1972年奈良県大和郡山市生まれ。
’90年奈良県立奈良工業高校電器科卒,セガ・エンタープライズ(現在のSEGA)入社。’93年退社。豪シドニーへ。 語学学校を経て,シドニー工科大学(UTS )に短期編入。大学で工業英語を習得する傍ら,生活の為 Angus&Coote co.,Ltdに勤務。免税店勤務から始まり,ローカルショップの管理職。
’00年オリンピックを機に帰国。同年田中貿易採用。工業電池関連貿易に従事,ネットワーク等を並行担当。1年後退社。’03年(株)ネクサス起業。
まず,映像を流させていただきますが,これは,スウェーデンの会社が,2014年までに実現化,あるいは開発,実用新案を出しているという内容の映像です。
(朝の寝室)スマートフォンの目覚ましで起きた男性が,スマートフォンを手にしました。小さいスマートフォンが横に伸び,画面が大きくなって,朝のニュースや天気予報を見ています。そして,気に入ったニュースをワンタッチで友人に送っています。メールと同じ要領です。
スマートフォンというのは元来小さく,見にくいものですが,昨今,モニターについて,曲がるディスプレーや極細のチューブ状の線を組み合わせたディスプレーがつくられています。スマートフォンも伸ばせるものもあれば,スライド式に広げるものも出てくる。こういった感じで大きい情報も見ていただけるようになると思います。
(化粧室)エミリーさんが鏡の前で朝の支度をしています。鏡には,タッチ&スクロールで,天気予報とか,きょうの情報が表示されます。エミリーさんは歯を磨きながら鏡に出ているいろんな情報を見ていますが,コンピューターが鏡の中に含まれているのです。
(職場)スウェーデンの雑誌の会社です。透過型パネルがあり,向こうにいる相手の姿も透して見えています。モニターも透明です。
透過モニターは,既に韓国の大手メーカーが量産態勢に入っています。この透明のパネルのメリットというのは,対面相手とのやり取りがすぐに行えるという利便性です。
メモやノートが机と一体化されています。マウスもキーボードも極薄です。
仕事でつくったデータは,今はUSBとか,一昔前であればフロッピーディスクとか,そういったものに入れていたのですが,すべてネットワーク上のコンピューターに格納され,ネットワークがつながる場所であれば,どこでも安全,かつ高速に取り出すことができます。恐らくスマートフォンが近年普及してくると思いますので,これにすべてのデータが格納されるという形が,もう間違いなく出てきます。データをスマートフォンに転送して,相手にワンプッシュで渡す。これが近い将来の流れになります。
次に見ていただく映像は,突拍子もないというか,びっくりされると思います。
まず,コンタクトレンズですが,この中にコンピューターの端末がすべて内蔵されます。これをつけた状態で現実世界でどういったものが見えるのか。そのコンタクトレンズをつけて,実際に家庭内のキッチンでお茶を入れるというアクションの映像です。
キッチンのところどころにいろんな画像,スーパーのチラシとか,ニュースとかが出ていますが,これは真っ白なダイニングキッチンのスペースを利用して,コンタクトレンズを使って映し出されている情報です。冷蔵庫の中身もわかります。コンタクトレンズの中のコンピューターがサポートしてくれます。
実際にはキッチンにはキーボードは存在しないのですが,手の動作をキーにして,キーボードを出してくれるというものです。今回の場合は「お茶を入れたい」ということになりますので,コンタクトレンズの中のコンピューターが認識してくれて,お茶を入れるデモンストレーションが始まります。
お茶を入れる準備ができ,あとはお湯が沸くだけです。何秒でお湯が沸くか,50秒と表示されています。お湯が沸くまでの時間でメールを確認します。キッチンにはメールはないのですが,コンタクトレンズにメ-ルの情報が表示され,メールを送ることもできます。すべてコンタクトレンズが管理してくれます。
お茶を入れるのに,こんなに過度の情報を出す必要はないのですが,これが実際の社会に浸透すると,非常に役立つ情報となります。
今回のこの情報を「拡張現実」,われわれは「アーギュメンティドリアリティ」と言っています。「AR」はそれの省略形です。皆さんよくご存じの「バーチャルリアリティ(仮想現実)」は,人間がコンピューターの中に入る,バーチャルの空間で物事を済ませるものです。アーギュメントリアリティというのはそれと対を成すもので,現実世界をコンピューターを使って増強,拡張する技術で,「拡張現実」と呼ばれています。
どういうふうに拡張現実が実用化されるのかといいますと,例えば皆さんが美術館に行かれた場合に,展示品の右下とかに細かい説明が書いてあると思いますが,それを近くまで見に行く必要もなく,その展示品を見た瞬間に拡張現実でその説明が見えます。または,医療ですと,見えない疾患部分とか,臓器の裏側とかに関して,わざわざエコーをとったりする必要もなく,コンタクトレンズのコンピューターが認識して,そういった情報を投影してくれるような形になります。
ITの進化では,私のような開発とか設計をする人間は,血のにじむような努力をしています。ものづくりのマンパワーが必要になってくるのですが,日本ではものづくりの人員とかが少なくなってきて,裏方のパワーもなかなか厳しい状況になってきています。
今後もこういった最新のテクノロジーを飛躍的に進化させる努力をし,コンピューターの分野に力を注げるように,応援していただけるとありがたいと思います。