1940年大阪市生まれ。 64年甲南大学法学部卒業後(学)清風学園教諭, 副校長, 専務理事を経て, 01年(学)清風明育社理事長,清風情報工科学院校長現在に至る。 80年には大阪青年会議所理事長を務め, 世界会議を主管。 現在, 関西経済同友会常任幹事, 日本ユースホステル協会副会長など要職多数。 00年より, 60の手習いで, 仏教大学大学院に入学,修士課程を修了し, 現在博士課程在学中。
81年当クラブ入会。クラブ内ではIACや米山の委員長,97年には理事・青少年委員長,2660地区でも地区委員として活躍。PHF・米山功労者。
(教育)
ここずっと素晴らしい会長が続いておられ,その後を引き受けることを,非常に重く考えおりまして,なんとかこの1年間この仕事を続けていきたいと思います。よろしくお願いします。
ロータリークラブの会長をすることになって,創設者であるポール・ハリスという人のことを全然知らないので伝記を読みました。今日は,その話をしてこれからの1年間の方針にしたいと思います。
ロータリーは1905年2月23日にシカゴでポール・ハリスとその友人によって始められました。100周年というのですから,やはり100年というのはすごいと思います。
アメリカ社会はアメリカの父親にいろいろなことを要求します。ハリスは好奇心が強く,行動力があり,そして家族や老人を大事にする。なによりも友情を大切にしました。「アメリカの父」を実行したような人でした。
彼はシカゴで弁護士業を開業するのですが,シカゴという街を知るためどういう方法を取ったのでしょうか。次から次へと宗派を変えて,多数の教会に参加したのです。これは日本ではあり得ません。大阪を知るため,お寺を次々とお参りするということは考えられないことです。カソリックとかプロテスタントとかユダヤの教会に行ったのではないかと思います。そこである共通点があることを知ります。どの宗教,宗派も「求める」ことをよりも「与える」ことを説いていました。これが奉仕の精神を支えて,大きな柱になったのです。
さらに彼は弁護士の仕事を通じて得た知人を社交上の友人にすることができないかと考え,業界を代表する人を集め団体をつくりました。大阪ロータリークラブはポール・ハリスが考えたことを実行しているクラブだなと伝記を読んでいて感じました。
さて,ロータリーの由来です。回転するとか循環するという意味のローテーションから来ています。ロータリーは毎年係りが変わって,いろいろな仕事がついたりするのですが,これがローテーションに基づいたロータリー活動であると思いました。
先ほども言いましたが,求めるのではなく,与えることを説くロータリーの精神が,クラブ活動で利益を得るのではなく,自分の職業あるいは事業を通じて得たものを地域社会やメンバーに還元するという精神になりました。もちろん奉仕活動というのは,そういう精神が非常に重要だと思うのですが,伝記を読んでみますと,ロータリー活動というのは,ああそういうことかと納得できることがありました。
本年度から古田敬三会員が名誉会員になられます。ロータリー活動を50年間実行してこられた。これはすごいことだと思っています。せんだって国際大会後の打合せのときに,小林龍三会員が裏方をした話をされていましたが,これはやはり求めるよりも与えるという精神でやってこられたことを実感できました。
このロータリークラブの活動では,会員活動を重視したいと思います。ハリスが言い出した原点ではないかと思うからです。それから卓話についても,新入会員にどんどんお話していただきたいと思っています。また、新入会員以上に会員の皆さまにお話していただきたいと思っています。皆さんの意見,楽しい話を聞いて,卓話をさらに充実させたい。
社会は今,厳しい状態に置かれています。それは企業でも同じで,われわれ大阪ロータリークラブを考えても,社会的な注目度も考えて,できるだけ無駄な費用を省いて効率的にしたいと考えています。
ここ数年ロータリー最大の問題として会員の減少があります。国際ロータリーの方も会員の増強を言っていますし,地区も言っています。私たちも会員を増やすことを考えたい。ただ,しゃにむに集めるのはどうかと思いますが,大阪ロータリークラブの伝統に合った人がいたらどんどんと推薦していただきたいと思います。
以上のことは大阪ロータリークラブが特別に言っていることではなく国際ロータリー会長のエステス氏の方針「ロータリーを祝おう100年の歩み」の精神と同じだろうと思っています。
国際化,情報化がどんどんと進み,社会にはいろいろな問題が起きています。かつて信じられないようなことが起きています。学校に一般の方が侵入し,また,登校途中の児童が切りつけられる。自分の子どもを殺す親も出てきています。恐ろしいことには,保険を掛けて殺す親も出てきました。
企業も厳しくなり,経営者のモラルが問われています。もちろん,いろいろな分野で学校でも非常に問題を抱えています。私も先生の端くれですが,もう恥ずかしくなるような事件が次々に起きています。こういうときに,われわれは友情を大切にして「求めるよりも与える」精神でこの1年間をやっていきたいと考えています。
また,時間が余れば一口話をしたいと思います。1年間,宗教の話をしようと考えています。宗教が社会の接点だからです。