1944年生まれ熊本県出身。大阪府警捜査第三課長、第四課長、組織犯罪対策室長、東警察署長、刑事部長を歴任。2003年1月退職。現大阪警察信用組合(6月に理事長就任)
日本が誇れたもののひとつに治安の良さがあります。この治安が最近急激に悪くなってきました。特に大阪は、街頭犯罪が非常に多発して、犯罪の凶悪化・悪質化・広域化・国際化が深刻になっています。また、警察がこれに十分対応できなくなっている状況もあり、悪循環となってしまう。この機会に皆様にもご協力いただき、もう一度身の回りを見ていただければありがたいと考えております。
なぜ、これだけ悪くなったのか?原因は大きく3つあります。1つ目は、在日外国人犯罪。これにはいろいろパターンがあります。
日本人、在日の外国人が手引きをして、外国の犯罪者グループを引き寄せて事件を起こすパターン。以前「カネカネ、キンコ」と片言の日本語を使う強盗事件が多発いたしました。これは韓国人が手引きし、運転手は日本人、韓国から犯罪者を引き寄せていました。こういう犯罪グループでは、手引き役が20%もらうので、必死になって金持ちの家、入りやすそうな家を狙って案内する。また、韓国からは「断ち切り」という刃物を持った非常に危険な集団スリがひっきりなしにやってきています。
さらに、日本に進出してきた台湾マフィア・香港マフィア・蛇頭といった犯罪組織のパターン。台湾マフィアは現在、四苦八苦して大阪からは追い出しておりますが、いつ戻ってくるかわからない状況です。最近ちょっと下火になりましたが、香港マフィアも日本に来て強盗事件をやっている。大阪で事件を起こしても、成田から外国へ逃げ帰ってしまう。「ヒット&アウェー型」犯罪です。中国からの密航請負組織「蛇頭」絡みの、不法滞在者犯罪も最近荒っぽく、残忍になってきています。これは、本国への送金と、密航の成功報酬が“荒稼ぎ”でしかまかなえないのが大きな理由なのです。最近では、「ピッキング侵入」。専用の道具を使うのですが、最近はエスカレートし郵便受を壊してそこから手を入れて開けていく手口で侵入します。また金庫ごと運び出す窃盗事件もまだまだ続くのではないかと心配しています。
犯罪悪質化した原因の2つ目が、暴力団犯罪。暴力団犯罪は昔からあるのですが、最近顕著になってきたものがあります。
ひとつは、この時勢と暴力団対策法が非常に効き、収入源に非常に困っての犯罪です。高級車を尾けて金属バットで殴る「ベンツ強盗」。「ATMとかCD機を重機で壊して金を盗る」事件これも暴力団でした。
もうひとつは、マフィア化した暴力団が、政治・経済界の中に忍び込んできている。食い詰めている暴力団ではなく、相当金を持った暴力団もいるのです。こういう者と絶対おつき合いをなさらないように、利用しないようにお願いしたいと思います。とにかく甘く見ずに早い目にご相談いただきたい。
3つ目の原因は、少年犯罪。最近の特徴は彼らに遵法意識・倫理観がほとんどない。自制心がなくて、すぐキレてしまう。食事との関係を指摘する専門家がいますが、確かに彼らはろくな物を食ってない。とにかく、子どもも悪いが、親の責任感が全くない。
大阪の少年犯罪の大多数は中学生です。なぜかというと、中学生の場合は検挙されてもほとんど処罰されることがなく、14歳未満であれば犯罪にもならない。この悪い意味での学習効果が更なる犯罪を増やしているのです。特に公立の中学校での環境が非常に悪い。先生らのビクビクと、過剰な親の抗議が、子どもを甘やかし状態にし、普通の子まで悪いほうに引き込んでしまう。
対策としての1つ目は、やはり行政・地域が一体となって予防的・抑止的な総合対策を進めていく必要があります。
ニューヨークの事例に「割れ窓理論」というのがあります。割れた窓をほったらかしにしておくと他の窓も割られてしまう。環境が悪いと、そこで犯罪を誘発してしまう。つまり、都市環境の改善が必要ということです。さらに、警察官を大量動員して、どんな小さい犯罪であれ容赦しないという「ゼロトレランス」に基づいて、強力な取締りをしたのです。現在、ニューヨークの犯罪は目に見えて減ってきています。
大阪では昨年、安全な町づくり条例というものをつくり、行政を中心に警察、地域一体となって、まずは地域環境、犯罪を抑止する環境づくりをしています。少年の補導も強化していこうということに取り組んでおります。現在、徐々に効果が出てきています。
対策の2つ目は、防犯意識を持っていただくことです。外国の犯罪者にとって日本はまさに黄金の国で、彼らが異口同音に言うのは、日本人は現金を持っている、警戒心が薄い、犯罪者に寛容(罪も軽い)ということです。警戒心が薄いというのは、何とかしなきゃいかん。被害に遭わないように、被害に遭っても最小限にするような自衛意識が必要です。グローバルな犯罪には、グローバルスタンダードな警戒心を持つことが必要です。
対策の3つ目は、法体制、警察の体制の整備です。これらをもう一度見直しをして強化をしていくことが必要ではないかと私は思います。
「安全、安心」それが私たちの生活の基盤なのです。