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2003年9月5日(金)第3,990回 例会

最新の青少年事情

菅原 俊軌 氏

相愛中・高等学校校長 菅原 俊軌

1948年生まれ。龍谷大学大学院修了。 76~88年浄土真宗本願寺派、築地別院宗務所、金沢別院輪番。 93~03年藤花学園尾山台高等学校校長・藤花幼稚園園長。 03年より相愛高等学校・相愛中学校校長。

 今年度からこの学園に赴任し、麗しい良い香りが漂っているのに気付きました。なぜかなと考えますと、それは宗教校で、仏教、とくに親鸞上人の教えを心の底に置く学校ですので、朝晩、礼拝を致しているのですが、どうやらそれにかかわりがあるようです。

「日々の糧」を繰り返す

 月曜日の高校3年生から土曜日の中学1年生まで曜日ごとに講堂に入り、先生は何も指示はしませんが、自分たちで始め、自分たちで終わる。音楽科もあるので、それぞれの学年の中でピアノ演奏もこなします。その最後に「日々の糧」という本を配っております。1日から31日まで「朝の言葉・夕べの言葉」が載っています。仏教の難しい言葉ではない、かみ砕いた表現で、例えば、本日(5日)の「朝の言葉」はこんな風です。

「一つでよい 身も心も

 燃やし尽くせる仕事をもとう

 一人でよい 何もかも

 話し合える 友をもとう

 一冊でよい いのちを

 支える 本をもとう

 一言でよい 自分を

 新鮮にする 言葉をもとう」

 これを生徒全員が、私たちも含めて、講堂に集まっていないクラスの生徒たちも各教室でそれぞれに営みます。ちなみに、5日の「夕べの言葉」も紹介しておきますと

「初めての道は遠く 二度目の道は近い

 初めての道は辛く 二度目の道は楽だ

 初めにすべての力を」

 これをずうっと、毎日毎日繰り返します。生徒の中にはこの本をまるまる一冊暗記している者もいます。同窓の方々の中には、この本を非常に懐かしがられ、今も毎日読んでいるという人たちにもたくさん出合います。

「こころの教育」の継承

 私は「これだ」と思いました。最近の青少年の中で一番欠けているもの、それは、やはりこの「こころの教育」ではないでしょうか。そういう意味でこれからも、家庭、社会、地域、学校を挙げまして、再びこの「こころ」を大切にしていかなくてはならないと感じます。どうか会員の皆様方にもこのことに留意していって頂ければと思います。

 この学園の香りについて思うことがあります。ここを卒業された中には、おばあちゃん、お母さん、そしてご本人という3代、いやもうすでに4代にわたって続いているというご家庭もあると聞きます。そういう家庭では、この香りを受け継いで下さっているのではないかと感じます。ちょうど、この9月29日からNHKの朝のテレビ小説で、「てるてる家族」という番組が始まります。作家・作詞家 なかにし礼氏の奥様のご実家がモデルで、4姉妹の末っ子である奥様を除く3人が相愛学園の出身です。オリンピックのフィギュアスケート選手として活躍された長女をはじめ、皆さんがそれぞれの分野で頑張ってこられました。

 このようなご家庭もあれば、4代続いてこの学園とご縁のあるご家庭もあります。そのようなご家庭では「こころの教育」というものが大きな要素を占めたのであろうと思います。最近の青少年事情というものが非常に悪化し問題化しています。そんな中で光り輝くものは、この「こころの教育」だと考えます。