1953年生まれ。’75年甲南大学理学部卒業,’79年南カリフォルニア大学大学院修了。’80年伊藤忠商事(株)入社。’83年サントリー(株) 入社。2014年よりサントリーホールディングス(株)代表取締役副会長。現在,大阪商工会議所会頭,在大阪デンマーク王国・在大阪スペイン王国名誉領事等を務める。当クラブ入会’02年。’05年出席委員長,’17年プログラム委員長,その他委員会の副委員長を歴任。PHF(M)。
本日,私にとりまして大阪RCの会長として,最後の例会となりました。前回の例会を突然欠席いたしまして申し訳ございませんでした。私事でございますが,新型コロナ・オミクロン株の陽性反応が出ました。発熱は全くなく咳が出まして,大体軽症で終わると聞いておりましたけれども,3日間ぐらいはベッドに倒れ込んでおりました。元気になり,10日間の隔離期間を終えましたので,まず大丈夫だと思います。大変失礼いたしました。お詫びでございます。
大阪RC会員の皆様には,本当に1年間お世話になりました。ありがとうございました。本年度の役員,理事,委員長,委員の皆様方にも,大変お世話になりました。事務局の皆様方,ホテルのスタッフの皆様方にも,厚く御礼を申し上げたいと思います。
コロナ禍での1年間でした。ちょうど去年の今ごろぐらいですか,堀正二前会長は,「次年度の鳥井さんのときは,コロナは変異株さえ出なかったら大体収束の方向になる。しかし変異株が非常に心配だ」とおっしゃいました。全くその通りになりまして,やっぱり変異株が出てきたということで,本年も一部の例会でオンラインやハイブリッドでの開催が余儀なくされ,充分な例会を行うことができませんでした。しかし,秋の家族会は無事終了しました。吉川秀隆ガバナーのもと,地区大会も無事終了,春の家族会もこれまた無事終了ということで,日程を終えることができました。
しかしながら,来月から始まる上山直英会長の次年度は「100周年」が待っております。コロナ禍を払拭されまして,大阪RCの100周年の記念式典が盛大に行われますことを確信しているところでございます。
卓話に関しまして,この1年間卓話をしていただいた方においては,お二人を除いて全員がリアル出席をされ,この演壇でご本人からお話をしていただくことができました。本当にうれしいことです。すべての卓話の内容が印象深いのですが,なかでも社会貢献,社会福祉をやってらっしゃる一般社団法人「こもれび」代表幹事の水流添(つるぞえ)綾さんや,認定NPO法人「Homedoor(ホームドア)」理事長の川口加奈さんのスピーチが大変印象に残っております。
6月15日には,大阪RCと大阪ローターアクトクラブ(RAC)との協働事業として「体験型子ども支援事業」を実施しました。私は行っておりませんので伝聞でお話しするのですが,なかなかコロナ禍で実行できずに,延長,延長になっておりました。新居ローターアクト委員長,嘉納幹事,そしてRACメンバー7人と11歳から18歳までの子どもたち11人が参加しました。不登校,ネグレクト,引きこもり,それからヤングケアラーをしている子どもたちでした。ヤングケアラーについてお話ししますと,子どもだけど親の介護をしているとか,弟や妹の世話をするために学校に行けないとか,そういう子どもがいるということでございます。
そういう11人の子どもたちを対象に,塩野会員のご尽力で,塩野香料大阪工場を特別に見学させていただきました。当日のプログラムの内容は別項に報告記事が掲載されますが,お昼ご飯を食べまして,塩野香料の資料室,開発室,工場を見学して説明を受けた後には,いろいろな香料を自分で実際にかいでみたり,においクイズを行ったりして,3~4時間を過ごしました。こもれびの水流添代表理事によりますと,当日,「僕は行きたくない」「私は行きたくない」と言い出す子どもや,初対面の人を見ると体がこわばって動けなくなる子どもが出ないだろうかと心配されていたとのことでした。実際には,そのような心配は全く無用でして,一人だけ写真に写るのは嫌やと言う子どもがいたということですが,全員が興味津々,笑顔満点で大成功だったと聞いております。
プログラムの終了後,水流添代表理事から嘉納幹事に手紙がまいりまして,「初めての試みで,ワクワク,ドキドキで当日を迎えました」「経験の乏しい子どもたちが社会へ一歩近づけました」などと書かれておりました。
体験型子ども支援事業は,これだけ多様な職業人が集まるロータリークラブでしかできない社会貢献活動だと改めて思いました。上山次期会長にはぜひ次年度,次々年度へと繋いで頂きたいと切に希望しております。
