大阪ロータリークラブ

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2011年2月25日(金)第4,338回 例会

Facebook ・ツイッター時代の新聞

永 野  健 二 氏

会 員 永 野  健 二 

1949年生まれ。広島県出身,京都大学経済学部卒業。’73年日本経済新聞社入社,東京編集局,証券部記者などを経て,’95年日経ビジネス編集長,’01年日経MJ編集長,’05年執行役員グループ戦略室長,’09年常務執行役員名古屋支社代表,’10年6月専務執行役員大阪代表。「会社は誰のものか」など,著作も多い。
’10年8月当クラブ入会。

 きょうお話しする内容は3点,あらかじめ整理しておきたいと思います。

 第1点は,今,目の前で起こっている世界史に残るような政治的な革命というか変化は,インターネットとその上に乗るソーシャルネットワークという仕組みにたくさんの人々が参加しなければ,恐らくこれだけ急激な形で起きてないだろうということです。

 2点目は,95年にWindows95というパソコンの新しいソフトがスタート,その前後からインターネットが世界的に広がっていく形になりました。そこから始まった大きな流れの中で,特にこの1~2年新しいステージに入ってるんだということです。

 新しいステージというのはどういうことかと言いますと,第1期のインターネット革命というのは,どちらかといえば経済の変化が多かった。それがまさにソーシャルネットワークという形で,政治,社会を巻き込んだ変化になっている。具体的に言えば民主主義であったり,制度変化を加速している。

 3点目は,インターネットの上に登場したFacebookであったり,ツイッターであったり,もっと言えばグーグルであったり,そういう仕組みを中心に起きている変化が,実はメディアを大きく変えようとしている。私が属している新聞も,もちろん例外ではないし,テレビも例外ではありません。そういう中で新聞に改めて新しい役割が期待されたり,求められてもいるんじゃないかと思っています。

便利なクラブ組織

 今,イスラム社会は大きな転機です。

 インターネットの社会が起こした変化なんです。写真がいつでも写る携帯機器やいつでもネットの上にそれを載せられるFacebook,極めて安い値段でもろもろの情報を読める仕組みが大きな役割を果たしています。

 Facebookの特徴は,実名で参加することです。発展途上のいろいろな国々では,これはものすごく安くて便利なクラブ組織で,燎原の火のように広がっていくということです。

 こうしたことは,エジプトで政変が起きたことも含めて,すばらしいことだというのも一面の真実です。ただし,同時に大きな混乱を呼ぶ可能性もあります。このへんがどういうふうに変わっていくのか。はっきりしていることは,恐らくこの流れはとまらないだろうということなんです。

 情報が広がりながら,共有しながら,安いコストで,名前を名乗りながら,瞬時に情報を共有しながら,いろいろな地理を越えて情報が行き交う。どうやらそういう時代にわれわれは生きているんだということがはっきりしてきた。それがソーシャルネットワークといいますか,95年からの第1期のインターネット革命から,どうやら第2ステージに入ったんだなという感じを持っております。

社会に必要な仕組み

 そこで新聞の話です。新聞というのは,実はものすごく長い期間,社会と一体になってもろもろの情報を共有する仕組みとしてワークしてきました。歴史的に言えば,アメリカで独立革命が起きたころに新聞というのはスタートしているわけです。

 と同時に,今ある商業新聞モデルは,ヨーロッパで19世紀の半ばごろから広がり,有料で読者に買ってもらい,同時に広告を載せる形が始まってきた。日本でも明治に入ってそういう形の新聞モデルが出てきて,実はざっと数えても150年,この器としてのビジネスモデル,その上にジャーナリズムが乗っかる新聞というのが出てきたわけです。これはわれわれにとってはすばらしいモデルだし,あるいは社会にとっても結構必要な仕組みだったんです。だからそのへんが,今ジャーナリズムの面,情報伝達の面からも問われていると同時に,そのビジネスモデルと言いますか,仕組みとしても問われているというのが最近の動きです。

正確さ,新聞の役割

 紙は軽く,紙面が一覧性のある形で出てくると同時に一番大事なことは,それを使って読んで考えるという習慣を皆さんが持っているということなんです。

 新聞は朝必ず配るという宅配をしています。そういう生活に密着した形で,実は新聞が出来上がっているということです。

 新聞各社は,インターネット上での情報提供も相当やっております。

 一方,インターネットの上で,多少の問題が出てきています。

 ネット上で情報を取る限界があるとすれば,情報の大きな洪水の中で,みずから選んでいるつもりだけれども,みずからの居場所が見えないということが実はあるんじゃないかということなんです。情報というのは,無限に増える中で,正しいやり方が見えるかどうかというのはなかなか難しい問題です。

 ロータリークラブというのは,ある意味ではFacebookなんですね,20世紀の。同じ目的に沿っていろいろな行動をする。ロータリークラブができたのは,20世紀の初め,ちょうど100年。アメリカで生まれたロータリークラブが,100年で100万人を超える組織になっている。これも驚くべき拡大だと思います。

 Facebookは,2003年に生まれたものがアッという間に6億人になっております。この広がりがつながりを弱めているのか,強めているのか。革命を起こしたことは間違いない。だけど,それが新しい社会をつくれるのか。そういうことがこれから重要なポイントになってくる。新聞はできるだけ早く,正確なことを伝える役回りが重要だと思っております。