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2019年1月11日(金)第4,699回 例会

ニューイヤーコンサート
~ドイツオペラの魅力~

出演者プロフィール

ソプラノ : 木澤佐江子氏

相愛大学音楽部声楽学科卒業,同大学研究科修了。第24回イタリア声楽コンコルソ入選,第7回日本の歌コンクール審査委員長賞(中田喜直)受賞。「フィガロの結婚」「魔笛」「ドン・ジョヴァンニ」などで様々な役柄を演じ好評を得,宗教曲のソリストとしても定評がある。関西二期会会員。宝塚音楽学校,相愛高校・大学講師。

ソプラノ : 四方 典子氏

同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業。同大学音楽学会《頌啓会》特別専修生修了。第九や宗教曲のソリストを務める他,関西の主要なオーケストラと共演。オペラでは「魔笛」夜の女王,「椿姫」ヴィオレッタ役などを好演。

バリトン : 西尾 岳史氏

大阪音楽大学専攻科修了,イタリア・ミラノに留学。主役を演じたオペラが佐川吉男音楽賞,大阪文化祭賞優秀賞など多数受賞。第18回日本歌曲振興会日本歌曲コンクール第2位。宗教曲のソリストとしても活躍。関西二期会会員。関西二期会オペラ研修所講師。

ピアノ伴奏 : 今岡 淑子氏

相愛大学音楽学部卒業,同大学ピアノ研究生修了。ソリストとして各地でのリサイタルやオーケストラと共演。伴奏者としても内外の演奏家と多数の演奏会に参加。音楽現代新人賞,京都芸術祭優秀伴奏者賞受賞。武庫川女子大学音楽学部教授。


 解説  米田 哲二会員(音 楽)
 ドイツオペラには巨匠ワーグナーの作品がありますが,ニューイヤーは明るく楽しく。モーツァルト作品と,レハールのオペレッタをお楽しみいただきます。
 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは1756年1月27日,今のオーストリア,ザルツブルクに誕生しました。彼は天才ですが,父レオポルトがいち早く息子の極めてすばらしい才能に気づき,優れた音楽教育を授けたからこそ,全世界に名をとどろかせる作曲家になれたと思います。
 実はトランプやビリヤードなどの遊びが大好きで,冗談を連発する人だったそうですが,作品は非常にエレガントで上品で格調高く,そして透明感があり,清らかです。われわれ声楽家は,モーツァルトの演奏はとても怖い。その人の人格や品性,知性が正直に表れてしまうからです。こう言うと演奏者には大きなプレッシャーでしょうが,めげずにいい演奏をしてくれると信じています。

 まず,モーツァルトの代表的なオペラ「フィガロの結婚」から3曲。舞台はスペインのセビリア。夫人がいるにも拘らず,伯爵は侍女スザンナへの浮気の虫が治まりません。スザンナが下僕のフィガロと結婚式を挙げる日のてんやわんやの大騒動を描く作品です。
 1曲目。女性に見境なく愛を語る小姓ケルビーノの軍隊入りを揶揄するフィガロの歌。「もう君は飛べないぞ。夜も昼も飛び回り女の子を追っかけ回すことはできない。肩に銃,腰にサーベルをつけ進軍するのだから」。


― ―♪「もう飛ぶまいぞ この蝶々」
バリトン 西尾 岳史氏

 かつて伯爵から熱烈な愛を受けて結婚した夫人は「愛の神様,どうか私の心をお慰めください。私の苦悩,嘆きに,愛しい人をお返しくださるか,さもなくばせめて死を……」。

― ―♪「愛の神よ,安らぎを与えたまえ」
ソプラノ 木澤佐江子氏

 伯爵夫人とスザンナは,伯爵の浮気の現場を押さえようと嘘の手紙を書きます。「庭の松の下で待っています」。美しい二重唱です。

― ―♪「手紙の二重唱」
ソプラノ 木澤佐江子氏
ソプラノ 四方 典子氏

 以上はイタリア語の歌でした。18世紀のウィーンは,ハプスブルク家が治める神聖ローマ帝国で,音楽の世界はイタリア人が制覇していました。モーツァルトも貴族や王様を楽しませるイタリア語のオペラを作っていましたが,ドイツ語の歌詞とセリフを入れた音楽劇を作らねばならないと「魔笛」を作曲。夜を支配する夜の女王と,昼を支配するザラストロの“権力闘争”ともいえる物語です。
 夜の女王が娘に歌う復讐のアリアは,簡単には歌えない難曲です。「地獄の復讐にこの胸は燃える,死と絶望の炎がわが身を焼き尽くす。お前がザラストロに死の苦しみを与えないならば,もう親でも子でもない」。


― ―♪「復讐に胸は燃える」
モーツァルト:オペラ「魔笛」より

ソプラノ 四方 典子氏

 一転して,軽やかで楽しい喜歌劇。フランツ・レハールが作曲したオペレッタ「メリーウィドゥ」。舞台は1905年のパリ。仮想の小国ポンテヴェドロの公使館で,公使の男爵は頭を抱えています。その国の老富豪と結婚後わずか8 日で未亡人になったハンナが,もし外国の男と結婚したら莫大な遺産が国外に流れてしまいます。そこで男爵は書記官ダニロと彼女を結婚させようと画策しますが……。
 故郷に伝わる,森の精ヴィリャに一目惚れした不幸な若者の物語をハンナが歌います。


― ―♪「ヴィリャの歌」
ソプラノ 木澤佐江子氏

 最後は,愛の告白の二重唱を日本語で。実はダニロとハンナはかつて愛し合いながら身分違いで引き裂かれた仲。大金持ちとなったハンナに今さら結婚したいとは言い出せないダニロ,ハンナも素直になれない。さて二人はこれから……。

― ―♪「メリーウィドゥワルツ」
バリトン 西尾 岳史氏
ソプラノ 四方 典子氏

出演者全員でフィナーレ
― ―♪「わが夢の街ウィーン」
(会場からの盛大な拍手に包まれて閉幕)