大阪ロータリークラブ

MENU

会員専用ページ

卓 話Speech

  1. Top
  2. 卓話

卓話一覧

2008年9月12日(金)第4,223回 例会

最近思うこと

南 部  靖 之 君(人材派遣業)

会 員 南 部  靖 之  (人材派遣業)

1952年生まれ。’76年関西大工学部卒業。同年2月(株)テンポラリーセンター設立。
’93年1月同社CEO就任。’93年6月社名及びグループ名をパソナに変更。2000年6月(株)パソナ代表取締役グループ代表就任。’07年12月(株)パソナグループ代表取締役グループ代表に就任。当クラブ入会:03年4月。

 パソナの南部です。会員でありながら4年振りに寄せていただきました。(例会に)来にくかったので,久し振りに皆様にお会いできて,うれしく思っています。「プログラムの副委員長を」と声をかけていただき,これをきっかけにこの会にも寄せてもらいたいという思いで引き受けさせていただきました。

リーダーの条件考える

 最近,政治や経済の出来事に触れ,自分はこれでよいのかと,考えることがあります。

 福田さんが総理をやめられた。「もし私がやめたら社員はどう思うかな」と考えたり,「自分の会社でもしコンプライアンス上の問題が起こったら」と思ったり。そんななかで「リーダーとは何だろう」と考えたら,こんな条件を挙げられるかなと思いつきました。

 1つ目は「体力・エネルギー」。自分の考えを皆に知らしめるのに,エネルギーが必要です。今,グループで社員が5,600人ぐらい,派遣スタッフは9万人少しいます。このメンバーに自分の志を伝え,イエスと言ってもらえるように持っていくだけでも大変です。

 私は1日を4等分に分けて過ごそうと考え,それを守っています。まず,どんなことがあっても4分の1の6時間はぐっすり寝る。

 次の4分の1はインプットの時間で,営業にあてる。クライアントの方々と会って情報を得る。3つ目の6時間はアウトプット。自分の考えを伝えようということで,大学で教えたり,あちこちで自分の考えを述べるチャンスを作ったりしています。

 次の6時間は自分の時間。日常で笑うチャンスが少ないから,まず,自分の時間の中に笑う時間を作る。40歳の時,毎日30人以上のパーティーを開くことを決め,以後16年間,ほぼこれを守っています。

 パーティーだけでは6時間を過ごせないので,2時間は運動する。さらに1年にひとつ趣味を持ち,その成果を1月の年賀会で社員に発表する。今年の正月は和太鼓,去年はタップダンスでした。来年はピアノなのですが,「愛の賛歌」を演奏するため,1日2時間はやっています。健康管理は必要だし,精神的なストレスも解消しなくてはならない。だから6時間を自分のために使います。

 リーダーの2つ目の条件は,今を見る力。洞察力とか,先見性とか,言葉はいろいろありますが,結局は「今を見る目」ではないか。

 これからどういう社会が来るか。今をじっと見る訓練をしていると,新聞の小さな記事から,いろんな方々の話から,将来が漠然と見えてくる。そういう気がします。

志や信念 社員と共有

 3つ目の条件は「共有力」。自分の夢,志,信念,考え,ビジョン,理念といったものを身近な人たちに伝え,共有する力です。

 当社は何年か前に組織を大きく変えましたが,共有力をつけるための組織のあり方は今も考えています。握手する,ウェブで呼びかけるというのも方法でしょう。しかし,一つのことを成し遂げるには,やはり組織力というものが要る。「ジュニアボード」を作って役員会の卵を育てる。新規事業をやりたい者を集めた「チャレンジボード」を作ろうと,今,ここでも思いを巡らしていました。

 1人ひとりの社員,同志である社員たちとコミュニケーションを図る共有力を作ろう。それがしっかりできれば,何があってもついてきてくれるだろう――そんな思いで,どんな組織を作ろうかと,考えていました。

 4つ目は「影響力」でしょう。私は大阪で今のビジネスを始めました。2年,3年,5年と過ごしながら「今に見ておれ」と思ったものです。社員が1,000名なり2,000名になり,売り上げも1,000億円になってくれば,いろんな提携ができ,自分の考えが皆に発表できるだろうと思っていたのです。

 ところが今思うのは,世の中を変える力というのはお金でもなければ,権力でもない。世の中に,社員に影響を与える力,「影響力」だということです。もし,自分がパソナのCEOという役職を離れ,お金もなくなった時,自分の志や夢が社員を動かし,世の中に影響を与えていけるかどうか。本当のリーダーとしてリードする。そのために,どのように自分に磨きをかければいいか。今はそれを考えています。

信念と準備が運を呼ぶ

 さらにもう1つ,リーダーは運がなければならない。成功者のほとんどが「俺には運があった」と言われます。

 「運」とは何だろう。分析しなさいと言われたら,2つのことが挙げられると思います。1つは,運というのは思い込み,もっと言えば,信念ではないか。実は,私は「俺ほど運の強いやつはいない」と思っています。

 その背景には,両親の私に対する教えがあります。試験だとか,クラブ活動だとか,学生時代にいろんな失敗をします。そうすると,母は必ず僕に「靖之は運のある子だから,必ずいい方向に向かう」と,言うのです。

 高校の時,試験の結果が悪く,自分はアホだと落ち込んでいたら,親父が「何を恥じることがあるか」という。試験の点の悪いのは,自分が勉強しないからであって,何も人に迷惑をかけていないのだから,恥じることはないというわけです。それで私は元気づいた。

 運とは何だろうと考えたときの2つ目は「心の準備」ではないかと思います。私は何かを思いついた時,必ず発表します。

 そうすると,いろんな方がアイデアをくれる。それで私が気付かなかったことが見えてくるわけです。「心ここにあらずんば,見えども見えず,聞けども聞こえず」。でも,心がここにあれば,今まで通り過ぎていたものがつかめるし,見える,聞こえるのです。