新聞やマスコミでさかんに報道されるのは,社会のマイナスの部分です。スキャンダルや犯罪などが新聞やワイドショーで取り上げられ,それはそれで興味があるわけでございますが,社会の良い面,特に社会がどんどん前に進んでいるところに子どもたちが接することは,学校や大学などの教育機関ではなかなか難しいでしょう。したがって,これは大阪RCのような団体でしかできないことではないかなと思っています。
コロナ療養のためベッドで横になっていた私は,熱が出ず暇ですから,勝海舟の「氷川清話」を読み返しておりました。勝海舟が晩年にインタビューを受けて出版された本で,その中に「世間は生きている。理屈は死んでいる」という有名な言葉がございます。社会貢献活動はまさにその通りで,理屈ではありません。しかし考えてみますと,人間の活動というのは基本的には事業も含めてやはりこのことの例えかなと思います。そこで思い出したのが,昨年急逝された大阪RC元会長の文箭安雄さんです。文箭さんも勝海舟のこの名言を度々引用されていました。
大阪RCの出会いに感謝を申し上げまして,私の話を終わりたいと思います。1年間,本当にお世話になりました。
1945年生まれ。’70年大阪大学医学部卒業。医博。’96年大阪大学医学部第一内科教授。2005年臓器別編成にて,循環器内科学初代教授。’08年大阪府立成人病センター総長。大阪国際がんセンター名誉総長。日本心不全学会理事長,国際心臓研究学会(ISHR)理事長,(公財)大阪対がん協会会長,国立循環器病研究センター理事歴任。現在,(公社)大阪ハートクラブ代表理事・会長。当クラブ入会’04年。’08年健康を守る会委員長,その他委員会の副委員長を歴任。’20年会長。米山功労者(M2 ),PHF(M)。
会員を代表いたしまして,一言お礼を申し上げます。鳥井会長は昨年7月,コロナ禍の真っただ中,この荒海に出帆されました。前半期は東京オリンピック・パラリンピックというビッグイベントがあり,また後半にはロシアのウクライナ侵攻というグローバルな社会不安が加速する中で,実に巧みに舵を取られて,大阪RCの活動運営に見事な采配を発揮されました。大変すばらしいことだと思っております。
昨年7月以降の例会開催ではオンラインとハイブリッドを実に巧みに臨機応変に替えられ,クラブフォーラムも欠かすことなく実行されました。また創立99周年の秋の家族会もコンパクトながらリアルで実施され,楽しい親睦を深めることができましたし,前年度実施できなかった春の家族旅行会も楽しむことができ,鳥井会長は一番大事な例会を1回も休会にされなかったことは私たちとしても大変うれしいことでございます。
鳥井年度には,私の時と違ってもう一つのミッションがございました。これは2660地区ガバナーとして吉川秀隆会員を輩出しておりますので,ホストクラブとしての任務もございました。12月の地区大会の運営も見事にサポートされて,コンパクトながら大変高い評価をいただいて,大阪・関西万博に向けてインパクトのあるメッセージが発信できたのではないかと考えております。
また,先日のヒューストンでの国際大会では,鳥井会長は,昼はここで例会をやられて,その夜のフライトで飛ぶという大変厳しいスケジュールでこなされ,吉川ガバナーの地区ナイトに続く大阪クラブナイトも大変盛大で大成功であったとお聞きしております。これらすべてが大阪RC創立100周年のプロローグであると考えておりまして,鳥井会長がすべての力を遺憾なく発揮されたことに敬意を表しております。ありがとうございます。
鳥井会長は,例会でのべ20回にわたり会長のお話もされました。その最初のお話で,ウイスキーのマスターブレンダーとして求めるものは,ウイスキーの色・香り・味わいの上にストラクチャーがあるということを,私は非常に印象深く聞かせていただきました。ストラクチャーという言葉に日本語訳を付けさせていただくと,「熟成のプロセスで生じるのどごしの厚み」ということでしょうか。ウイスキーの真髄を求めるというお話が,私にとって非常に強く印象に残っています。
その後の会長のお話では,大阪の文化人,あるいは経済人の「心意気」をお話しになったように思います。ストラクチャーを求める心を,優れた文化人,あるいは経済人は持ち合わせておられたのではないかと私は解釈いたしまして,会長のお話のすばらしさを改めて実感したわけでございます。
ちなみに100周年の記念式典で皆様に振る舞われるお酒は,鳥井会長と嘉納幹事のコラボレーションによる「世界初の新酒」と伺っております。この新酒の色も香りも味わいもすべてバージンでありますが,そのストラクチャーはいかがなものでありましょうか。100周年のお楽しみとして期待を申し上げたいと思います。
最後にこの荒海の中,会の運営を支えていただきました事務局の皆様にも厚くお礼を申し上げ,何にも増してご支援ご協力をいただきました会員の皆様にお礼を申し上げて,私の感謝の言葉といたします。
どうもありがとうございました。