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2021年6月25日(金)第4,794回 例会

一年間を顧みて

堀   正 二 君(内科医)

会 長 堀   正 二  (内科医)

1970年大阪大学医学部卒業。医博。’96年大阪大学医学部第一内科教授。2005年臓器別編成にて,循環器内科学初代教授。’08年大阪府立成人病センター総長,大阪国際がんセンター名誉総長。日本心不全学会理事長,国際心臓研究学会(ISHR)理事長,大阪対がん協会会長,国立循環器病研究センター理事歴任。現在,(公社)大阪ハートクラブ代表理事・会長。当クラブ入会’04年。’08年健康を守る会委員長,その他委員会の副員長を歴任。米山功労者(M)。

 2018年9月に突然,当時の森下俊三会長から会長の依頼を受けました。まさか2年後にこのようなコロナに見舞われるとは,誰ひとり予想できなかったと思います。引き継ぎとしては大阪RC100周年の準備をよろしくということだったのですが,まさに100周年に一致してこんなことが起こるんだということにびっくりいたしました。
 昨年1月に国内でコロナ患者が発生したとき,これは対岸の火事では済まないなということを直観的に感じました。私はロータリーのことが気になり,事務局に例会休会のルールや手続きについて尋ねると同時に,感染症対策にかかる私見を述べさせていただきました。もっとも,今回のような新興感染症は私も初めての経験でしたし,きちっとしたルールの記述は見出せず,総合的に自らまとめなければいけないと考えました。

コロナを前提とした標語に

 いわば感染症対策の憲法のようなものを皆さんと共有しておかないと,いろんな問題が生じるだろうと考えました。そして当時の稲畑会長にもお伝えしまして,2月の臨時理事会に提示させていただきました。ポイントは,一般の医療は医師と患者さんの1対1の関係ですが,感染症だけは社会全体の病気ととらえられるので,社会の統制が個人の自由より優先するということです。
 3月に会長の活動方針の標語を決めますが,私の年度の標語は“Get over the threat, catch up our activities”としました。「コロナの脅威に打ち勝って,ロータリーの本来の活動を取り戻そう」ということです。コロナが1年以上続くということを前提にしたわけです。敢えて他のクラブの標語は気にしませんでした。コロナ禍が大変なことになるのが見えている中で,平時のことは言っていられないと認識しました。
 7月に私の会長年度が始まりました。会長就任の挨拶で申し上げたように,コロナが怖いんだったら,全部休会すればいいじゃないかということになりますが,ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」をあのときに読みました。人類は,「群れ社会」の形成によって全世界にこれだけの繁栄をもたらした。だから群れ社会をキープするということは非常に大事なことで,そのために親睦というのがある。であるならば,私はこのロータリーの例会をいかに続けるかということに注力すべきであると考えたわけです。
 新年度直前の6月,発症前2日,症状の全くないときにもう既に感染をする。そして感染者の約半分が,症状のないときに感染しているというデータを入手しました。これを受けて考えたのは「入室時に体温は測らない」こと。測っても感染者の半分しかチェックできないなら意味がないということです。

感染を防ぐため勇気を持って注意

 むしろ会場に1人か2人は感染をしている方が混ざる可能性がある。それでもうつらないようにしなければいけないため,マスクの着用が絶対で,食事の間にマスクを外しているのであれば,そのときは絶対に会話をしてもらっては困るというのを私の徹底した論理にし,それをS.A.A.の最大のミッションとさせていただきました。食事中に話しておられる方に,「やめてほしい」と言うのは勇気が要るんです。私もお願いにいきました。
 12月に大阪府の非常事態の方針が出たわけですが,社会の規制が個人の自由より優先するという原則に沿って休会にいたしました。しかし非常事態が長引くと予想し,この休会の間にオンライン例会の開催に向けて準備をいたしました。1月8日にリハーサルをして,Zoomによるオンライン例会,あるいはハイブリッド例会という形で今の形になったわけですが,生駒伸会員が非常に献身的な貢献をしていただきました。薩摩友好委員長,江藤幹事,嘉納治副幹事もモニター画面に張り付いていただいて,手作りオンライン例会の事務方として貢献していただきました。

