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2012年10月12日(金)第4,413回 例会

挑戦と創造(さかい未来・夢コンパス)

竹 山  修 身 氏

堺市 市長 竹 山  修 身 

1950年堺市生まれ。1974年静岡大学卒業,’75年大阪府庁に。’08年商工労働部長,’09年政策企画部長。同年10月に堺市長に就任。

 私は3年前に堺の市長に就任しました。公務員人生の総括をということで,59歳で突然大阪府の部長職を辞めました。当時の市長さんが2期目を終わって3期目に出るという話を聞きましたので,私のほうがいい町をつくれるのと違うか,私のほうが生まれ育った堺をよく知っているし,堺の市民のための施策ができるんじゃないかということで退職いたしました。まる3年過ぎましたが,今全力疾走をやっております。 今,大阪維新の会がまさに日本維新の会ということで,大きな政治の渦を巻き起こしています。その中で大阪市を8つか9つ,堺を2つか3つに分割するというふうな「大阪都構想」が出ています。私はそれに真っ向から反対しています。堺はこれから話すように普通の土地ではございません,私はパワースポットやと言うておりますが,今日はそういうお話をしたいと思っております。

3つの遺伝子を持つ都市

 堺の人は3つの稀有な遺伝子を持っていると言われております。1つは「南蛮貿易の遺伝子」です。1469年,遣明船が堺に入港し,南蛮貿易が始まりました。1595年,オルテリウスがヨーロッパで世界地図を描きました。その中に日本の都市が2つ描かれていました。京(みやこ)と堺でございます。大坂も江戸もございません。2つ目は「匠の遺伝子」でございます。5世紀に仁徳天皇陵を,堺の人たちが大陸から来た文化と技術をコラボレーションしてつくった。この天皇陵をつくるのに,1日2千人の人たちが15年以上かかったということを大林組が試算しています。その技術は鉄砲になり,包丁になり,そして自転車になっております。堺オリジナルなものづくりを今も私たちのDNAで持っております。3つ目は,権威に頼らず多様性を受け入れる「自由の遺伝子」です。堺は中世,10人の会合衆で治めていた自治都市でございます。そして千利休が秀吉に対して徹底的に自らの主張を貫いた。そういう権力におもねらない魂がございます。私たちは,この3つのDNAを持っておりますし,大事にしております。

企業の誘致で財政維持

 堺の現在,企業の立地状況ですが,企業立地促進条例を設けて固定資産税の不均一課税をしています。最大5分の4,10年間免除するという施策です。その結果,平成17年12月から24年3月まで65件を認定しました。投資見込額は約1兆円,雇用見込みは4,900人で経済波及効果は1兆3,214億円です。堺への本社機能の流入は全国8位,純増で18社来ていただいております。因みにワーストワンは,147社の転出のある大阪市です。臨海の企業や中小企業が頑張ってくれて固定資産税,法人市民税も増加しておりまして比較的健全財政をやっています。

 「堺・3つの挑戦」という重点プロジェクトでございますが,昨年3月にマスタープランをつくりました。10年を見越して何に重点を置くかということで,1番は「子育て」。子どもが育ちやすいような市にしたいと思っています。医療費は中学3年まで助成しております。それから待機児ゼロ作戦を進めています。毎年400から500の保育所入所定員を増やしても,待機児は増え続けています。これは働かなければならないとか,働きたいお母さんが増えているからだと思います。私たちはそういうニーズにも最大限応えていきたいと思っております。

分割ありきの都構想

 今話題の大阪都構想についてですが,なぜこんなことが言われるようになったかと言うと,大阪府と大阪市が二重行政,同じようなことをやっていたからです。二重行政の弊害は枚挙にいとまがない。港湾は大阪港を管理するのと堺泉北港を管理するのはバラバラに大阪市と大阪府がやっていました。外郭団体も中小企業信用保証協会など1つでいいのに大阪府と大阪市が持っていました。これを是正するという意味では私は賛成です。でもそれは大阪市を分割せんでもできる。今,松井さんと橋下さんが知事と市長です。この2人がきちっと議論すればできると思います。橋下さんの強い要請を受けて「大都市地域における特別区の設置に関する法律」というのができました。これは大都市の中に特別区をつくることを認める,という法律です。それ以前に大都市協議会というのをつくって,大都市と府との役割分担を議論をしようということで,任意の協議会に入ってくれと言われましたが,私は入らないというふうに申し上げました。今年の2月6日の話です。なぜかと言うと,前提がもう分割ありきなんです。

 市民や議会には堺のことは堺で決めるというふうに言っております。例えば,市街化区域と市街化調整地域の線引きの権限は,住民に密着しています。まさに自然を残す,農地を残すのと,家を建てられるところをつくる,こういうのは大阪府に決めてほしくない。そして教員の任命権,児童相談所の設置権限,これらは独自で堺らしい教育をしながら堺を好きな人間を育てていくために,ぜひとも必要なんです。そういう権限をもらっているのに,それを大阪府に返すということは,住民の利益になりません。

 それでは堺はどんな町を目指すんやということですが,歴史,文化,地域の郷土愛を育てるような都市をめざしています。広域自治体の仕事は大阪府では既に小さいんです。災害,環境対策,産業振興は府レベルでは処理できない問題がたくさんあるから関西広域連合ができたんです。堺も今年の4月から入りましたが,その場できちっと言うています。関西広域連合は道州制の一里塚という位置づけにすべきやというふうに,私の見解を述べております。堺の今後のあり方について皆さんにお話をする機会を得て本当に幸せでございます。本日はありがとうございました。