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2005年6月17日(金)第4,073回 例会

CS(顧客満足)とサービスマネジメント

久 保 田  政 孝 氏

(株)ビジネスコンサルタント
副社長
久 保 田  政 孝

1949年10月生まれ。 '73年中央大学卒業。 同年(株)ビジネスコンサルタント入社。
'87年営業部長を経てコンサルタント部門へ。 '92年取締役, 2001年代表取締役副社長現在に至る。
《資格》 '02年全日本能率連盟マスターマネジメントコンサルタント認定
《専門分野》組織変革に関するコンサルテーション上級マネジメント能力開発プログラム

 CSと申しますのは「カスタマーサティスファクション」。お客様満足,お客様がお喜びになることです。14~5年前,日本のビジネス業界にこのCSがブームのように入りました。CSを理解しようと思いますと,サービスをマネジメントするという考え方が必要になってきます。。

決め技

 今なぜCSなのか,CS経営なのか。欧米を例にとります。 たとえば通信業界。今日の日本と同じ状況が14~5年前に起こりました。アメリカンテレフォンテレグラムが分割され,そして民営化されたと,とっていただければと思います。 欧米では,なぜこんなことが起こったのか。「規制の撤廃」です。規制が撤廃されて,まさに戦略が求められたのです。低成長,安定成長,規制撤廃の後,業績を伸ばしている会社は具体的に何をやっているのか。その一つとしてサービスを戦略にしていた,サービスを具体的に管理していた,サービスのマーケティングをしていた。これがCSのスタートだということです。

 残念ながらこれが日本に入ってこなかった。お客様との接点の方々のお辞儀であるとか,スマイルであるとか服装,これをCSと狭く定義付けしてしまった。

 そこで,いろいろな業界のお話から「勝負の決め技」を考えてみました。まず「最高の品質(製品・サービス)の提供」。業界ナンバーワンの品質カンパニーになれば,その会社は業界平均以上の収益性を上げるのは間違いありません。

 次に「豊富な魅力ある品揃え」。お客様から見て,たくさん選べる商品があることが重要である,品数が少ないとお客様が来ない。東京,大阪しかりです。駅の近くにヨドバシカメラが登場すると,集客が変わります,お客様の動きが変わります。選ぶ楽しさがあるからだと思います。

指標は何か

 最高の品質と言ったときに,製品・サービスが最高じゃないと勝てないというお話が出てきました。ところが,戦略計画書,あるいは各社の方針の中に「サービスで日本一になる」と書かれているのに,サービスのクオリティーを測定していないということに私は気づきました。用心しないとCSは精神論,スローガンになってしまうということです。

 1983年から,米国のハーバードビジネススクールの経営学のカリキュラムの中で,サービスマネジメントの授業が始まりました。欧米が成熟して,規制の撤廃をした後,業績を伸ばした会社を調べていきましたら,サービスをマネジメントしていたというデータと,学問の世界でビジネススクールのカリキュラムにもなったということは符合します。

 そこで,サービスビジネスを研究すれば,サービスとは何かという本質に迫れると考えました。サービス業とはどんな会社,どんな業界のことを言うのか。レンタルビジネス。レンタカー会社。クロネコヤマトもサービス業。JALも,JRもサービス業。劇団四季,大相撲,格闘技K1もサービス業。ゴルフ場も,自動車駐車場も,プール,エステ,マッサージ…。所有権の移転が起こらないビジネス,これをサービスビジネスと考えればいいでしょう。だが優良企業とまあまあの業績の会社とそうじゃない会社がある。提供しているサービスの品質が高い会社が財務的にも成功していることは間違いなく,品質を測定しない限り,サービスビジネスの経営者は一日たりとも経営はできないと思います。

 CSを実現できないとサービスビジネスにとって致命的な欠陥になります。各社におじゃまして「御社は,サービスのクオリティーをどういう指標で測っておられますか,マネジメントなさっておられますか,お客様との接点の方々の能力をどんなふうに高めていかれるんですか」ということをお聞きしました。そのマネジメントが存在しない限り,CSは精神論に終わってしまう。

真実の瞬間

 「新しいサービス商品の開発」という概念があります。例えば「のぞみ」の新商品。のぞみの増発は,JRにとって新しいサービス商品の提供と考えていいと思います。お客様のニーズがあるからです。ニーズをリサーチして,新しいサービスを提供するマネジメントが,確かに存在します。

 従来,サービスは付録,おまけで,用心しないとお客様の言いなりになる-初期のCSはこういう誤解がありました。CS,お客様の声をよく聞きなさい。しかし決してお客様の言いなりになることではない。CSは戦略です。ニーズに対し,どういうサービスを提供していくのか。CS経営の本質は,お客様が満足なさる,お客様が買って喜ばれることです。

 サービスを提供する人的な能力が「ヒューマンウェア」。商品満足・仕組みシステム満足・登場人物満足,この3つのウェアのトータルでお客様の満足を高める経営がCS経営です。最終的なサービス製品を提供するための,物・設備・環境・提供する人,この質が高くないとお客様の満足は高くなりません。

 「真実の瞬間」という概念も外せません。お客様との出会いの瞬間を,真実の瞬間という言い方をしています。もう一度,どういう場面が,どういう瞬間がわが社のイメージを形成するのか洗い出しをされ,真実の瞬間を高める活動をなさることをCS経営ととらえていただければと思います。