オンライン例会でも温もりを出す

 例会はいつもの山楽の間で,ピアノ演奏を入れ,ロータリー旗を掲げ,四つのテストも見えるようにして,出来る限り歌も歌い,オーディエンスはいなくてもこの雰囲気を伝えるために努力しました。肌の温もりなどは絶対に必要だと思いまして,あえて山楽の間をお借りしてやったということです。
 さらに,こういうときにIT化を進めるということも大事な要因ですので,「My ROTARY」登録の推進を佐川副会長・戦略計画委員長に強くお願いをしました。
 うまくできた活動についてもお話ししたいと思います。
 「創立98周年秋の家族会」は薩摩委員長のもと企画を練っていただき,お昼の時間に会場を大きな光琳の間にして,グリークラブや謡曲の披露をやめて,文楽と浪曲を楽しんでいただきました。
 職業奉仕では出前授業はできましたが,職場見学は実施できませんでした。社会奉仕は,「関西いのちの電話」の卓話を4月にずらしてやっていただいて,ロータリーからの寄付をお受けいただきました。さらにコロナ禍におけるアーティストへの支援として,北御堂主催・南御堂協賛の「花まつりコンサート」への協賛をさせていただき,若手弦楽器演奏者に協力金を拠出しました。
 国際奉仕委員会では,大阪府国際交流財団事務局長に「コロナと外国人支援」について卓話をいただき,同財団に寄付をさせていただきました。青少年奉仕委員会では地区やクラブの行事が実施できなかったために残った予算分を関西フィル,関西二期会,日本センチュリーに寄付をさせていただき,インターアクト,ローターアクト会員を演奏会に招待していただくようお願いしました。
 ロータリー財団委員会は,立野純三パストガバナーに「財団寄付と補助金モデル」と題して卓話をしていただき,この補助金モデルを利用して,大阪大学医学部付属病院のコロナ患者搬送用アイソレーター製作プロジェクトに寄付支援を行わせていただきました。
 米山奨学会委員会では,留学生の支援として米山奨学生の周繽潔(シュウビンケツ)さんが終了,新たに関西医科大学で学ぶ方軻(ホウカ)さんを受け入れました。
 S.A.A.,副S.A.A.の方々には,本年度はコロナ禍の対応のために大変ご苦労をしていただきました。会員増強委員長には新入会員の増強に尽力いただき,扇谷情報委員長には,この状況の中,多くの新会員候補の職場訪問を実施していただきました。
 最後に江藤幹事にはコロナ禍の荒海の中を見事な舵取りで無事帰港させていただきました。もちろん事務局の方々の支えがあっての賜物です。最後に,この難局にご理解とご協力を賜りましたクラブ全員の皆様に御礼を申し上げて,当期会長の任を終了したいと思います。
(スライドとともに)

感謝の言葉

直前会長 稲 畑  勝太郎  (化学品卸売)

1982年早稲田大学法学部卒業,’84年同大学政経学部卒業。同年(株)第一勧業銀行入行。’89年稲畑産業(株)入社。2005年代表取締役社長。当クラブ入会’03年。’09年幹事,’12年90周年記念事業副委員長を経て現在までみおつくし奨学金副委員長。その他会計,社会奉仕委員長・理事など歴任。PHF(M),米山功労者(M)。

 会員一同を代表して一言御礼申し上げたいところですが,既に例会の終了時刻を過ぎております。「感謝の言葉」というタイトルで,まさにこの時間延長の原因となった「ニコニコ」の数の多さにすべて表れていると思いますので,私の話は大幅に割愛させていただきます。
 堀先生は「きょうは最後だから言いたいことを言います」とおっしゃっていましたけれども,結構普段から言いたいことをおっしゃっていたと思います。見ていて多少ハラハラするものがございましたけれども,さして大きな角が立たなかったのも,やっぱり堀会長のお人柄そのものだなと思っておりました。
 何よりも,この1年間を通して堀会長のお声のトーンの明るさ,オンラインを通してお聞きしている中でも,随分と心が晴れたような思いをしたことを覚えておりまして,これについても改めて感謝申し上げます。堀会長,1年間ありがとうございました。