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2024年1月19日(金)第4,907回 例会

グラングリーン大阪(うめきた2 期)のまちづくり

小 谷  一 文 氏

株式会社竹中工務店 開発計画本部
西日本1 グループ長 兼務 大阪駅北地区事業本部
小 谷  一 文 

1994年株式会社竹中工務店入社。大阪本店作業所,東京・大阪の営業部門を経験した後,2005年から都市開発部門である開発計画本部に所属。主に大阪都心エリアの開発プロジェクトを担当。’06年から現在まで,グランフロント大阪(うめきた1期),グラングリーン大阪(うめきた2期)のまちづくりに参画。

 本日は「グラングリーン大阪(うめきた2期)のまちづくり」というテーマで,うめきた開発の経緯とグラングリーン大阪の計画内容の2点について説明させていただきます。

うめきた開発の経緯

 大阪駅北地区(うめきた地区)は,かつて「梅田貨物駅」という重要な物流拠点でしたが,1987年の国鉄民営化に伴い,用地が国鉄清算事業団に継承され,移転構想がスタートしました。2002~’03年には開発の気運を高める国際コンセプトコンペが実施され,翌’04年にはまちづくりの基本計画が策定されます。特徴的なのはナレッジキャピタル(知的創造拠点)のゾーンです。これは,単なる都市開発に終始するのではなく,新たな知的創造拠点を創って産業・企業を生み出し,関西経済に貢献することを見据えたものです。
 ’06~’07年にかけて,うめきた1期の開発事業者の募集がなされ,三菱地所を代表とする12社のコンソーシアムが開発事業者として選定されました。ナレッジキャピタルを核に,低層部は商業施設,高層部はオフィス,ホテルサービスアパートメント,分譲住宅を配置し,延べ面積約56万㎡の大規模複合開発の事業がスタートしました。’13年4月に「グランフロント大阪」として開業し,’23年までの10年間の来場者数が4億7,000万人を数え,大阪の新たなランドマークとして定着したものと考えております。

グラングリーン大阪(うめきた2期)の概要

 グランフロント大阪の開業から半年後に,うめきた2期の1次提案の募集が行われます。これらの民間提案をもとに,「みどりとイノベーションの融合拠点」という2期のまちづくり目標が策定されました。「世界の人々を惹きつける,比類なき魅力を備えたみどり」,「新たな国際競争力を発揮し,世界をリードするイノベーションの融合拠点」,この2つをいかにして実現するかが,今回の大きなテーマになっています。
 ここから計画内容について詳しくご紹介をさせていただきます。
 まず特徴的なのが,民間の開発事業と同時にインフラ整備が行われる点です。地区の真ん中の4.5ヘクタールの都市公園は,防災公園街区整備事業として整備がなされます。また,2期地区の敷地西側を走っていたJR東海道線支線を地下化して,「特急はるか」が停まる新駅が設置されます。これによって,梅田が関空と結ばれることになります。
 計画コンセプトは「みどりとイノベーションの融合による豊かな生活OSAKA MIDORI LIFEの創造」,プロジェクト名称は昨年2月「グラングリーン大阪」に決定しました。
 9社による共同事業で,三菱地所,オリックス不動産,阪急電鉄の3社にプロジェクトマネジメントを担っていただき,用途毎にワーキンググループを立ち上げて推進しています。
 施設計画は,地区の真ん中に4.5ヘクタールの「都市公園(うめきた公園)」を配置し,「南街区」賃貸棟はオフィス,ホテル(2ブランド),商業,「北街区」賃貸棟は,中核施設,ホテル(1ブランド)から構成されており,敷地両端に2棟の分譲マンションが計画されています。
 うめきた公園は,「南公園」と「北公園」に分かれ,空中デッキ「ひらめきの道」でつながれます。南公園は芝生広場と大屋根施設を使って1万人規模のイベントが可能で,北公園は静かで落ち着いた雰囲気が特徴です。
 オフィスは,南街区の「パークタワー」と「ゲートタワー」から構成されます。パークタワーは1フロアの面積が1,250坪と大阪最大級の規模です。テナント専用のダイニングやカフェなどオフィスサポート施設が充実しており,特に採用活動の優位性を期待するテナント候補からたくさん引き合いをいただいております。
 ホテルはヒルトン系の「ウォルドーフ・アストリア大阪」「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」,阪急阪神ホテルズの「ホテル阪急グランレスパイア」の3ブランドを計画し,観光からビジネスまで対応可能です。
 イノベーションの拠点となる中核施設は,会員制の交流スペースやMICE施設など,北街区をメインにまち全体に波及するように配置しています。一昨年,2つの運営組織「一般社団法人うめきた未来イノベーション機構(U–FINO)」「一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター(CCG)」を設立しており,これから活動が本格化していきます。
 商業施設は,QOL向上をサポートする時間消費型施設の割合を多くしています。アジア初進出のフードマーケット「タイムアウトマーケット」やうめきた公園を望む「都市型スパ」などが予定されています。
 分譲マンションは,北街区と南街区に1棟ずつ計画されていますが,先行して北街区から分譲される予定です。昨年10月に名称を「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」として発表しました。
 設計体制は,日建設計,三菱地所設計を中心に,竹中工務店と大林組のゼネコン2社も参画しています。都市公園は米国ランドスケープデザイン事務所のGGN,南公園の大屋根屋根施設はSANAA,北公園のミュージアムは安藤忠雄建築研究所と,世界的アーキテクトの方々にも参画いただいています。施工は,竹中工務店・大林組の共同企業体です。
 今後のスケジュールですが,段階的な開業を予定しています。まず本年9月に「先行まちびらき」として北街区賃貸棟と公園の一部が開業します。続いて,’25年春頃,大阪・関西万博に合わせて,賃貸棟が全面開業します。そして’27年度に分譲マンションを含めて全体まちびらきとなります。
(スライドとともに)