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2005年5月27日(金)第4,070回 例会

フィンランド民族楽器 カンテレの演奏

演奏者プロフィール :
カンテレ演奏家
Eva Alkula (エバァ・アルクラ)

フィンランドを代表するカンテレ奏者。ヘルシンキのシベリウス音楽院でRitva Koistinen(リトヴァ・コイスティネン)にコンテンポラリー及びクラシック・カンテレ音楽を学び,'03年に音楽修士号を取得。'99年から'00年には北海道教育大学札幌校で日本の筝を学ぶ。ヨーロッパ・米国・日本などフィンランド内外で活躍。特に日本では定期的にコンサートを開いており,様々なアーティストともコラボレートしている。'03年にはフィンランドの全国カンテレ・コンテストで優勝。フィンランド放送局・BBC・札幌放送やNHKにも出演。カンテレ音楽と電子音楽を組み合わせたスカンジナビアの電子ミニマル音楽を紹介。2005年春フィンランドの音楽芸術協会より6カ月間の奨学金を受けている。

フィンランド民謡「夏の夕べ」
フィンランドで最も有名な民族音楽の一つ。カンテレ奏者Timo Vaananen(ティモ・ヴァーナネン)とTiina Takkinen(ティーナ・タッキネン)による編曲。

「Ranjani(ランジャニ)」
作曲:Eero Hameenniemi(エーロ・ハメーンニエミ)
2005年1~2月にEva Alkula(エバァ・アルクラ)のために作曲された作品。「Sivaranjani(シバランジャニ)」と呼ばれるインドのラーガをイメージして作曲された作品です。「ランジャニ」とは美しく心地よい物を意味します。

ソーラン節  竹田の子守唄
エバァ・アルクラが日本民謡をカンテレ用に編曲。

アンコール
Toivo Elovaara(トイヴォ・エロヴァーラ)による比較的ミニマルな作品。森の中の湖をイメージした音楽。


 フィンランド最古の民族楽器。この楽器の神秘的な起源が記されているフィンランドの民族抒情詩「カレワラ」によると,賢者Vainamoinen(ヴァイナモイネン)が巨大カマスの顎骨から最初のカンテレを作り,後に2つ目を樺の木から作ったとしています。カンテレの起源等に関する正確な歴史的情報はありませんが幾つかの学説によると,スラブ,フィンランド・バルト海及びアジアに由来するとされています。本来の5弦カンテレから,現在では39弦までのコンサート・カンテレ及びエレキ・カンテレが開発されています。現在,新しい民族音楽から電子音楽まで様々な音楽分野で使用されいます。



 フィンランドは,ヨーロッパの東端に位置し,「スオミ」(フィンランド語でフィンランドの意味)の名の如く,森と湖に覆われた大変美しい国です。日本では特にムーミンとサンタクロースの母国として良く知られています。
 長い間スウェーデン,ロシアの支配下に置かれ,独立を果たしたのは1917年ですが,現在では世界でも最も生活水準の高い先進民主主義国,福祉国家のひとつになっています。
 面積はおよそ33万8千平方kmで,522万人の人々が暮らしています。南北1,157km,東西542kmに広がり,国境は,北西側をスウェーデンと,北側をノルウェーと,東側をロシアと接しており,森と湖の国と呼ばれる通り,国土の69%が森林,10%が湖沼や河川に覆われ,8%が農耕地です。500平方m以上の湖は188,000にのぼります。
 言語は,全人口の93%がフィンランド語,5.6%がスウェーデン語を母語としています。北部ラップランドに居住するサーメ語を話す人口は約1,700人です。宗教は国民の85%がキリスト教ルーテル派新教です。
 政治体制は1917年独立以来共和国で,一院制の議会制民主主義国家です。大統領制で任期は6年,直接選挙によって選ばれ,継続して二期まで在任出来,現在はフィンランド初の女性大統領タルヤ・ハロネン女史が就任しています。フィンランドはヨーロッパで初めて女性に参政権が認められた国で,現議会でも女性議員は三分の一を占め,これまでの内閣でも首相を始め主要ポストの多くで女性閣僚が活躍し,世界で最も政治家の汚職の少ない国としても評価されています。また,国際協力にも積極的な役割を果たし,全欧安保協力会議(CSCE)の主催及び継続参加,国連平和維持軍にも長年にわたり派兵しています。
 経済は,豊富な森林資源を利用した木材・製紙産業と金属・エンジニアリング工業の伝統的な二大産業と共に,近年はノキアに代表されるエレクトロニクス・情報産業分野の成長が顕著です。世界経済フォーラム報告では国際競争力や環境維持可能指数で第一位に評価されています。フィンランドはIT活用が進んでおり,インターネットの使用率が最も高い国の一つとなっております。
 首都のヘルシンキは,緑豊かな海岸線に彩られ,“バルト海の乙女”(ハヴィス・アマンダ)の愛称を持つ美しくモダンな街で,北緯60度という高緯度に位置しながら,四季それぞれの色彩や趣きを持ち,訪れる人々をいつでも自然に迎えてくれる大人の街でもあります。
 関空からフィンランド直行便で行きは10時間,帰りはヘルシンキから8時間45分というアクセスのよさが魅力です。


-新渡戸稲造博士とフィンランド-
 フィンランドの独立が日露戦争での日本の勝利に勇気づけられ,その後「東郷ビール」がフィンランド国内で製造販売されたことは知られていますが,他にもフィンランドで大きな歴史的役割を果たした日本人がいます。
 1917年にフィンランド・スウェーデン間で起こったバルト海オーランド島帰属問題を,この時に国際連盟事務局次長であった新渡戸稲造博士が見事に解決。島の帰属をフィンランドとするものの,スウェーデン系住民の大幅な自治権を認めるという,両者の面子を立てる「新渡戸裁定」を行いました。長らくスウェーデンの一部であったフィンランドは,かつての宗主国との争いを,自分達の面子を立てる形で治めてくれた新渡戸稲造博士に大変感謝したということです。