館についての詳細は今後発表する予定ですが,少しだけお話ししますと,パビリオンの中はいくつか部屋に分かれておりまして,その中の一つでリアルな森を演出します。多くの映像や音を使ったインタラクティブな体験を展開いたします。自由に歩いていただいて,五感を研ぎ澄ます,仲間と共有することで,この体験が記憶の片鱗となって蘇ったときに,笑顔になったり,背筋が伸びたり,優しくなれる,そんな原体験を提供するパビリオンにしたいと考えております。
最後に「住友館」のシンボルマークについて,簡単にご紹介します。別子銅山の発展を礎に多様な森のように成長を続けてきた住友。グループ各社がパビリオンで力強く集結し一粒の種に,訪れた一人,一人の心にそれが植え付けられ,大きな可能性となって未来へふくらんでいく。シンボルマークは,これからの自然・人・社会に驚きやワクワクを与える,「!」マークのような“森”がひろがることを表現しています。
(スライド・映像とともに)