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2003年9月26日(金)第3,992回 例会

新しいゴルフの流れ

大西 久光 氏

(株)ターゲットパートナー 代表取締役社長 大西 久光

1937年西宮市生まれ。関西学院大学卒業。トーナメントディレクターとして国内ゴルフツアーの発展に寄与。世界のゴルフ事情に詳しく、内外のトッププロと親交が深い。日本ゴルフコース設計者協会理事長。

 最初にゴルフのよさをPRさせていただきます。日本ではゴルフは誤解され「国賊的スポーツ」ともいわれました。欧米ではゴルフを子供に勧める時「人間として人格形成に素晴らしいからやりなさい」というぐらいです。

 ゴルフは1450年ごろリンクスといわれる海岸でボールをころがすことで始まった自然と親しむスポーツです。審判がおらず「ジャッジするのは自分だ」ということで、ルールは自ら守るというのが素晴らしい点だと思います。

シニアのスポーツ

 昔、球聖といわれたボビー・ジョーンズが誰も見ていない所で第二打を打とうとし、少し動いた。そのことを申告して優勝を逃した話があります。それが美談とされると、ジョーンズは「泥棒をしないから褒められるのか」と言ったそうです。そういう立派な先輩がいることで欧米では評価されています。

 ゴルフはいつでも始められます。サッカー、野球などはジュニアから始まるのに対し、 30、40、50代でやり始めるのが他と違う点です。現在の日本のゴルファーは50歳以上が50%、いかにシニア時代のスポーツかということです。阪神優勝で甲子園では隣の声が聞こえません。他のスポーツは盛り上がる場面では非常に騒がしい。ゴルフの一番エキサイティングなところは、このパットが入れば優勝という場面で、静寂の中で次どうなるという点が違います。

 芝生を踏み、自然の中を歩くだけでも健康にいい。これからでもいいから始めて下さい。甲子園の観客が三百万突破で騒いでいますが、ゴルフは減ったといわれて年間九千万人がプレーしています。いかに根強くポピュラーかということです。

道具がゴルフを変えるか

 世界中の最も強いプレイヤーが何がなんでも勝ちたいメジャートーナメントで今年は何が起こったか。4月のマスターズは左利きが勝てないといわれたコースで左利きのカナダのマーク・ウイアが初優勝しました。左打ちが少ないのは左のいいクラブがない、左利きでも右でやり始めるといったことのほか、コース設計も右に合わされている傾向がある。

 オーガスタも左へ曲がるホールが多く、フック、ドローボールを打つことになりますが、左利きだとスライスを打つということで距離をロスしてしまいます。

 皆さん、自分の利き目(マスターアイ)をご存じでしょうか。指で丸をつくり遠くの時計とかを見て、片目をつぶった時に見えなくなる方、それが利き目です。これはゴルフには非常に大事なことでプロゴルファーなら誰もが知っています。右が利き目なら目標物が少し右に見え、左利き目なら左に見える傾向があります。

 そして右打ちなら左利き目が有利です。左打ちのイチローは右利き目ではないかと思っています。利き目が目標に近い方を選ぶのがいい。手では右利きが圧倒的ですが、利き目はほぼ50%なのです。

 6月の全米オープンでは独特のスウィングをするジム・ヒューリックが優勝しましたが彼はアップライトな打ち方をします。これはクラブが変わってきたからです。ボールのバックスピン量が減り、反発力が強くなり曲がりも少なくなりました。今のクラブはスライスやフックは打ちにくいのですが、アマチュアはまだ使いこなせていません。

 7月の全英オープンではベン・カーティスという26歳の選手が優勝しました。すれすれで資格を取りプロ入り初勝利が世界があこがれる全英でした。今年のメジャー優勝者四人全員が初優勝、これは新しいクラブを使いこなすことと大いに関係があると思います。ニクラスが持つメジャー18勝をめざすタイガー・ウッズが勝てなかった。これは技術的問題というより頂点に立った選手の苦しみでしょう。

ゴルフは経済と連動する

 今年ゴルフ界での話題は女子プロのアニカ・ソレンスタムが男子トーナメントに出場、韓国での男子トーナメントにパク・セリが出ます。女子でも280ヤード飛ばせるようになるなど道具のせいなんです。将来はジュニア、シニア、あるいは男女が一緒に戦う競技になるかも知れない。ファミリーで、おじいさん、息子夫婦、孫が共にプレーできるようなスポーツとして成長していくのではないか。

 アメリカの女子ゴルファーは22%、男女が同じ人数プレーすると競技人口は五割増しになるそうで、米ゴルフ界は女性ゴルファー増加を期待している。日本でも女性とシニアが楽しむゴルフ場が増えています。

 日本は預託金問題がありますが、アメリカでは会員ゴルファーとパブリックでプレーする比率は8対2です。ゴルフ場もメンバーズコースとパブリックコースがやはり8対2で合っています。ところが日本はパブリックコースが1割でメンバーズコースが9割なのに、会員権でプレーするのは2割、8割は会員にならずにやっています。この逆転状況が影響していると思います。でも、もう少しプレー費が安くなり、年に2回プレーを増やしたら、日本のゴルフ場は予約も難しく足らない計算になります。

 メンバーとしての価値が保たれるコース運営がやはり絶対条件でしょう。日本経済を反映してゴルフ界は停滞していますが、何とか立ち直らせたい。ゴルファーはゴルフ場へ必ず車で行き、ガソリンを使い、あるいは通行量を払い、宅急便でバッグを送るなど経済に相当貢献しております。「ゴルフを倒すと日本経済もしんどい」ことをわかっていただき、ゴルフの支援をお願いしたい次第です。