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2021年6月18日(金)第4,793回 例会

いのち輝く未来社会への共創―うめきた2 期,万博,その先―

宮 田  裕 章 氏

慶應義塾大学 医学部 教授
大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー
宮 田  裕 章 

1978年生まれ。東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士(論文)。専門はデータサイエンス,科学方法論,Value Co-Creation。専門医制度と連携したNCD,LINE×厚生労働省の新型コロナ全国調査など,科学を駆使し社会変革を目指す研究を行う。東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座特任教授,大阪大学医学部招へい教授,2025年万博テーマ事業プロデューサー。

 大阪・関西万博を含む未来を考えたときに,このコロナの影響というものを避けては通れないと考えています。2019年までわれわれが見ていた未来の延長線上にやはり現在はないですし,ここから先もない。コロナから回復というのもまだいろいろなシナリオがあるのですが,だったとしても,やはりこれから世界の未来は根本的に変わっていく。

万博, 世界が再びつながる場に

 そこには,いくつかの理由があります。一つは,世界同時に起こり,そしてやはりペストと同じように社会システムに大きな影響を与えているということです。経済合理性を,産業革命以降,われわれは非常に社会の大きな軸として邁進してきたのですが,果たしてそれだけでよかったのかと。世界の様々な国が,いかにしてその国,社会というものを再構築していかなくてはいけないのかという,この問いを立てていくというのが現状です。まさに大阪・関西万博というのは,コロナで国境が世界各国固く閉じて,それぞれのコミュニティの中でそれに向き合っていますが,やがてまた世界が再びつながり,どういう社会を共につくるべきか,まさにこういった問いを持ち寄って世界が再びつながる非常に重要な場になるのかなと考えています。
 そしてもう一つ,やはりこの文明の変革の波というものがずっと来ていた。農業革命,産業革命,そして情報革命というのがこの数十年続いていたインターネット,スマートフォン,SNSと来て,単に産業構造だけではなくて,民主主義,社会システムそのものを決定的に変えると言われているのが,この「デジタル革命」というものです。コロナと向き合う中でわれわれも,日本がデジタル化が非常に遅れているということを実感したわけです。ふたを開けてみると,Faxでコロナの情報をやり取りして,リアルタイムでわからない。

コロナが迫る「デジタル革命」

 新しい社会で何が一番大きく変わるのかというと,これまでの社会,「最大多数の最大幸福」と言われていますが,モノをつくって,多くの人に配る。これが行政のサービス,あるいはビジネスのいわゆる重要な部分の一つだったのですが,このデジタルによってそれが今決定的に変わりつつあるということです。象徴は給付金です。日本は当初勾配をつけようとしたのですが,それができなかった。一律10万を配るにも数カ月かかってしまう。もっと重要なことは,リアルタイムで人々の痛みを把握できる国が今何をやるのかというと,一律にモノを配るのではなくて,その人にとって必要なサービスを,必要なタイミングで,必要な形で提供していくということです。今まではアナログでしかできずに,絵空事だったのですが,このデジタルによってできるようになった。社会の姿そのものが大きく変わろうとしているということです。
 つまり一人一人に合わせて,そして価値を共につくるということが必要になるだろうということです。これは医療も変わり始めていて,かつては世界中,共通するデータによって薬が効くかどうかを見て―これはもちろん今後もゴールデンスタンダードです。高齢者と言っても70代なのか,80代なのか,90代なのか,あるいはどういう持病を持っているのか,今までどういう手術を受けてきたのか,あるいは家に帰った後,その周辺の環境というのはその治療のサポートを十分受けられるのか。これによって,どこで,どのタイミングで,どのような治療を受けるかというのは変わってくる。一人一人によってこの治療というのは変わってくる。
 これからどういう社会が来るのか。今までやはりモノを一律に配る,最大多数,最大幸福ということだったのですが,多様性に配慮しながら人々を幸せにできると。大きなコストがかかっていたものが,技術の発展によって新しい社会を今目指せるようになってきているということが言えると思います。
 ここから先,大阪万博に向けて何を考えるかといったときに,やはり「豊かさの基準」というのが新しくなってくるのではないかということです。これまではモノの所有というのが豊かさだった。これは古くは冷蔵庫・洗濯機・テレビみたいなものがあった。データの時代がやってきたことによって所有では,豊かさは測れないということですね。

4年後,新たな未来社会の提示を

 最後にわれわれのパビリオンですが,テーマ事業プロデューサーとしてもいろいろな検討を進めています。命を響き合わせて,このつながる世界,この情報革命における本質というのは世界がつながること。その企業が提示する新しい価値,新しい未来は何なのかということを,さらにこのバーチャルの場を含めて具体的に皆さんと一緒に展示していけることができればなというふうに考えています。大阪・関西万博まであと4年,世界が再び能動的につながるという時期が必ず来ると感じています。そのときに日本が後手に回った未来を世界にのみ込まされるのではなくて,新しい未来を提示しながら,世界と共に新しいビジネス,あるいは新しい社会をつくることができれば,その意義があるのかなというふうに感じています。
(Zoom参加で卓話,スライドとともに)